英国での環境調査〜犬を飼っていることと車の利用との関係

英国での環境調査〜犬を飼っていることと車の利用との関係

犬を飼っていると自動車で出かける機会が増えますが、イギリスで「犬を飼っていることと自動車の利用との関連」が環境への影響を知るために調査され、その結果が発表されました。

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犬を飼うことと環境への影響

気候変動を示すバックと犬と女性

異常気象や大規模な天災の増加などから、人々の日常生活が環境に与える影響についての調査や研究が増えています。

ペットフードの原材料と環境との関連研究などもその一例ですが、この度イギリスのリーズ大学の交通研究所が、イギリスにおける犬の所有率と自動車の走行距離との関連についての調査結果を発表しました。

交通事情についての研究調査では通勤にまつわるものが大部分を占めるそうですが、自動車に関してはレジャーなど、仕事に関係のない行動が環境に与える影響は小さくありません。

仕事に関係がない自動車利用という点に、犬を重ねた調査は他の国でも実施されているそうですが、イギリスでの結果はどのようなものだったのでしょうか。

1人あたりの車の移動距離と犬の数

自動車の後部席に座っている犬

自動車の使用データは、政府による調査データ(日本の国勢調査のようなもの)が利用され、犬についても登録データが利用されました。

統計と分析の結果、人口1人あたりの犬の数が増えると、1人あたりの自動車での移動距離も増えることが示され、これは調査前に立てられた仮説に一致していました。

また、犬を飼うことと自動車の使用の両方が所得に関連している可能性があるため、各地域の収入の中央値に基づいて地域ごとの「犬と自動車使用」の分析も行われました。

その結果、高所得地域では犬を飼っていることと、車での移動距離の関連がより強いことが分かりました。低所得地域においても数値は小さいものの関連がある点は同じでした。

また、犬を飼っていることと自動車での移動距離の関連は、大都市圏で最も強くなっており、農村地域では弱くなっていました。農村地域では住宅は平均して大きく、自動車で移動しなくても犬が自由に動けるスペースを確保しやすいためと考えられます。

この研究以前に行われたオーストラリアのシドニー、アメリカのシアトルでの調査でも、犬を飼っていることは自動車での長距離移動と大きく関連していることが分かっています。

このような調査は何に役立てられるのか?

車で旅行中の女の子とゴールデンレトリーバー

犬を飼っていると自動車で移動する距離が増えるというのは、感覚的に「そうだろうな」と予想できますが、数値ではっきりした関連と違いを確認することは重要です。

上記のような調査結果は、犬の飼育がエネルギーの消費と二酸化炭素排出という点で環境に影響を与えていることを示しています。犬と暮らしている人にとっては、あまり聞きたくない言葉とも言えます。

しかし、このような研究は「犬のために自動車を使うことは控えましょう」と訴えているわけではありません。犬のために自動車を使わずに済むようにするには個人での努力よりも、都市計画や政策での対応がより重要であると指摘しています。

例えば、犬がオフリードで運動できる住宅地近隣の公園の整備、犬と一緒に公共交通機関で旅行できる対策などが挙げられます。つまり都市計画によって、犬のための設備を整えることは環境への悪影響を小さくする効果もあるということです。

まとめ

車の中に伏せるジャーマンシェパード

人口1人あたりの犬の数が増えると1人あたりの自動車移動距離も増えるという、イギリスでの環境への調査結果をご紹介しました。

アメリカやオーストラリアなどの広大な国では、国土の大部分で自動車が生活必需品ですが、イギリスは国土面積が日本に近く、都市部と農村地域などでも日本と共通する部分があるので、この調査の数値は日本ともそれほどかけ離れていないと思われます。

犬のために自動車を使ってはいけないというのではなく、このような調査を知っていることで少しだけ心持ちと行動が変わったり、都市整備のための政策に興味を持つきっかけになればいいなと思います。

《参考URL》
https://doi.org/10.32866/001c.29846

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