犬と人間の歩行の違いをおさらい
数年前でしょうか。ワンピースを着たトイ・プードルが二足歩行をし、あたかも人の子供のように歩いている動画がSNSで話題になりました。これに対し、「かわいい!」といった世間の反応とは逆に、愛犬家からは「犬がかわいそう」という声もが多く寄せられ物議を醸しだしたものです。
犬は心臓や脳などの重い臓器が体の前方にあるため、重心の6~7割を前足、3~4割を後足で支えています。体の構造が人とは異なり、二足歩行などをすると足に負担がかかってしまうので注意してください。
足に負担~やりがちなNG行為3選~
人間と犬の体のちがいを理解した上で、私たち飼い主は愛犬の足に負担をかける行為をしないように気を付けなければいけません。
日々の生活の中にひそむリスキーな行為には、どういったものがあるのでしょうか。ここからは、具体的なNG例を3つ紹介します。
1.ハイジャンプ
芸のひとつとして、高くジャンプするという技を犬に教える方もいます。活発な犬にとっては覚えやすい芸で室内の遊びとして人気がありますが、基本的にはNG行為です。着地時に滑って足を捻ったり、体重が重すぎて足を痛めたりすることもあります。
ジャンプをさせるなら着地場所は滑らない素材の上にするなど、前足へのダメージを抑える対策が必要です。また、犬が覚えてやりたがったからと、まだ慣れないうちからどんどん高くジャンプさせるのはやめてください。
着地の際に前足に負担がかからないよう、体重管理や高さの調整をして安全に楽しみましょう。特に骨の発達段階にある成長期には無理をしないことが大事です。
2.ハードすぎる散歩
ジョグ活、ラン活、という言葉がありますね。そうしたワークアウトを日常的に取り入れる方が増える中、犬と一緒に走り汗を流すのが最高のリフレッシュだという方もいます。一見、人にも犬にも良い効果ばかりが期待できそうですが、やりすぎはNGかもしれません。
人はジョギング、ランに適した専用のシューズがありますが、犬は生身の足です。アスファルトからの衝撃を足がダイレクトに吸収するため、ハードな運動では足を痛める可能性があります。犬のコンディションを見ながら、距離や速度を適正にカスタマイズして楽しみたいですね。
3.立ち癖
立ち癖は、多くの飼い主が何気なく促しているNG行為の第一位と言ってもいいでしょう。犬は四足歩行をする生き物なので、二層歩行をすると足に負担がかかります。
家族が「ただいま~」と帰宅すると、そこには後足二本で立ち上がり喜ぶ愛犬の姿が。体全体で嬉しさを表現する様子に、思わず抱き上げると立ち癖がついてしまいます。
犬は行動連鎖で物事を学習する生きものなので、愛犬が後足二本で立ち飼い主が抱き上げる行為を繰り返すと「立つといいことがある」と脳に擦り込まれてしまうためです。
「足に良くないから、立ってはダメ!」と犬に注意する前に、ご自身の普段の行為を振り返り改善しましょう。
まとめ
犬と暮らしていると、犬がまるで人の子のように感じる場面も多くあります。親密な関係を築いているからこそ、感情の揺れ方や心の在り方は確かに同期しています。
しかし、犬の体の構造は人とはちがうことを、私たちは忘れてはいけません。足へ負担となる行為を減らし、愛犬と健やかな毎日を送りたいですね。