おやつを食べさせすぎることに潜むリスク
最近は肥満気味の犬が増えています。肥満はさまざまな病気の引き金となるため、愛犬の寿命を縮める大きな原因になり得ます。
消費カロリーより多くのカロリーを摂取すると、肥満になります。つまり食べ過ぎです。
食事については気を使うのに、おやつについてはあまり深く考えずに与えている飼い主さんが多いのではないでしょうか。
おやつも食べさせ過ぎると、肥満を招きます。
また、要求されるままおやつを好きなだけ食べさせていると、それが当たり前になってしまい、要求が通らなかった場合に強いストレスを感じて問題行動につながることがあります。
嗜好性の高いおやつで満腹してしまい、通常の食事を食べずに栄養バランスを崩し、健康を害することも考えられます。
このように、おやつの過剰摂取や与え方によっては、愛犬に好ましくない状況を生んでしまうということを意識して、一度愛犬のおやつについて見直してみましょう。
おやつの適量
犬が1日に必要とするエネルギー量を算出する計算式があります。
ドッグフードの袋には、その計算値を基準とした1日の給与量が記載されています。
しかし、愛犬の健康状態や1日の運動量によって、本当に必要なエネルギー量は変わってきます。
そのため、袋に記載されている数値を参考にしながら愛犬の体重の変化を観察し、愛犬にとっての最適な給餌量を見つけることが大切です。
そしておやつを与える場合は、食事を最適量の90%以上、残りの10%以内をおやつで賄うように配分するのが目安です。
つまりおやつの量は、1日の摂取カロリーの10%以内にし、総摂取カロリーがオーバーしないようにコントロールしましょう。勘違いとしてよくあるのが、おやつで摂取するカロリー分を主食のドッグフードからひかないパターンです。1日に必要なカロリーを300Kcalとすると、おやつは30Kcal、ドッグフードは270Kcalです。
大抵のおやつは、総合栄養食ではありません。
そのため、このバランスを崩すと愛犬に必要な栄養バランスが崩れて、健康を害する原因となる可能性があることに注意が必要です。
犬にとってのおやつの目的
そもそもおやつには、どのような目的があるのでしょうか。
農林水産省は、子供の食育に関するホームページの中で、おやつの目的について「食生活のリズムを乱さないため」と記載しています。
理想的な食事の間隔は4〜5時間。それに対して、現代の子どもたちは学校や塾などで昼食と夕食の間が7時間、またはそれ以上あいてしまうことが多い。
そこで、おやつを摂ることで夜遅くに食べすぎるのを防ぐ働きがあるとされています。
では犬にとってのおやつには、どのような目的があるのでしょうか。
人と一緒に暮らしている犬達は、自分の意思で食事を摂れません。
つまり、夜遅くに食べすぎないといった調整や栄養補給をおやつで行う必要性は、そこまで多くはないでしょう。
一般的に考えられている犬のおやつの目的は、下記ではないでしょうか。
- 飼い主さんと愛犬とのコミュニケーションツール
- 犬の気分を切り替えるためのツール
前者は、飼い主さんに限らず特定の方に愛犬を慣れさせるためのツールや、しつけの際のご褒美といった形での使われ方です。
後者については、新しい環境に慣れさせるとか、雷等への恐怖感を克服させる、何かに執着している気持ちを別の方向に向けさせるといった形の使われ方です。
おやつは決して愛犬の楽しみのためではなく、上記のような目的を果たすための手段であるという認識を持つ必要があるでしょう。
おやつを与える時のNG行為
1.欲しがるままに与える
冒頭でも述べたように、愛犬が欲しがるままにおやつを与えてしまうことで、肥満にさせたり、強いストレスを生じさせる原因となり得ます。
おやつの目的を意識して、飼い主さんが愛犬の言いなりにならないことが大切です。
2.大きいものをそのまま与える
ジャーキーやドライさつまいもなどの1つが大きいサイズのおやつは、1口分を小さくちぎって準備するようにしましょう。
犬は1度に沢山の量を食べるよりも、回数を多く食べることで高い満足感を得ます。
3.人間が食べているものを与える
人間が食べている食物には、犬にとって禁忌なものが含まれていたり、塩分や糖分が多すぎたりと、犬の健康を害するリスクがたくさん潜んでいます。
また1度与えてしまうと、もらえないことがストレスとなります。愛犬がせがんでも、人間用の食物を決して与えないということを徹底しましょう。
4.無目的に与える
そもそもおやつを与える目的はコミュニケーション(しつけ)だったり、気持ちの切り替えだったりします。
そのため、これらの目的に関係なくむやみにおやつを与えてはいけません。
習慣化してしまうと、本来の目的と関係なくおやつを欲しがるようになり、愛犬に無用なストレスを与えることにもつながります。
まとめ
飼い主さんにとっておやつが1日の中の楽しみになっている場合、愛犬に対しても同じように愛犬が楽しみにしているからという理由でおやつを与えてしまいがちです。
また、スイーツ好きの飼い主さんが、つい愛犬にも自分のスイーツの一部を与えてしまうこともあるでしょう。
その瞬間は、愛犬も飼い主さんも幸せを感じているかもしれません。
しかし、それが積もり積もることで、愛犬にとって不幸な状況を招く可能性が高いことを意識しましょう。
愛犬が健康で幸せに一生を送れるかどうかは、飼い主さん次第です。
必要な時には心を鬼にすることも、飼い主さんの愛犬への愛情なのです。