犬の噛み合わせが悪いとどうなる?不正咬合の症状と治療法

犬の噛み合わせが悪いとどうなる?不正咬合の症状と治療法

「嚙み合わせ」とは、口を閉じたときの上下の歯の位置に関する言葉で、人の場合も犬の場合もこの嚙み合わせは日常生活に大きく影響してきます。日常生活に支障がでてしまう噛み合わせの場合、犬においても矯正を行うことがあります。さて、噛み合わせが悪いと、どのような影響があるのでしょうか。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の歯列

口を見られるコーギー

犬は人間同様、生後数か月で乳歯が生えそろいその後永久歯に生え変わります。

乳歯は上下14本ずつの合計28本。生後四か月ごろから永久歯への生え変わりが起こります。

全て生え変わると上20本、下2本の合計42本の永久歯となります。

生え変わる順番は切歯からで、これも人間の子どもと同じですね。

犬の歯は切歯、犬歯(前歯の隣にある鋭くとがった長い歯で上下2本ずつ)が目立ちます。

犬歯の隣には前臼歯と呼ばれる、少し幅のあるぎざぎざの歯が上下左右合計で8本ずつあります。この歯は食べ物を固定して切り裂く役目があります。

さらにその奥には後臼歯が上下左右で合計10本あります。後臼歯は食べ物を細かくすりつぶす役割があります。

犬の噛み合わせ(咬合)の種類

犬の歯

1.シザーズバイト(鋏状咬合)

一般的に正常といわれる噛み合わせです。

人間と同様、口を閉じたときに上の切歯が下の切歯に軽く覆いかぶさります。

上の切歯の内側と下の切歯の外側が浅く接するような噛み合わせで、ハサミの刃の部分のように見えませんか?

2.レベルバイト(切端咬合)

噛み合わせた際に、上下の切歯が先端同士カチっとぶつかるように接する状態です。

これは不正咬合の一つです。

前歯の先端を合わせて口を閉じてみると、奥歯同士がちゃんと嚙み合わないことが分かります。

3.アンダーショット(下顎突出咬合)

上あごより下あごが長くなり、口を閉じたときに下の切歯が上の切歯より前に出ている状態の嚙み合わせです。

これも不正咬合の一つですが、短頭腫のパグ、ブルドッグなどの犬種においてはこの噛み合わせが正常(スタンダード)とされています。

4.オーバーショット(上顎前出咬合)

下あごより上あごが長く、口を閉じたときに上の切歯が下の切歯よりずっと前に出て、完全に下の切歯の前に覆いかぶさるような噛み合わせとなります。

人間も目立ちませんがこの噛みあわせの人もおり、上の切歯の内側の歯茎に下の切歯が当たって傷つけている場合もあります。

不正咬合とはシザーズバイト以外を指し、このほかにも左右の歯の生え方にアンバランスが生じるライバイトや、一部の歯並びに異常があるクロスバイトなどがあります。

不正咬合の治療について

歯を見てもらう犬

不正咬合は遺伝的な影響もあると言われています。

大きな犬より小さな犬に多く、これは品種改良などの影響もあるようです。

歯の位置や顎の位置の問題で不都合が生じている場合は治療が必要でしょう。

犬の不正咬合での主な不都合は食事のとりづらさ、歯周病になりやすいなどの問題です。

噛み合わせが悪い場合は硬いフードが食べにくかったり、うまくかみ砕けずに丸飲みになってしまったりすることがあります。

また歯磨きグッズを使ったとしても歯垢(プラーク)が取れきれず歯周病になったり、歯が当たることで歯茎や口内のどこかを傷つけてしまったりするトラブルも多いようです。

あまりに酷い不正咬合の場合、トラブルが大きくなる前に獣医さんで処置してもらうことも検討しましょう。

ただし、犬の歯列矯正は専門性が高いためどの獣医さんでもできる処置ではありません。まずは相談をしてみることをお勧めします。

また犬が特別不自由を感じていないようであれば、家庭犬の場合は特に矯正や抜歯などの必要はないと思われます。ショーで良い賞をとるためのみが理由の矯正や治療は、その形質が遺伝し異常を持った犬が増える可能性があるのでお勧めできません。

まとめ

歯ブラシを持つ犬

人間の場合は歯列矯正が比較的一般的のようですが、犬の場合は噛み合わせが少しずれていても、健康的な生活にそれほど支障がでなければ治療の優先度はそれほど高くありません。

しかし生え変わり時に永久歯が生えてこない、何か歯茎が腫れているような気がするなど、「あれ?」と思ったら、重要な顎の疾患などがあることも視野に入れて獣医さんに相談してみてくださいね。

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