そもそもハーブって何?
ハーブとは、強い香りを持ち人々の生活のさまざまな場面で役に立つ植物の事です。
植物は自らの身を守るために、細胞の酸化を防いだり抗菌作用のある成分等を産生するように進化してきました。
人々はそれを香草として料理に、薬草として民間療法に利用してきました。
また、日常的に煎じて飲んだり化粧品に配合したり等、身近で使われています。
かつては治療薬だったハーブも、医学が科学として発展し西洋医学が確立されると、次第に廃れていきました。
しかしヨーロッパでは民間療法として伝承され、20世紀後半に再び世界的に関心が注がれるようになりました。
私達や愛犬達が体調を崩した時に受診する病院や動物病院では、基本的には西洋医学を中心とした治療を行っています。
しかし中には、補助的な位置づけでハーブや漢方が処方される場合もあります。
現在におけるハーブは、本来動物が持っている自然の治癒力を高めるための手段として使われることが多いです。
ハーブにはビタミンや薬効成分、微量元素などが含まれ、緩やかな効き目で犬自身の治癒力を整えるのです。
ハーブを犬に与えても大丈夫?
人間がハーブの効果に気付いたのは、手負いの動物が特定の草を食べたり、特定の植物の下で休憩したりして傷を癒やす姿を見たからだといわれています。
犬も野生時代には、本能的に身体が弱ると必要なハーブを食べていました。
医薬品は植物中の有効成分を抽出して製造するため、特定の症状を狙い短時間で効果を発揮します。
ハーブは天然素材なので成分の種類が多く、身体の働きのバランス全体を時間をかけて整えるといった効果を発揮します。
注意が必要なのは、食べても良いハーブと毒になるハーブがあることです。
しかも人間にとっては有益でも、犬には中毒や体調を崩す原因となるハーブも多いです。
野生時代であれば、毒となるハーブを本能的に察知できたかもしれません。
しかし人と一緒に暮らすようになった現在の犬たちにその能力を求めるのは、酷というものでしょう。
ハーブを犬に与えるか与えないかの判断は、当然飼い主さんが行うべきです。
ハーブの与え方
ハーブを与える場合は、生または加熱したものを細かく刻んだり、ハーブティーにしたりして、いつものフードにかけるなど、いろいろな方法があります。
ハーブ毎に適切な方法と容量を守りましょう。
ハーブの成分が原因でアレルギーを起こす場合もあるため、最初はごく少量から与えます。
ハーブティーも薄めたものを与えましょう。
香りがきつい場合、嫌がる犬もいます。無理に食べさせるのはやめましょう。
市販のブレンド品ではなく、単一ハーブの使用をおすすめします。
ブレンド品の中には、犬に禁忌のハーブが含まれていることもあります。
万が一アレルギーを起こした時にも、アレルゲンの特定が難しくなります。
初めての時はしばらく愛犬の様子に注意をし、異変が現れたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
痒み、下痢、嘔吐などが出た場合は、アレルギー等の可能性があります。
おすすめのハーブ
1.ローズヒップ
抗酸化作用が高く、レモンの20〜40倍のビタミンCが含まれています。
ビタミンCは犬の体内で合成できますが、免疫力アップの効果があるため摂取した方が良いといわれています。
特に紫外線が強くなる夏場や老犬におすすめです。
2.オレガノ
チモール、カルバクロールといった抗菌作用を持つ成分が含まれています。
ビタミンCやEなどのビタミン類や、カリウム、鉄分、カルシウム等も豊富で、抗酸化作用や消化促進の効果が期待できます。
3.紫蘇
日本を代表するハーブの一つです。ビタミン類、βカロテン、カリウムなどが含まれ、消化を助け疲労を回復する効果が期待できます。
4.ミント
すっとした爽やかな香りが特徴で、殺菌効果や口臭対策に期待できます。
エッセンシャルオイルは、犬が口にすると中毒を起こすので注意が必要です。
5.バジル
イタリア料理によく使われます。
βカロテンやカルシウム、カリウムなどが含まれ、免疫力向上、抗酸化作用、血圧維持、代謝を上げる等の効果が期待できます。
6.タイム
臭い消しや香り付けで料理によく使われるハーブです。
殺菌効果、抗ウイルス作用、消化不良改善の効果が期待でき、清涼感のある香りが犬の体臭を和らげます。
7.ラベンダー
リラックス効果や安眠効果が期待できます。
使用できるのは真正ラベンダーという種類で、ラベンダー・ストエカスは犬にとって禁忌です。ラベンダーは種類が多いのでよく確認して購入しましょう。
8.ローズマリー
爽やかな香りで肉料理の臭い消しに使われるハーブです。
ロスマリン酸という成分が多く、抗アレルギー作用や抗炎症作用が期待できます。
まとめ
現代は西洋医学が主流ですが、生命の神秘が全て解明されたわけではなく、犬にも昔から伝承されてきたハーブや漢方が、補助的に活用されています。
使用にあたっては禁忌なものや体質との相性等、素人が気軽に使用するにはリスクも潜んでいます。
しかし、事前によく調べ正しく利用すれば、愛犬の身体に負担をかけずにゆっくりと体調を整えていく効果を期待できます。
愛犬に持病がある、アレルギー体質であるといった場合は、必ず事前にかかりつけの獣医師に相談をしながら、上手に健康管理に取り入れてみましょう。