ウンチは健康のバロメーター
犬の健康なウンチとは、どういうものでしょうか。
もちろん個体差がありますが、一般的には、次のようにいわれています。
- 手で掴んでも崩れない程度の硬さ
- しっとりしているが、地面には跡がつくかつかないか程度の水分
- 1回で1〜2本程度の細長い便がスムーズに出される
そして、ニオイです。
いい匂いのするウンチはありませんが、健康な場合は異常な程きついニオイはしません。
特に、いつも同じフードを食べている場合は、ウンチのニオイも同じはずです。
いつものウンチとは異なり、異常にウンチのニオイが強くなった、または急にニオイが変わったという場合には、裏に病気が隠れている可能性も考えられます。
ウンチが異常に臭くなる原因や、裏に隠れているかもしれない病気について、まとめました。
1.腸内細菌叢のバランスが崩れた
ウンチが最後に通過する消化器官が「腸」です。
腸内には腸内細菌叢といって、数百〜数千種類の細菌が生息しています。
その菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分類できます。
善玉菌とは、腸内で発酵を起こして消化吸収を助けたり、各種ビタミンや酵素を作り出したり、免疫細胞を活性化させて感染等の防御などの役に立つ、健康の維持に役立つ細菌群です。
悪玉菌とは、腸内で腐敗を起こして発ガン性物質を作り出したり悪臭ガスを発生させたりする、健康を害する細菌群です。
日和見菌とは、健康な時にはおとなしくしていますが体調が悪くなると腸内で悪い働きをする菌です。
腸内細菌叢の構成は食べ物や環境によって変わり、個体差が大きいのですが、健康体の場合は善玉菌の割合が高くなります。
体調を崩して悪玉菌の割合が高くなると、悪臭ガスが発生したり食べたものが腐敗したりするため、ウンチがきついニオイになります。
ウンチのニオイに腐敗臭を感じた場合は、体調を崩して悪玉菌が増えている可能性があります。
悪玉菌が食べたタンパク質を腐敗させて発生した、硫化水素、二酸化硫黄、アンモニアなどが腐った卵のようなニオイの素なのです。
変えたフードが体に合わない、ストレスの高い状態が続くなどが、腸内細菌叢のバランスを乱す原因となります。心当たりがある場合は、改善しましょう。
改善しても変わらない、または心当たりが無いのにウンチのニオイが腐った卵のようなニオイになったという時は、なるべく早めに動物病院で診てもらいましょう。
2.消化管からの出血
消化管のどこかから出血をしている場合は、ウンチのニオイが血なまぐさくなります。
出血しているのだから真っ赤なウンチが出ると思われるかもしれませんが、そうとは限りません。
よく間違えるのは、フードを赤く染めている着色料の色がウンチを赤くしている場合です。
犬は赤い色を認識できません。ドライフードやペット用のジャーキーを赤く染めているのは、飼い主さんに対してのアピールです。愛犬にとっては何のメリットもありません。
ウンチが血なまぐさい場合は、ウンチの色や状態もよく観察してください。
便に明らかに赤い血が混じっている場合は、大腸炎や、大腸に腫瘍ができている可能性があります。
肛門の近くからの出血なので、血の色も赤い状態で確認できます。
血なまぐさくて黒っぽい色の場合は、肛門から少し離れた小腸での出血が考えられます。どす黒くしたケチャップのような色の場合もあります。
さらに離れた胃からの出血の場合は、どす黒いコールタールのような軟便になります。
消化管からの出血は、ポリープや腫瘍ができたり炎症を起こしたりして、そこから出血しているといったような、深刻な病気の場合が多いです。
特に、小腸や胃からの出血が疑われる場合は、様子を見ようとせずにすぐに動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
ウンチは、口から入った食べ物が消化管を通りながら消化され残った部分や消化酵素、消化管の組織から剥がれが細胞、腸内細菌などです。
つまり、ウンチは消化管の健康状態が反映されているといえます。そのため、「ウンチは健康のバロメーター」だといわれています。
いい匂いのするウンチはありませんが、それでも健康体のウンチはそれ程きついニオイはしません。
また、同じフードを食べている犬のウンチは、基本的には同じニオイがします。
もしもウンチからいつもと異なるニオイがした場合には、愛犬の体調が崩れているサインです。
特に、卵が腐ったようなニオイや血なまぐさいニオイがする場合には、体調不良や腫瘍、炎症など深刻な病気が隠れている可能性があります。
ニオイとともに、ウンチの状態や色なども確認した上で、すぐに動物病院で診てもらいましょう。