愛犬は『子犬だったころ』を覚えているのか
多くの飼い主さんは、愛犬と日頃から遊んだりスキンシップをとったり…と、様々なコミュニケーションを通じて愛情を注いでいると思います。
今は「飼い主さん大好き!」と全身で伝えてくれている愛犬ですが、家にやってきた頃は、どこか不安そうに怯えていたり警戒していたりする姿を見せていたはずです。
そんな愛犬との日々を思い返していると、ふと「犬は自分が子犬だったころを覚えているのだろうか」「母犬を思い出して寂しくなったり懐かしくなったりするのだろうか」と思うことはありませんか。
飼い主としてはちょっぴり寂しくもある気になる疑問。実際に犬は『自分が子犬だったころ』を覚えているのでしょうか。
犬は『自分が子犬だったころ』を記憶していないことが多い
犬は言葉を話すことができません。そのため、明確に「自分が子犬だったころを覚えている?」という疑問に答えてもらうことはできません。しかし、世界中で行われている実験や体験談を元に「犬は自分が子犬だったころを記憶しているのか」を考察することはできます。
1.成犬は母犬を記憶していないことが大半
結論から言ってしまうとすでに成犬になった犬は母犬のこと、つまり『自分が子犬だったころ』を記憶していないことが大半だと言われています。犬の知能や記憶力、認識能力などを考えると、ずっと会っていない母犬のことを記憶していられるとは考えにくいと言われています。
そのため、ずっと引き離されていた母犬に成犬になってから会わせてみると、多くの場合、母犬をまったく知らない赤の他人として認識するような反応を見せると言います。
「初めまして〜」というように挨拶をしていたり、中には警戒心から吠えかかってしまう犬もいるのだとか。
ちなみに、母犬は子犬のことを覚えているのかという疑問には、答えは「NO」です。もちろん、一緒にいるうちは「自分の子ども」と本能的に認識しているため、姿が見えなくなると探し回ったりお世話をしたりします。
しかし、1週間も離れていると次第にその子犬のことを忘れ、自分の子どもという認識はなくなってしまう犬が多いと言います。
2.子犬は一度引き離されても母犬を覚えていることがある
子犬は子犬の時期に母犬から引き離され、母犬と会わずに成長してしまうと、母犬のことを忘れてしまいます。もちろん、兄弟犬に関しても同じことが言えるでしょう。
しかし一度引き離された後、再び短期間の間に会わせると「以前に会ったことのある知っている犬」として認識すると言われています。つまり、一度引き離されても短期間の間に再会させることで、母犬や兄弟犬のことを記憶しておくことができるのです。
ただし、犬に家族関係という概念はないため、「この犬がお母さんだ!」「この犬は僕の兄弟」といった感覚はありません。あくまで「知っている犬」という感覚で記憶していると言います。
3.1歳までの子犬期に過ごした飼い主のことは記憶していることが多い
では、飼い主と過ごした子犬期も忘れてしまっているのかと言われると、そうではありません。もちろん、覚えていることと覚えていないことが出てくると思いますが、その人と一緒にいることで、その人との思い出などを記憶しておくことは可能です。
例えば、子犬期に覚えたトイレトレーニングや基本動作などは、成犬になってからも記憶し実行することができますよね。また、飼い主さんが名前を呼んだり、普段使う言葉(「散歩」「遊ぶ」など)を発したりすると、パッと振り向いて反応してくれます。
このように親元を離れ、そこから一緒に過ごしてきた飼い主との記憶は「これをすると嬉しいことが起こる」「こうしたら飼い主さんが喜んでくれた」というような犬にとって嬉しかった(楽しかった)出来事と関連づけて記憶していることが多いです。
つまり、人間ほどの記憶力はないにしても、飼い主との楽しかった出来事や嬉しかった出来事や印象的な出来事は、飼い主の存在と関連づけて記憶しているのです。
まとめ
犬は『自分が子犬だったころ』に関して、すでに長い間、関わりのない出来事や存在に対しては覚えていないことが多いです。しかし、いつも一緒にいる飼い主との思い出はしっかり記憶していることが多いと言われています。
この結果を踏まえると、より愛犬が愛おしく感じる人も多いでしょう。ぜひすぐにでも隣にいる愛犬(あるいはお家にいる愛犬)にたくさん愛情を注いであげてくださいね!