『飼いやすい犬』ではなく『買いやすい犬』

『飼いやすい犬』ではなく『買いやすい犬』

よく「飼いやすい犬ってどんな犬種ですか?」といった質問や、「飼いやすい犬ランキング!」などといったものを目にすることがあります。しかし、実際のところすべての動物にいえることですが『飼いやすい犬』というものは存在しません。犬というものが命である以上、そこにはその犬の性格や性質・気質というものが存在し、ひとつひとつの個体に意思があります。そうしたことから、飼いやすいではなく『買いやすい』の間違いではないかと思うのです。ぜひ一度この機会に、犬を「飼うこと」と「買うこと」について考えてもらえたらと思います。

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飼いやすい犬は存在しない…なぜなら命だから

白い犬と女性

飼いやすい犬を探しているのであれば、まずそんな犬は存在しないんだということを知っていただきたいと思います。

先述したように犬は命そのものであり、個体ごとに意思や感情があり、犬種による気質・性質というものがあります。

人間は人間、犬は犬。全く別の生き物なのは言うまでもなく理解できるかと思いますが、多くの人が犬を「擬人化」してしまうからいけません。

擬人化するということは、人間のように扱い育てることに繋がり、それは結果として犬を苦しめてしまいます。

もちろん、飼い主となる人の考えや気持ちとしては、決して犬を苦しめたいなんて微塵も思っていないでしょう。

ですが、「犬は犬であり人間ではない」ということを忘れてしまうと、望まない悲しい結果を生み出してしまうことを知ってください。

つまり、犬と生活をともにするためには、犬という動物をきちんと理解し、何が必要でなにが禁忌なのか、どんな制限が生まれ、なにができるかを知る必要があるのです。

どうでしょう?これは犬種に限らず、全ての犬に必要不可欠な基礎の部分です。

この時点ですでに「飼いやすい…」とはちょっと違う気がしませんか?

飼いやすい犬ではなく買いやすい犬という商品

看板を首に下げた6頭の犬

「飼いやすい」犬はいません。

なぜなら私たちは犬と生活をするのであれば、自分自身の生活に更に制限がかかり、犬のために時間もお金も使い、生活環境を変えていく必要があるからです。

また、犬は生き物ですから吠えることもしますし、物を破壊することも、必要なら噛み付くこともあります。

「うちの子はおとなしいから」「この子はおりこうさんだから」というセリフもよく聞きますが、それはその犬がたまたまおっとりした性格であったり、人間を含む生活環境がよかっただけかもしれません。

もしかしたら、一見おとなしく見えるだけで、実はすごく活発な性格なのに、飼い主さん自身がそれを『飼いづらさ』と気づいていないだけかもしれません。

とすれば、もし同じ犬を迎えたとしても、他の人にとっては「なんて飼いにくい犬なんだ」と感じてしまう可能性だってあるのです。

しかし、犬はペットショップに行けばどこにでもいますし、お金さえ払えば簡単に迎えることができます。

そうです、犬は飼いやすいのではなく、お金さえ払えば簡単に手に入れられる買いやすい動物であり商品なのです。

犬を飼うということは不自由であり窮屈な生活

スリッパを咥えたプードル

命を「商品」と表現することに不快感を覚えた方が、もしかしたら多くいらっしゃるかもしれません。

しかし、それを商売として収益を出している以上は、命を持った商品という事実は変わりません。

また、その事実を念頭に置いて忘れないようにするだけでも『飼いやすい犬』なんて考えなくなるのではないでしょうか。

なぜなら、飼いやすさを売り言葉にしているということは、それを理由に買ってもらいやすいということになりますし、根本的に飼いやすい犬なんてものは存在しないからです。

犬を迎えるということは人間自身に制限が多くなり、支出は増え、はっきり言うと窮屈な生活になります。

病気をすれば病院に行かなければいけません。

それ以前に、必要な予防のために、病気でなくても病院にはお世話にならなければなりません。

また、毎月1回から2回のグルーミング、トリミング、というものは欠かせません。

自宅でも毛玉ができないように毎日ブラッシングをしたり、短毛犬種でも抜け毛対策は必須です。

さらに人間社会でのマナーとルールを教える必要があるためドッグトレーナーを探し、教えたことを継続したり、新しことを教えるというのも一生続く話です。

また、どんなに仲良く穏やかな生活をしていたとしても、何かをきっかけに噛み付くようになれば非常に悩み苦しむでしょう。

そして、その悩みと苦しみは犬自身も抱えていることであり、それに気づき適切に対処・予防していかなければなりません。

それが飼い主としての責務だからです。

どうでしょう、とても快適で開放的な生活とはいえないのではないでしょうか。

しかし、こうしたすべてのことを苦労と思わずに犬と一緒に解決していくこと、楽しみながら一緒に取り組み生きていくことができるなら、犬を飼うということには大きな意味があると言えます。

まとめ

ショップで売られている犬

犬にはそれぞれ個性があり意思をもち感情をもち生きているひとつの命です。

決して飼いやすい犬というものは存在せず、どんな犬であっても人間社会で共に生活をするとなると苦労は絶えません。

しかしそうした苦労さえも、経験として前向きに捉え、楽しく穏やかな生活を送るためのステップであり、そのための時間もお金も惜しまない気持ちと行動力があるのなら、あとはあなたにとっての飼いやすさ…というもので選ぶとよいでしょう。

買いやすい犬がたくさんいる世の中。

本当に実際に飼いやすいかどうかは、あなたの生活環境とあなたの気持ち次第です。

決して、飼いやすい犬は苦労の少ない犬、と誤解しないようにしてください。

そして、迎える前にしっかり勉強し実際に迎えても大丈夫なのかを自問自答して決断し行動してください。

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