ペットの存在は自殺のリスクを低下させるだろうか?という研究結果

ペットの存在は自殺のリスクを低下させるだろうか?という研究結果

犬と暮らすことが心身の健康に良い影響があることは多くの研究が発表されていますが、最も深刻な問題である自殺のリスクの低下にも関連しているかどうかを調査した結果が報告されました。その内容をご紹介します。

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今までなかったペットと自殺リスクの研究

落ち込んでいる女性と寄り添う犬のイラスト

犬と暮らしていると一人暮らしの人でも孤独感が和らいだり、精神的にサポートされていると感じる経験は多くの人が持っていると思います。

犬が飼い主のメンタルヘルスに良い影響をもたらすという研究も数多く行われて、証拠やデータが示されています。

しかし、メンタルヘルスの問題の中でも最も深刻とも言える自殺について、ペットの存在の影響について書かれた文献はほとんどないのだそうです。

先ごろアメリカのサンディエゴ州立大学の心理学の研究チームが、ペットへの愛着と自殺リスクの関連について調査した結果を発表しました。

対人関係への絶望とペット

窓際に座る女性と犬のシルエット

人はなぜ自らの命を絶ってしまうという決断をするのかについて「自殺の対人関係理論」という説明があります。

この理論によると、3つの要因が組み合わさった時に人は人生を終えたいと思うリスクが高くなると言われています。

その3つとは
「自分はどこにも属していないという感覚」「自分は誰かの重荷になっているという感覚」「これらのことが変わらないという絶望感」です。

研究者はペット(特に犬)を飼うことは帰属意識が高まり、世話をすることで責任感や目的意識が生じて、誰かの重荷になっているという感覚を和らげるので、リスクの低下につながるのではないかと考えました。

ペットへの愛着と絆の強さが人を救う

クッションの上で重ねた犬と女性の手

研究チームはペットを飼っている人187名と、飼っていない人82名への聞き取り調査を行いました。参加者は対人関係の帰属感、誰かの重荷になっているという感覚などを測定する項目に回答しました。これらの質問項目は自殺行動に対する素因を調査するものです。

また、別の項目ではペットに対する愛着の度合いを測定する質問がありました。これらの結果を総合すると、ペットへの愛着が強い回答者は自殺行動の素因が低いことが分かりました。

ペットを飼いさえすれば精神的なサポートが得られるというわけではありません。ペットに対する感情は個人によって様々です。ペットが思い通りにならないことでイライラしたり腹を立てたりする場合、犬や猫の存在は悪影響になることもあり得ます。

またペットへの愛着では、ペットと親密になることをわざと避けるという「愛着回避」の人もいます。この場合もペットの存在は精神的なサポートにはなりません。

ペットへの愛着は強いが「自分はペットから愛されていないのではないか」と考える「愛着不安」の人も帰属感の低下に陥るリスクがあるので、ペットの存在がメリットになる可能性が低くなります。

まとめ

コーギーを抱きしめる若い男性

ペットへの愛着と自殺傾向の素因との関連を調査した結果、愛着回避や愛着不安に当てはまらず、ペットへの愛着が強い人は自殺傾向の素因が低いことがわかったという報告をご紹介しました。

たいへん重いテーマであると同時に、人の心という複雑なテーマですから単純な答えが出ることではないのですが、ペットの世話をするという行動と愛着を持つという心理状態が、精神的なサポートになる可能性は高いと言えるようです。

ただ他の「ペットと飼い主の健康」のテーマと同じように「ペットを迎えると健康になる」というふうにペットを目的のツールにしてしまっては本末転倒です。ペットの存在が結果的に良い方向に向かわせてくれたというのが結論であり、これらの研究の解釈の難しい点でもあります。

《参考URL》
https://doi.org/10.1027/0227-5910/a000822

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