ペットフードと環境問題
愛犬や愛猫と暮らす大多数の人がお世話になっている市販のペットフード。近年、それらペットフードが環境に及ぼす影響がいろいろなメディアで取り沙汰されています。
畜産が土壌や水質の汚染をはじめとするさまざまな環境負荷を作り出していることは広く知られ始めました。人間に飼われている犬や猫のためのペットフードには世界の肉や魚の約20%が使用されているとも言われています。
ペットフードが温室効果ガス、過剰なチッ素、農薬などの環境負荷の一端を担っていることは犬の飼い主として知っておきたいことです。
先ごろイギリスのガーディアン紙が、過去5年間でMSC認証を受けた水産物を使ったペットフードが大幅に増加したことを報告しています。それはどういうことなのでしょうか?
MSC認証の水産物を使ったフーズとは?
MSC認証とは国際的な非営利団体である海洋管理協議会が、将来の世代にまで海洋資源を残せるよう持続可能な漁業で獲った水産物であるという認証です。乱獲によって多くの魚や水生生物が絶滅の危機に晒されていることから取られた対策です。
イギリスでは、このMSC認証の水産物を含むペットフードが過去5年間で49種から77種へと57%の増加を見せたそうです。魚は元々肉に比べて二酸化炭素排出量が低く、環境への負荷が少ない食材と考えられています。
これはイギリスで市販されているペットフードに魚を使ったものが増えている理由のひとつです。日本でもいろいろなイギリス製フードが購入できますので、魚ベースのフードにもぜひ注目してみてください。その際MSC認証が付いているかどうかを確認してくださいね。
ペットフードでは養殖サーモンを使ったものも多いですが、養殖魚の場合は、環境と社会への影響を最小限に抑えたというASC認証が付いているかどうかがポイントです。
魚の他にも環境配慮型のペットフードが増加
MSC認証の魚を使ったペットフードの他には、植物ベースのペットフードも売り上げを伸ばしています。
ただし、獣医師協会などは犬や猫に植物性の食べ物だけを与えるのは適切ではないとアナウンスしています。植物ベースのペットフードは栄養素が適切に添加されているかどうか、見極める力が必要です。
犬や猫の体に無理のない動物性タンパク質を使った環境配慮型フードで注目されているのは、養殖した昆虫を使ったものです。大手ペットフードメーカーも参入を発表しているので、昆虫フードも近いうちに身近なものになるかもしれません。
また少数ながら、外国から持ち込まれて過剰に繁殖し環境に悪影響となっている外来種の魚をペットフードにしているメーカーもあります。
また魚の皮や内臓を全て取り除いたり、食肉のうち人間の過食部分だけをペットフードに使うといった食資源を無駄にしている面も否めません。
大切な愛犬や愛猫の食べるものの質を落とさずに、環境への負荷を小さくする方法もあるということは知っておきたいですね。
まとめ
イギリスではMSC認証の水産物を使ったペットフードが大幅に増加しているという報道をご紹介しました。
愛犬も愛猫も大切な家族ですから、食べるものにも配慮したいという思いは当然のことです。しかし気候変動や世界的な食材の不足傾向を考えると、10年前とは違う視点でのフード選びも必要になっているのではないでしょうか。
幸いにも犬猫の食べ物などどうでも良いという風潮はありませんので、新しい選択肢があることを知って、愛犬や愛猫と環境に良いものを選びたいものです。
《参考URL》
https://www.theguardian.com/environment/2021/nov/25/eco-friendly-pet-food-sale-soar-uk-owner-become-aware-impact-msc-certified-sustainable-seafood
https://www.msc.org/jp/what-is-sustainable-seafood-jp