1.自分の気持ちを落ち着かせるため
飼い主さんと遊んでいる時に勢い余って噛んでしまったり、テンションが上がっていて近くにあった飼い主さんの手足を無意識に噛んでしまったりした場合、犬自身がショックを受けることがあります。
日頃から噛んではいけないということをきちんと学習している犬ほど、無意識であっても噛んでしまったことに対して「まずい!」「どうしよう…」と困惑したり、焦ったりする様子が見られます。
そうした気持ちを落ち着かせるために、噛んでしまったところや飼い主さんのことを舐めることがあるのです。
犬は不安やストレスを感じている時に、自分の体を舐めて落ち着かせることがありますが、それと同様の意味で飼い主さんを舐めることもあるようです。
2.飼い主さんを落ち着かせるため
飼い主さんのことを噛んでしまった時、自分の気持ちを落ち着かせるためだけでなく、飼い主さんのことを落ち着かせようとして舐めることもあります。
飼い主さんが噛まれた時に、思わず「痛いっ!」と叫んだり、噛まれた場所をさすったりしている姿を見て、自分が大変なことをしてしまったと気付いて舐めてなぐさめることがあります。
犬は反省の意味で舐めることはあまりないとされていますが、中には噛まれてびっくりしている飼い主さんを落ち着かせたり、「ごめんね」という気持ちを伝えたりすることもあるのだと思います。
3.自分の優位性を示すため
犬が噛んでしまった人のことを舐める様子が、なぐさめたり反省したりしているように見えます。
しかし、その反対の意味でマウント行為として舐めてくることもあるのです。
犬が人に対して甘噛みしたり舐めたりする時、「自分の方が立場が上」という意思を示していることがあります。
そして、それを大人しく受け入れている飼い主さんを見て、その関係性に納得していると勘違いしてしまうことも。
このような行動は、遊びの中で思わず噛んでしまった場合などではなく、威嚇や攻撃のつもりで噛んだ場合に見られるとされています。
自分の物を取られそうになった時や思い通りにならなかった時などに軽く噛み、飼い主さんが行動を止めるとそれを評価するかのように舐めてくることがあるのです。
こうしたことが見られる場合は犬との関係性を改めて築き直す必要があります。
基本的なしつけやコミュニケーションの方法を見直してみるといいでしょう。
4.遊びやスキンシップのつもり
犬が噛んでしまった後に舐めてくる行動は、遊びやスキンシップの一貫として行われていることもあります。
特に、体を甘噛みしたり舐めたりすることでコミュニケーションを取ることが多い子犬や、飼い主さんとのスキンシップが大好きでテンションが上がりやすい犬によく見られるとされています。
この場合、噛んできた時にも本気で飼い主さんを傷つけようとしたり、攻撃しようとしたりしているわけではありません。
甘噛みというコミュニケーションのつもりで噛んでしまい、その延長線上のように遊びや甘えの気持ちから舐めてくるのです。
ただし、遊びであっても人の体に歯を立てることは絶対に許可してはいけません。
体が大きくなり力が強くなったり、興奮のあまり力の調整ができなかったりすると、遊びのつもりでも大怪我につながってしまうことがあるのです。
そのため、子犬のうちから少しでも人の体に歯を当てるようなことがあれば、しっかりと適切な対応を取るようにしてください。
まとめ
犬が人を噛んでしまった後、噛んだ場所をペロペロと舐めることは多くあります。
「ごめんね」と言っているようにも見える行動ですが、残念ながらほとんどの場合、反省の意味は込められていないと考えられています。
舐めることに大きな意味はないこともありますし、必ずしもネガティブな意味ばかりではありません。
しかし、舐めてくれたからといって「ありがとう」などと言ってなでたり、優しく接したりすると、犬は勘違いして優位に立とうとしてしまうこともあるので注意が必要です。
犬が噛んできた時は、毅然とした態度で叱るか反応せず無視をするなどの対応を取るといいでしょう。
ただし、酷い噛み癖がある場合は、原因や状況により適切な対応が異なるので、ドッグトレーナーなど専門家の指導を受けるようにしてください。