犬のためにやったことでも…
飼い主さんが愛犬に対してどんなに愛情をたっぷりと注いでいても、その気持ちがすべて愛犬に伝わるとは限りません。なぜなら、犬と人では感覚や思考に違いがあるからです。
ただし、人間の行動を犬がどのように受け止めるのかについて、現時点でわかっていることを積極的に知ることで、飼い主さんの愛情を正しく愛犬に伝えられることが増えていくはずです。
そこで今回は、飼い主さんが愛犬のために良かれと思って普段やっている行為が、実は「逆効果」となってしまうかもしれない、比較的代表的なNG行為をご紹介します。
犬にとっては逆効果な行為とは
1.一方通行な可愛がり方
飼い主さんが愛犬と一緒に過ごす時に、愛犬の気持ちを汲むことができず、ご自身の気持ちだけを優先させてはいないでしょうか。
例えば、いつまでも愛犬を構い続けたり撫で続けたりといったように。
また「犬だって自由にしたいはずだ」という考えで、外をノーリードで散歩させたりしてはいないでしょうか。
過剰なコミュニケーションはストレスになり、ノーリードは事故や喧嘩のリスクを高めます。
このように、飼い主さんの一方通行の愛情表現は、逆効果となることがあるのです。
飼い主さんには、常に愛犬の感情や周囲の状況を冷静に判断することが求められます。
2.無理やり他の動物と仲良くさせたがる
「愛犬にも友達が必要だろう」と考える飼い主さんがいらっしゃるようです。
しかし、他の犬とのコミュニケーションが苦手な犬もいれば、相性の良し悪しもあります。
つまり、どんな犬とでも必ず仲良くなれるというわけではないのです。
それを理解せずに、散歩やドッグランなどで出会った他の犬と無理矢理仲良くさせようとするのはよくありません。
愛犬が仲良くしたがっているのでなければ、無理矢理他の犬と遊ばせる必要はありません。
かえって、ケンカに発展してしまうリスクもあるということを理解しましょう。
3.嫌なことを長時間やる
どんなに飼い主さんのことを信頼していても、歯磨きや爪切りなど、日頃のお手入れが苦手だという犬は少なくありません。
飼い主さんもそれを承知していて、「嫌なことは一回で済ませてあげよう」と、お手入れを一回にまとめてしまう場合があります。
実は、嫌な思いを長時間強いられるよりも、複数回になっても一回の時間が短い方がストレスが軽い場合も多いのです。
愛犬が嫌がるけれどやらなければならないことは、作業を小分けにして一回の時間を短くするように工夫してみてください。
4.ご褒美と勘違いさせるしつけ
犬の知能は、人間の2〜3才児程度だといわれています。人間の子どもも犬も、イタズラをする理由は同じで「自分に関心を向けたい」からということが多いでしょう。
しかし、その対応方法は決して同じではありません。
子どもには、なぜそういうことをしてはいけないのかを、言葉で説明します。
しかし、犬は飼い主さんの言葉をそのまま理解できるわけではありません。叱っても、「飼い主さんが自分に関心を持ってくれた!」とかえって喜ばせてしまいます。
つまり、イタズラを肯定するような間違った学習をしてしまい、しつけとしては全くの逆効果になることが多いのです。
悪いことをした時は無視をし、良いことをした時には褒めることで、上手にしつけをしていきましょう。
5.乾かし方が不十分
散歩から帰ると、足先を洗ってから家に上げると思います。
その際に、洗うことには注意を払っても、その後にしっかりと乾燥させることに注意を払わない飼い主さんもおられます。
しかし、足の指の間の毛をしっかりと乾かさないことで蒸れてしまい、皮膚のトラブルを生じることが多いので、注意が必要です。
しっかりと乾いたタオルで水分を拭き取る、ドライヤーで乾かす等の対応をしましょう。
6.ブラッシングで力を入れすぎる
ブラッシングは、抜け毛を絡め取ったり皮膚の血行を良くしたりといった効果があるため、できるだけ毎日してあげたいお手入れの一つです。
しかしあまり力を入れすぎると、かえって皮膚や被毛を傷つけてしまうことがあります。
また、その痛さで愛犬がブラッシング嫌いになってしまうこともあるかもしれません。
愛犬の表情や仕草をよく観察し、ブラシの力加減を調節しましょう。
7.シャンプーを直接ゴシゴシとこする
シャンプーは、泡で汚れを包むのが基本の洗い方です。
ゴシゴシとこすると、皮膚に対する刺激が強すぎたり、傷ができる原因になります。
シャンプーは、事前にお湯で溶き、洗浄用のネットなどで泡立ててから使うようにしましょう。
ただし、細菌感染があるために行うシャンプーの場合は薄めな方がよい場合もあります。反対にクロルヘキシジンなどの殺菌成分が刺激となり発疹が出てしまうこともあります。はじめてつかう場合は、少し薄めてシャンプーし問題がなければ原液で洗いましょう。心配な場合は、獣医師に相談してください。
まとめ
どんなに飼い主さんが愛犬に愛情を注いでいたとしても、愛犬の受け取り方や愛犬の感情を汲み取れないと、効果がないばかりか逆効果になることがあります。
今回ご紹介したのは、ほんの一例に過ぎません。
飼い主さんが、常に愛犬の気持ちを汲み、愛犬の立場に立って考えられるようになることが大切です。
飼い主さんの愛情をどう伝えるのが最適なのかを考える習慣を付けましょう。