心を閉ざす、とは
「心を閉ざす」とは、自分の殻に閉じこもり、心の扉を閉めてしまう状態のこと。犬は人と寝起きを共に行動する、社会性を持った生き物です。生きるためには人との関わりが欠かせません。
そうした当たり前の暮らしの中で心を閉ざしてしまうには、なにかの理由があるはずですね。ここからはNG行為を元に、その理由を探っていきます。
1.裏切り
犬にとって飼い主さんという存在は、絶対的な味方であるべきではないでしょうか。どんなときでも飼い主さんのそばにいけば安心して守ってもらえる、そんな頼れるボスでなくてはいけませんね。
ところが飼い主さんによっては、自身の気分の浮き沈みをコントロールができないばかりに、犬に安心感を与えられない方もいらっしゃいます。それが犬にどんな影響を与えるかと言うと、例えばこんなことです。
≪例≫
- ルールに一貫性がなく、しょっちゅう変わる
- 同じ行動をしても、ほめられる時とそうでないときがある
- 急に抱きしめ続けたかと思えば無視など、安定しない
- 泣いたり、怒ったり、ベタベタしたり、起伏が激しい
こうした様子が家庭内で繰り返されれば犬は混乱します。混乱を鎮めるための手段として、心の扉をパタンとクローズし、厄介な飼い主さんに関わらないという手段をとったとしても不思議ではないでしょう。
2.支配
暴力には叩くほか、大きな物音を出して威圧する、お仕置きとして閉じ込める行為も含みます。しかし、それがしつけの姿であるとされていたのはもう過去のことです。
時代は変わりました。現代の犬たちに必要なのは威圧やお仕置きではなく、導きと安心、愛情です。それでも尚、暴力的なアクションで犬を威圧する飼い主さんは一定数存在します。威圧により育てられた犬に共通して言えるのは、心の発達が未成熟であること。
「嬉しい、楽しい、大好き」という愛情の根っこのようなものが育たなければ、人に対しての信頼の扉は閉ざされてしまいます。こうしたゆがんだしつけ方が続くと、犬はもうこれ以上傷つかないように身を守る手段として、時に飼い主さんに反撃することもあります。
そうした飼い主さんに、こうおたずねしたいものです。「果たしてそれは、あなたが思い描いていた犬との暮らしなのでしょうか」。と。
3.孤独
みなさんも動物系テレビ番組などで、飼育崩壊の現場の様子を目にしたことがあると思います。犬の飼育崩壊とは、お世話が可能な頭数の限界を超えた犬たちを抱え込んでしまい、まるで管理できていない放置状態のことです。
人が面倒を見きれていないので、こうした状況下の犬たちは本能に頼らざるをならない暮らしになります。彼らは、交配、出産、淘汰、ケンカなど、本能をむき出しにして自分を守るしか生きる道がありませんから、人を敵とみなすようになります。
これは極端な例であり特殊な状況下の話ですが、つまり人が関与しない状況下では、犬は人とのコミュニケーションの仕方が分からないので、接触を拒むことが当たり前になります。
実は、一般家庭においてもこれに近いことはあります。例えば、ケージの中に閉じ込めっぱなしで飼う、人気の無い屋外で飼う、何日も家を不在にする。こうしたネグレスト行為が続けば、犬の心は凍りついてしまうでしょう。
心を開放するために
犬が心を開かなくなってしまったなら、まずはその原因について考える必要があります。少し厳しいようですが、原因にたどり着けなかったとしたら、こうしたケースでは修復が難しいことがほとんどです。
犬が心を閉ざすには必ず原因があります。それは飼い主さんにとっては、都合の悪いことであるかもしれないし、何の気なしの、ほんのささいなことかもしれません。でも、原因を探ることをあきらめずに、道のりを振り返って考えることが大切です。それこそが、クローズしてしまった心の扉を開ける鍵を見つけ出すための大事な作業だからです。
まとめ
さて、冒頭に出てきた氷の城に自らを閉じ込めたプリンセス。ストーリーのラストでは、ふたたび心を開放し幸せに暮らすわけですが、その鍵となったのはなんだったでしょうか。
人によりその見解は様々でしょうが、わたくしはこう思います。家族、仲間が個性を受け止め、深い愛情で関係を再構築したこと。それが、彼女の凍りついた心を溶かしたのだと。犬と人。お互いが心の扉をオープンにし、あたたかな日々を紡いでいきたいですね。