健康長寿は子犬の頃からの積み重ねが大切
日本国内の犬の平均寿命は、確実に延びてきています。
1980年の4.4歳が、2019年には14.44歳と公表され、なんと40年間で約3倍も長生きするようになってきているのです。
しかし長生きできるということは、長い高齢期を過ごすということです。
つまり現在の課題は、長生きさせることから愛犬をいかに最期まで健康で快適に暮らさせてあげられるかということに移ってきたと言えそうです。
健康で丈夫な身体と、健やかな精神状態は、一朝一夕に作られるものではありません。
愛犬がシニアになってから意識するのではなく、若い内から意識して愛犬と接することが大切です。
今回は、愛犬が最期まで健やかに暮らせるために、飼い主さんがしてあげられることをご紹介します。
愛犬が最期まで健やかに生きるために飼い主ができること
1.定期的な健康診断
飼い主さんが一番心配なのは、愛犬の健康管理ではないでしょうか。飼い主さんが愛犬のためにしてあげられる健康管理には、さまざまなことがあります。
狂犬病や混合ワクチンといった予防接種や害虫の予防・駆除を適正に受けさせることや、愛犬に適した住環境を整えることなどです。
その中でも最も大切なのが、万が一の場合に病気を早く発見し、早く適切な治療を開始することです。そのために重要なのが、定期的な健康診断です。
信頼できるかかりつけの動物病院を見つけて、定期的に総合的な健康診断を受けるようにしましょう。
若い間は1年に1回、シニア期を迎えたら、1年に最低でも2回以上の健康診断をおすすめします。
犬は、1年間で人間の4歳分の年をとりますので、1年に2回は決して多すぎる回数ではありません。
2.栄養バランスの取れた食事
愛犬の身体を作るのは、食事です。それぞれのライフステージ毎に、必要となる栄養バランスが異なります。
手作り食の場合は、きちんと犬のための栄養学を学び、愛犬の身体に適した栄養バランスの食事を作りましょう。
市販のフードも良質なものが多く出ています。
総合栄養食を中心に、愛犬のライフステージに適したフードを選び、正しい方法で管理した安全なフードを食べさせましょう。
健康状態や病気など、その時々の状況によっては機能性フードや療法食を与えることも考えましょう。
ただし療法食に関しては、必ずかかりつけの獣医師と相談しながら、適切に与えることが大切です。
高齢になると、犬も今まで食べられたものが食べづらくなることもあります。
愛犬の状況に合わせて、フードの形状や食器、食器台など、できるだけ長く自力で食べられる環境を作る工夫も大切です。
3.適正な体格の維持
人間と同様に、犬にとっても肥満は万病の元です。
近年、肥満気味の犬が増えてきていますが、肥満は老後の生活の質を落とす大きな原因の一つです。
肥満のままシニア期に入ると、関節炎などで愛犬自身が辛い生活を送らなければならなくなります。
そのことを意識して、欲しがるままに食事やおやつを与えるといったことのないように気を付けましょう。
フードの袋に記載されている給餌量を目安に、愛犬に最も適した給餌量を見つけてください。
記載通りだから安心ということはありません。
個体差や運動量の違いなどがありますので、必ず愛犬の体重を定期的に量り、適正体重をオーバーしないようにコントロールしてあげましょう。
また、指標は体重だけではありません。定期的に、犬の理想体型と愛犬の体型を比較することも大切です。
4.愛犬に生きがいをもたせる
これも人間と同じですが、愛犬に生きがいをもたせることも大切です。
どんなに長生きができても、楽しいことも嬉しいこともなく、ただ同じ様な退屈な日々を過ごすだけでは、愛犬にとって健やかな暮らしとはいえません。
お散歩でも、お気に入りのゲームでも、飼い主さんとのふれあいタイムでもかまいません。
些細な楽しみで良いので、愛犬に刺激的で楽しい毎日を過ごしてもらえるよう、工夫してあげましょう。
もちろん遊びだけではなく、新聞受けから新聞をとってくる、飼い主さんの指示に従ってお手伝いをするなど、愛犬にできる役割を与えるのも良いでしょう。
5.愛犬のことを知る
どんなに適正な健康管理や食事管理、体重管理を行って生きがいを作っても、年齢を重ねていけば老化が進むのは仕方がありません。
少しずつ筋力が落ち、疲れやすくなり、視力や聴力、嗅覚なども衰えていきます。その様な状況でも、できるだけ愛犬の生活の質を落とさずに暮らしていけるように、環境や食事など、あらゆる面での工夫が必要になります。
その際に大切なのは愛犬の立場に立って考えられることです。
そのためには、犬の習性や身体の構造について、正しい知識を得ることが大切です。
愛犬がまだ若くて元気なうちから、少しずつ知識を得るように心掛けておくと良いでしょう。
まとめ
犬は、40年前と比べて約3倍も長生きできるようになりました。
しかし、ずっと病で臥せったまた過ごすのではなく、老化で弱りながらも、できるだけ毎日を楽しく快適に過ごさせてあげたいと思うのは、飼い主さんとして当然のことです。
そのためには、愛犬がシニア気に入ってから準備を始めるのではなく、若くて元気なうちからしっかりと健康管理をし、生きがいをもたせることが大切です。
そして愛犬のことをよく観察し、しっかりとコミュニケーションをとりながら、愛犬の立場で考えられるように深い絆を結んでおきましょう。