1.コマ送りのように見えている可能性がある
犬の視力は人間の視力で言うと0.3程度しかないと言われています。そのため、テレビの距離が離れていると、ぼやけて見えていると思います。
しかし犬の視覚の特徴として、人間に比べて動体視力が優れていて約4倍の能力があるとされています。そのため、動いているものであれば、かなり遠い場所にあるものであっても視覚で捉えることができるのです。
テレビの映像は、1秒あたり30コマで構成されているため、動きを捉えることが得意な犬の目には「コマ送り」のような見え方をしている可能性があります。
映像のつくりや内容によってコマの数は異なりますが、それであっても犬の目にはなめらかに流れる映像とは違ってカクカクとした見え方になるのではないかと考えられます。
2.色や光の見え方が異なる
犬の視力や視覚は人間のものとは異なり、色の見え方も違うとされています。
一昔前は、犬の視界はグレースケール(白黒の濃淡)で見えていると言われていましたが、近年の研究ではそれとは異なる見解が示されています。
人間は赤・青・緑の色を判別できる「3色型」の色覚を持っていますが、犬の場合は赤を認識できず『2色型』だと考えられるようになってきました。
具体的には、黄や緑が黄色っぽく、青や紫が青っぽく見えています。そして赤は濃いグレーのように見えていると考えられています。
もちろん犬の見えている世界がそのままわかるわけではありませんが、現時点ではグレーや青を中心に、部分的に黄色味を帯びたところがあるような世界なのではないかとされています。
この色覚は、現物であってもテレビの画面であっても同様です。
3.慣れるまでは奇妙に感じることも
多くの犬は人間に比べて視力が低く、色覚も鈍いとされています。そのため、物を捉える時に視覚に頼りすぎず、嗅覚や聴覚などもあわせて利用して総合的な情報から物事を認識しています。
しかし、テレビの場合は色々なものが画面に移っていても、犬が最も重視しているにおいがしないため、状況を理解できず混乱してしまうことがあります。
人と一緒に生活するなかで、テレビに見慣れてくると不思議に感じることはなくなってくると思いますが、家庭に迎え入れられたばかりの子犬などはこのような傾向が見られます。
好奇心からテレビ画面に映っている犬や猫に飛び掛かったり、反対に怖がって逃げたりすることもあるようです。
テレビが犬のしつけに役立つこともある
テレビに興味を持つかどうかは、犬によってそれぞれ異なります。
テレビがある生活に慣れている犬の場合、あまり映像に興味を持たないことは多いようですが、音には反応するということがあります。
視力が悪いことであまりよく見えていない映像には興味が持てなくても、聴覚の優れた犬がテレビから聞こえてくる音に興味を持つことがあるのはおかしなことではないでしょう。
そのため、この音を利用して『犬に社会性を身につけさせるトレーニングを行うこともできる』とされています。
犬は大きな音を怖がったり、聞き慣れない音に警戒心を抱いたりする傾向があるため、それを防ぐために子犬の頃からさまざまな音を聞かせておくことはとても効果的です。
特に、犬が怖がりがちな花火や雷のような大きな音、工事現場の金属音を含む甲高い音などに慣れさせておくと、それらの音を聞いても落ち着いて過ごせるようになります。
まとめ
多くの家庭にテレビは置かれていると思いますが、犬はテレビをそれほど意識して過ごしていないと考えられています。
犬の目には、コマ送りのようなぎくしゃくした映像に見えているとされていて、犬が情報を得るために重視しているにおいがしないことなどから、興味や関心を抱けないことが影響しています。
ただし、音についてはきちんと聞こえているので、社会化トレーニングや留守番トレーニングなどに役立てることができます。
ぜひ、テレビと犬の能力を理解し、愛犬との生活に上手に利用してみてくださいね。