ペットの「親」になることは進化した子育てか?米国での調査

ペットの「親」になることは進化した子育てか?米国での調査

ペットの飼い主のうち、子供のいる人といない人では意識や行動に違いがあるのだろうか?という調査が行われ、その結果が報告されました。興味深いその内容をご紹介します。

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愛犬や愛猫のママやパパたちへのアンケート

ジャックラッセルテリアと女性

ペットの飼い主が自分のことをママやパパと呼んだり、愛犬や愛猫のことを「うちの子」と呼ぶことは当たり前のように目にします。ペットに対して、まるで自分の子供のように多くの時間とお金と愛情を注ぐ人も、なんら珍しいことではありません。

進化生物学においては、生き物は全く異なる種ではなく自分自身の子孫を育てることに焦点を絞ることが普通とされています。しかし、アメリカを含む多くの社会で出生率は低下し、子供を産むのではなくペットを育てることを積極的に選ぶ人がたくさんいます。

アメリカのボイシ州立大学の人類学者が、このような現象について進化生物学の観点から考察するためのアンケート調査を行いました。

子供のいる飼い主と子供のいない飼い主を比較

ゴールデンレトリーバー と親子3人

アンケートはSNSを介してのオンライン調査の形で行われました。アメリカ在住の18歳以上の犬と猫の飼い主が対象となり、年齢や家族構成など一般的な質問の他に、ペットの世話に関連する行動、ペットへの愛着の種類や度合いに関する行動などが質問されました。

寄せられた回答のうち有効だったのは917人分でした。うち子供がいる又は子供を望んでいる人は620人、子供がいない人は254人、子供を持つかどうか未定又は無回答は43人でした。

ペットのためのトレーニングや遊びに多くの時間を費やすことについては、子供がいるいないに関わらずほとんどの飼い主が「充実させている」と回答しました。

ペットの世話全般については、子供のいない人はほとんどの場合、自分自身が世話をするメインの役割を担っていました。子供のいる人は子供の教育の一環として、子供と協力し合って世話をするという人が多くなっていました。

ペットへの愛着を設定された尺度で分析したところ、子供のいない人は愛犬や愛猫への一般的愛着がより高い度合いであることが分かりました。また子供のいない人は、ペットとの関係を表現するのに「ママ/パパ/親」「子供」「保護者」などの家族としての言葉を多く使う傾向が見られました。

ペットへのアロペアレンティング

子犬に授乳する女性

この調査を行なった研究者は以前にも子供のいないペット飼い主へのインタビュー調査をしたことがあります。その調査では、子供のいない飼い主は犬や猫の種特有のニーズを満たすことに力を入れていることが分かりました。

例えばフードパズルを使って擬似狩猟としたり、犬に積極的に嗅覚を使わせるというようなことです。また彼らは犬や猫の栄養、社会化、学習のニーズは人間の子供とは違うことを理解しており、ペットを「毛皮にくるまれた小さな人間」として扱うようなことはありませんでした。

研究者は上記の以前の調査と、今回のアンケート調査の結果を併せて、飼い主が犬や猫の世話をすることは「親としての子育て」であることを示していると結論づけています。

進化人類学では、人類は自分自身の子ではない子供の世話を助けることで生き残り、進化的に適応してきたとされています。祖母が孫の世話をしたり、コミュニティの中で誰かが血のつながりのない子供の世話をしたりというものです。

このような行動は「Alloparentingアロペアレンティング」と呼ばれます。allo=他者によるparenting=親としての行動、他者による親行動という意味です。

研究者は、犬や猫に「親としての子育て」を提供することはアロペアレンティングの1つの形であるとしています。

人間を取り巻く環境が子育てを困難にしたり、一部の人にとって魅力的でなくなっている場合、犬や猫といった身近な動物のアロペアレンティングは進化の歴史ではないかと提案しています。

まとめ

ソファーの上で犬と猫と遊ぶ女性

ペットの飼い主のうち子供のいない人のペットとの関わり方を調査分析したところ、多くの人がペットを人間の子供の代わりにするのではなく「犬や猫の親としての子育て」をしており、これは異種間のアロペアレンティングであると結論づけたことをご紹介しました。

今回のアンケートの参加者の約8割は女性で、さらに白人で高学歴という層が多かったため、今後は他の文化や性別のグループのデータを収集したいと研究者は述べています。またアメリカ以外にインド、フィンランド、日本でデータの収集を始めているとのことで、追加の報告が楽しみです。

愛犬や愛猫の「犬として」「猫として」のニーズを満たすことを考え、彼らの親として世話をすることが人類の進化の歴史の一環というのは壮大で不思議な感じですが、動物の命への責任を改めて実感する良い機会となりました。

《参考URL》
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/14747049211038297

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