犬の感情
最近の研究で、犬と人間は重要な脳の部位の構造や機能がよく似ていて、犬にも人間のような感情があることが分かってきています。
元々集団行動をしてきましたし、顔の表情も豊かなので、犬の感情は人間にも比較的分かりやすいといわれています。
しかし現代の家庭は核家族化や共働きなどが進み、伴侶動物でありながら、独りぼっちでいる時間の長い犬が増えてきています。
今回は、犬が「寂しさ」を感じている時に見せる仕草や、その解消策について考えていきます。
まずは、犬が寂しいと感じている時によく見せる代表的な仕草をご紹介します。
犬が寂しいと感じている時の仕草
1.少し離れた場所から見つめている
飼い主さんが近くにいても、自分に関心を寄せていないと犬はそれを敏感に察知して、寂しいと感じます。
しかし、中には自分から積極的に飼い主さんにアピールできない犬もいます。
そんな犬たちは、少し離れた場所からじっと飼い主さんに熱い視線を送り続けます。
視線を感じて振り返ったら愛犬と目が合う事が多くなったと感じたら、最近愛犬と一緒に過ごす時間が減ってはいないか、今一度振り返ってみましょう。
2.飼い主について回る
前述と同じように、飼い主さんが家にいても他のことに気を取られてほとんどかまってくれないような時に、積極的な性格の犬は自分から飼い主さんの後をついて回ることがあります。
特に何かを要求するということはなくても、飼い主さんとアイコンタクトをとろうと、しきりに飼い主さんの顔を見上げることが多いかもしれません。
この場合も、最近の愛犬との関係が減っていないか、振り返ってあげましょう。
3.子犬のような声で鳴く
立派な成犬が、まるで子犬のような高い甘えたような声で「クーンクーン」と鳴くことがあります。これは、積極的に飼い主さんに対して甘えたいという気持ちを伝える行動です。
人と一緒に暮らすようになった犬は、厳しい自然の中で生き抜く必要がなくなりました。
そのため、成犬になってもまだ子犬が母犬に甘える気持ちが残っているのです。愛犬にとっての母犬は、飼い主さんなのです。
4.呼んでもそっぽを向く
これまで紹介してきたような愛犬からの「寂しいよ」「かまってほしいよ」というサインに気付かずにコミュニケーション不足を続けてしまうと、愛犬の行動に少しずつ変化が見られてきます。
例えば、飼い主さんが愛犬の方を見た時にまるでふてくされた子供のような表情をしてみせるとか、飼い主さんが愛犬の名前を呼んでもそっぽを向いてしまうといった行動です。
中には、ハウスの中に引きこもって出てこなくなる場合もあります。
5.常同行動が出る
寂しい状況が長く続くと、次第に愛犬の行動は問題行動へと変化していきます。
その中の一つが「常同行動」です。これは、ストレスにより同じ行動を延々と長時間継続して行うことです。
例えば、耳の後ろや身体の同じ場所を延々と掻いたり舐めたりし続ける、庭に穴を彫り続ける、自分の尻尾を追いかけて回り続けるなど、その内容はさまざまです。
舐めたり掻いたりした部分が炎症を起こしたり、足先を怪我したり、追いかけた尻尾を自分でかじって血を出したりと、自傷行為に発展することもありますので注意が必要です。
6.本格的な体調不良や問題行動に発展する
それでも寂しい状態が長期間に及ぶと、軟便、下痢、嘔吐などの消化器症状を起こして体調を崩してしまうこともあります。
ストレスが溜まると免疫力が低下するため、感染症にもかかりやすくなります。
ストレスは自律神経の働きも乱すので、精神面が不安定になり、無駄吠え、破壊行動、攻撃行動などの問題行動を起こすこともあります。
特に長時間留守番をさせるような場合、飼い主さんが帰宅するまで吠え続けて、近隣とのトラブルに発展するといった事例もあります。
愛犬の寂しさを緩和させる対策
まず重要なことは、愛犬からの「寂しい」というサインに早く気付くことです。
愛犬が体調を崩したり問題行動を起こしてしまっては、飼い主さんも愛犬も、双方がつらい思いをすることになるからです。
愛犬を寂しくさせた具体的な原因は、お仕事が忙しくて留守にする時間が延びた、家族が増えて愛犬とのコミュニケーションの時間が減ったなどさまざまでしょう。
しかし愛犬の寂しさを埋めるのは、愛犬とのスキンシップや一緒に過ごす時間を増やすことです。
十分な散歩の他に、朝と夜にこれまでよりも10分ずつでいいので時間を捻出して、スキンシップの時間を作りましょう。
どんなに忙しくても家庭環境が変わっても、飼い主さんは決して愛犬を見捨てること無く愛し続けるということを、しっかりと愛犬に伝えましょう。
まとめ
愛犬は、飼い主さんの表情や声の調子、目線などあらゆる仕草から飼い主さんの気持ちを汲み取ります。
飼い主さんが愛犬と一緒に過ごす時には、飼い主さんご自身が心から愛犬とのスキンシップを楽しむことが大切です。
飼い主さんの心に愛犬とのふれあいを楽しむ余裕がなければ、愛犬の不安は増し、ストレスが増えていく一方です。
飼い主さんご自身も愛犬も、共に心から楽しい生活を送ってください。