『発育不全』とは
「発育不全」とは、体重の増加と体の成長が遅れたり異常が発生したりすることで、放置すると発達や成熟の遅れにつながります。
人間の場合はお母さんのお腹の中にいる時から妊婦健診で胎児の大きさを計って妊娠が順調かどうかをチェックし、ここで週数の基準より大きく下回る推定体重が計測されると胎児発育不全と診断されます。
犬の場合は胎児の大きさを計るほどのチェックはしませんが、生まれてからの成長が著しく遅い(小さい)場合などは発育不全となります。
発育不全の原因
先天的な異常の他、基本的な食事や母乳を摂取している子であっても、なんらかの要因で栄養を吸収できていない場合や、その他の病気が原因で発育が阻害されていることがあります。
子犬の時期は日頃から食事内容や食べている様子、排せつの様子、体重の推移をよく観察することが必要です。
成長する時期であるのに体重が減っていたり、減らないけれど増加もしないといったりした場合は「発育ができない」状態かもしれません。
では、犬の『発育不全』を判断する3つの方法について確認していきましょう。
1.体重測定をする
月齢が低いうちは毎日、月齢が進んでいたら週に一回くらいのペースで体重を計りましょう。
増加率が一定であれば問題はないことが多く、減っていたり何日も何週間も増加しないといったりした場合は獣医さんに相談しましょう。
子犬の肋骨の上に、ふんわりとした筋肉や皮が乗っていることを確認しましょう。ごりごり触れるようですと痩せすぎです。
痩せすぎは筋肉の成長も骨の成長も阻害するので適切な体重管理が必要です。
2.食事内容を確認する
ドッグフードをメインに与えている場合は給餌量を守って適切に与えましょう。
残していたり吐いていたりする場合は注意が必要です。お腹をこわしていることもありますし、ドライフードから栄養が摂取できていない可能性があります。
3.元気さ、毛艶、おなかの調子を確認する
子犬はいつも元気いっぱいなものですが、呼んでも反応が鈍かったり、遊びに誘っても気が乗らない様子の場合は何らかの病気も疑いましょう。
様子がおかしいなと思ったら、すぐ獣医さんに相談したり診察を受けると良いでしょう。
ウイルスや寄生虫の感染症の可能性もありますし、犬種によっては先天的に心臓の病気を持っている子もいるため、それが原因で発育に影響を及ぼす場合があります。
飼い主がしてあげられること
発育不良の子犬に飼い主がしてあげられることは、「食事内容のチェック」と「適切な運動量の確保」です。
ドライフードでは食べにくいという子犬の場合は、セミドライタイプやウェットタイプ、あるいは手作りのフードで食いつきのよいものを与える方法があります。
また給餌量が少ないことが理由で体重が増えない場合は、月齢や体格に応じた量を与えてあげるよう調節します。
一度に食べると下痢をする子犬もいますので、量や回数はその子犬に合わせてあげましょう。
しかしきょうだいより著しく小さかったり、元気もなく、飼い主が呼んでもぐったりしていたり、下痢や嘔吐が続いていたりする場合は、なるべく早急に獣医さんの診察を受けてください。
著しく成長が遅い場合はその成長を阻害する、細菌、ウイルス、寄生虫の感染症や肝門脈の異常、心臓の異常などが見つかることがあります。
まとめ
近年では小型犬のブームもあって「小さい犬をさらに小さく育てたい」という飼い主さんもいるようです。
しかし犬のスタンダードサイズというものはその犬種の健康を表すバロメーターでもあります。
著しく小さい、成長が遅いといった場合は「小さいからいいや」ではなく、何らかの病気の可能性も考えて獣医さんへ相談をして下さいね。