1.お尻歩き
愛犬が地面にお尻をずりずりとこすりつけるように移動している姿を見たことがある飼い主さんもいると思います。
こうした動きを見て、「かわいい」「おもしろい!」と感じることもあるかもしれませんが、実はお尻まわりに異常が起きている可能性があるので注意しましょう。
犬が床や壁などに体をこすりつけるような仕草をする時は、その部分にかゆみや痛み、違和感を感じていることが考えられます。
そのため、お尻をこすりつけている場合は、肛門周辺に痒みなどを感じているということになります。
トイレの直後であれば、ウンチが残っていて気持ち悪さを感じている場合もありますが、それ以外であれば、肛門腺に分泌物が溜まっていることが原因となっている可能性が高いでしょう。
肛門の両脇付近にある「肛門嚢」と呼ばれる袋状の器官があり、そこに分泌物が溜まります。
その分泌物は、本来は排泄時に自然に絞り出されますが、小型犬や筋力の弱い子犬や老犬の場合は排出することができずに溜まりすぎてしまうことがあるのです。
そうした状態が続くと、肛門嚢や肛門腺に炎症が起きて、破裂してしまうこともあります。
破裂してしまうと皮膚に穴が開くことになり、血や膿が外部はもちろん周辺組織にも流れ込んでしまうこともあるので大変危険です。
このようなトラブルを防ぐために、月に1回程度は「肛門腺絞り」を行うようにしましょう。
2.腰を大きく振って歩く
大型犬に多く見られる行動ですが、歩く時に腰やお尻を左右に大きく振るような様子を見せる時は、股関節に異常が起きている可能性が考えられます。
プリプリとお尻を振るような姿は、とてもキュートに感じますし、尻尾を振っているようにも見えるのでポジティブな気持ちでいるようにとらえられてしまいがちです。
しかしこのような様子から最も多く考えられるのが「股関節形成不全」を発症しているということです。
この疾患はその名の通り、股関節の発育段階で正常に形成されず、骨の変形やゆるみなどが起きて様々な症状を引き起こすものです。
状態に合わせて適切な治療を行うことが大切なので、お尻を振って歩く様子が見られたり、座る時に両足が左右どちらかに流れる姿勢になったりすることがあれば、早めに動物病院で検査してもらうようにしましょう。
3.頭を壁に押しつけて止まる
ふと気が付いたら、愛犬が壁におでこを押し当てるようにして止まっている、ということがあれば注意してください。
その様子は何だかユニークにも見えてしまいますが、実は脳や神経系などの疾患が要因になっていることもあるのです。
犬が頭を壁など固いものに押しつける行動は「ヘッドプレス」と呼ばれるもので、中枢神経や脳の視床部分に損傷が起きていたり、脳腫瘍や脳卒中などが起きていたりすることが考えられます。
また、「門脈体循環シャント」と呼ばれる疾患によって門脈を経由する肝臓内への血流が妨げられ、毒素が濾過されないまま全身に運ばれてしまい、神経症状や嘔吐などが引き起こされていることもあります。
このような様子が見られたら迅速な対応が必要なので、すぐに動物病院に行くようにしてください。
4.自分の尻尾を追いかける
犬が自分の尻尾をグルグルと追いかけ回している様子を見ると、つい笑ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、こうした行動を何度もくり返し行っている場合、自分の意思でやめることができない「常同行動」になってしまっていることがあるのです。
常同行動は尻尾を追うだけでなく、自分の足をしつこく舐め続けることなどもよく見られます。
こうした行動は、その部分に痛みやかゆみを感じたりしているわけではなく、精神的なことが影響しているため、やめさせようと対処してもなかなか収まりません。
過度なストレスがかかった時などに常同行動が見られるようになるので、その根本的な原因を解消することが必要なのです。
まとめ
一見すると、可愛らしくユニークに感じる犬の姿に、実は危険な疾患やトラブルが隠れていることがあります。
脳や神経系などの重篤な疾患や、放っておくと悪化してしまう疾患などが多いので早期に適切な対応を取らなければなりません。
可愛らしいと感じる姿でも何度も同じことをしている場合や、ほかに少しでもおかしいと感じる部分がある場合は、念のため動物病院に相談することをおすすめします。