1.あいさつ、敬意を示している
犬が人の顔を舐める理由のひとつが、オオカミなど「群れ社会」で生きていた動物たちの行動の名残りです。
そのような動物は、群れの仲間、特に自分よりも優位な立場にある相手に会った時、あいさつをするために体を低くして下から口元を舐める行動をします。
こうした行動を取ることで、相手に対する敬意を示し、従順さを持っていることや敵意がないことを表現しているのです。
動物として本能的に身につけている行動のため、仲間である人間の家族に対しても口元を中心に顔を舐める様子が見られるのです。
2.食事のおねだり
野生動物は、赤ちゃんが母親から食べ物を与えてもらう時に、口元に自分の口を寄せる行動を見せることがあります。
狩りに出た母親が獲物を食べた後、胃から吐き出したものを子どもたちに与えるのです。そのため、口元を狙って舐めてくる時は、「お腹空いた!」「ご飯ちょうだい」と催促をしているのかもしれません。
こうした行動があまりにもしつこく行われる場合は、お腹が空いていることも考えられるので、食事の量や内容を見直してもいいでしょう。
また、単純に人間の口元からおいしそうなにおいがしている、という理由から顔を舐めることもあります。
特に、食べこぼしが多い小さな子どもや、ミルクを飲んでいる赤ちゃんなどの顔を舐める犬も多くいます。
3.愛情表現
犬は飼い主さんや親しい間柄の人に対する愛情表現のために、顔を舐めることがあります。
信頼や敬愛の気持ちを込めて「大好きだよ」と伝えたり、「遊ぼう」「一緒にいてね」と甘えていたりするのかもしれません。
飼い主さんが帰宅した時などに、はしゃいで出迎えながら顔を舐めている場合には「おかえりー!会いたかったよー!!」と再会を喜んで、熱烈に歓迎しているのでしょう。
このような場合には、にっこり微笑んだり優しくなでてあげたりして、飼い主さんからも愛情を伝えてあげてくださいね。
また、初対面の人に近づく時に顔を舐める場合は、「はじめまして」というあいさつをしながら、前述したように「敵意はありません」「仲よくしよう」と伝えようとしていることも考えられます。
顔を舐めさせるのは注意が必要
犬が人の顔を舐める時、その多くはあいさつや愛情表現であったり、食事の催促であったりするため、絶対にやめさせるべき行動というわけではありません。
しかし、犬の口にはさまざまな細菌や雑菌が繁殖している可能性があるため、注意が必要です。
犬は散歩でほかの犬の排泄物のにおいを嗅いだり、草を食べたりするため、決して清潔とは言えません。
胃酸が強力な犬にとっては問題のない菌やウイルスでも、人間の粘膜に触れると病気を引き起こしてしまうことがあるのです。
人畜共通感染症を招く原因にもなるので、特に免疫力が低下している時や子ども、高齢者などは特に注意が必要です。
唇や口の中までなめられないようにしたり、顔を舐められた時は拭き取るようにしたりすることをおすすめします。
まとめ
犬が顔を舐めるのは、本能的に身につけている行動で、意思や感情を示すために行うことが多くあります。
特に信頼している飼い主さんに対しては、愛情表現や甘えの気持ちから顔を舐めるという行動に出ると考えられています。
愛情をしっかりと受け取ることはとても大切ですが、犬の口内は決して清潔とは言えないので、感染症予防についても意識しておきましょう。