社会性の習得に大切な社会化期
人と同じように、犬にもさまざまな性格があります。性格の形成には遺伝的要因もありますが、環境的な要因も大きいと言われています。
特に、生後3〜14週までの社会化期の過ごし方に大きく左右されることが分かっています。
ご自宅に迎え入れた愛犬の生い立ちにより、社会性を身につけた子もいれば、皆無の子もいることでしょう。そういった子達が、これから人と一緒に暮らしていけるように導いてあげることが「しつけ」です。
愛犬を迎え入れたその瞬間から、飼い主さんは愛犬の性格を見極め、上手にしつけなければなりません。成犬で迎え入れた場合は子犬と比べて難しい面もありますが、根気よく時間をかけて対応していくことが大切です。
今回は、人と暮らしていくには難しい点も多い、神経質な犬について説明します。
神経質な犬の特徴
一般的に、外から受ける刺激、環境の変化、身体の変調などに過敏に反応してしまう素地を「神経質」といいます。決して病的ではありませんが、他と比べて「過敏に反応しやすい」傾向があるということです。
つまり神経質な犬は、他の犬と比べてニオイや音、眼に映るもの、触った感触、味などの刺激や環境の変化などに対して過剰に反応し、パニックに近い行動を起こしやすい犬であると言い換えることができるでしょう。
では、少し具体的に神経質な犬に見られがちな仕草や行動を見ていきましょう。
神経質な犬に見られやすい仕草や行動
1.急に様子が変わる
飼い主さんにとっては何がきっかけなのかわからない場合も含めて、愛犬が急に隠れたり震えたり落ち着きがなくなり、その様子があまりにも大げさだったりいつまでも落ち着かないことが多い場合は、神経質な犬である可能性が高いです。
原因としては、雷、花火、工事などのずしんとした振動を伴うような低くて大きな音や、家の外で吹き荒れる強風の音、地震などが考えられます。
これらは、愛犬が今まであまり経験したことのない刺激に触れ、どうして良いか分からなくなり軽いパニック的な行動が出てしまったと考えられます。
2.いつもは好きなことを嫌がる
いつもはとても散歩好きなのに、雨降りの日や風が強い日には散歩に行きたがらない、またいつもと違う散歩コースを嫌がるなど、いつもは好きなことでも何か違う要素があると頑なに嫌がって拒否をする場合も、神経質である可能性が高いです。
フードが変わったり、いつもと同じフードでも保管状態が少し異なったりすると、一切口をつけなくなるなどの場合も同じかもしれません。
3.他人や他の犬を警戒する
飼い主さんやご家族以外の、初めてや普段あまり会わない人、一緒に暮らしていない他の動物とのコミュニケーションが上手に取れない場合も、神経質である可能性が高いです。よく知らない相手に対して、必要以上に警戒してしまうのです。
具体的には、玄関チャイムが鳴ると来客が帰るまで吠え続ける、見知らぬ人にあったりすれ違ったりするとすぐ攻撃的になる、公園やドッグランなどの他の犬が集まっている場所に行くと怯えて震えだしたりすぐ喧嘩になったりするなどが挙げられます。
4.何かあるとすぐに体調を崩す
これまで述べてきたように、神経質な犬はちょっとした変化やこれまでに経験したことのない出来事に出会うと、必要以上に過敏に反応してしまいます。それは、犬にとってとても大きなストレスになります。
こういったストレスが多ければ多いほど、ストレスから体調を崩しやすくなります。その結果、何かあるとすぐに体調を崩しやすくなることもあります。
具体的に悪いものを食べたり、病気だというわけでもないのに良く下痢をしたり嘔吐をしたりする場合は、神経質な性格が影響している可能性を考えても良いでしょう。
神経質な犬への対応
これまで挙げてきた例を見ると、初めてや普段あまり接することのない刺激や出来事、人、動物が、神経質な犬に対して大きなストレスの原因となっていることがお分かりいただけるでしょう。
神経質な犬の性格を少しずつ和らげるために大切なポイントは、下記の3点です。
- 愛犬と飼い主さんとの間に強い信頼関係の絆を築く
- 飼い主さんの指示で愛犬を落ち着かせられるようにする
- 愛犬が不慣れなストレッサーに対して、1つずつ根気よく慣れさせる
最も大切なことは、飼い主さんが愛犬から信頼されることです。
そのためには、愛犬との生活にきちんとルールを設定し、常にそのルールに基づいて物事を判断してください。
例えば、昨日褒められたことを今日は叱られたとしたら、愛犬はどうして良いかわからなくなり、飼い主さんのことを信頼できなくなってしまいます。
常に一貫した基準と態度で愛犬と接するように心掛けてください。
まとめ
愛犬が神経質だと、飼い主さんは苦労されることが多いと思います。しかし、神経質なことで一番苦しい思いをしているのは、おそらく愛犬自身でしょう。
飼い主さんは愛犬の性格を見極めて、人と一緒に暮らしやすくなるように上手に導いてあげましょう。
その際、飼い主さんの愛犬への対応が、その後の愛犬の性格や行動に影響を与えるということを意識しながら接するようにしましょう。