幸せは瞳の中に
2015年、犬と人の愛情の感じ方についての研究結果を、麻布大学の動物応用科学科が発表しました。この研究は犬と人が見つめ合って幸せを感じ合う時に、オキシトシンという愛情ホルモンが増加することが分かったという内容でした。
それまではオキシトシンは妊娠中の体内において人の母子に見られるものでしたが、同じような愛情のやりとりが瞳を通して犬と人の間にも流れているとは、なんともすてきなストーリーではないでしょうか。さて、ここからは筆者が独自に行ったアンケートをもとに、愛犬との幸せを感じる瞬間の例を見てまいりましょう。
その1
「帰宅時に大歓迎してくれる」。これは本当にそうですよね。その犬により嬉しさの表現には大小の差がありますが、飼主さんが帰宅したときに体全体を使って喜びを表す姿には癒されます。中には、帰宅時に人の家族はそっけないけど犬だけは大歓迎してくれる。というご家庭も。
無垢な愛情で出迎えてくれる愛犬の存在は、現代社会に疲労気味の私たちの心を支えてくれる存在とも言えます。その様子はまさに幸せの瞬間そのものですから、同じだけの喜びを愛犬にお返しをしてあげたいですね。
その2
「体の一部をくっつけてくる」。例えばソファなどでリラックスしているとき、ふと気が付けば愛犬が体の一部を飼主さんにソッとくっつけてくることはありませんか?それは頭を膝の上に乗せるとか、背中をピタっと寄せてくるなどの様々な形がありますね。
そんなとき、愛犬の温もりを感じながら「幸せだな」と感じることが多いものです。それもそのはず。犬が飼主に体の一部をくっつけることには意味があり、信頼している人にしか行わないボディランゲージのひとつとされています。
また、勘違いしやすいボディランゲージのひとつにこんなものがあります。犬が自分のお尻を飼主さんにくっつける行為。これは決して失礼なことなどと思わないでください。
お尻や背中を飼主さんに付ける意味には「信頼しているよ。僕はこちらを見張るから、飼主さんは反対側を頼むね。宜しくね」。といった信頼の気持ちがこめられており、犬の持つ防衛本能の名残りと言われています。つまり、絶大な信頼を寄せられている証なのです。
その3
「落ち込んでいるときや悲しいとき、愛犬が近くにきてくれる」。人と同じように犬の脳にもまた、相手の喜怒哀楽を読み取る能力があるそうです。また、その昔、群れで暮らしてきた犬には、群れの中で弱っている者のそばにいることで外敵から仲間を守るという習性があるそう。
ですから、こうした犬の行動はごく自然なものであり、それによって私たち人は幸せを感じることができるのは相互の愛情があってのものだと言えますね。
まとめ
幸せは、なるものではなく感じるものだ。という言葉があるように、私たち人は幸せという感覚を、「幸せになれた」。というような達成度ではなく、「今、幸せだな」。といった幸福度で受動する人の方がよりポジティヴな精神で生活を送ることができるようです。
犬と人の関係においては、特にこうした「幸せだな」。という感覚を味わうとき、同時に犬も同じような幸福を味わってくれているとすれば、幸せホルモン、オキシトシンがたっぷりと出ている状態だと言えます。
犬と人。この異なる種族が互いに寄り添い暮らしてきた歴史には意味があり、そのひとつには互いに幸せを共有できたから、というものも含まれているかもしれません。どうぞ、みなさまと愛犬の幸せな瞬間がたくさん訪れますように。それではまた。