1.股関節にトラブルが起きている
犬が座った時に、後ろ足が横に流れるような座り方をしていたら股関節トラブルが起きている可能性があります。いわゆる「お姉さん座り」と呼ばれるような座り方で、くつろいでいるようにも見えます。
股関節のトラブルとして多く見られるのが、股関節形成不全という疾患で、レトリバー種やジャーマン・シェパード、ニューファンドランドなど大型犬に多発します。
遺伝性の強い疾患で、体重がぐっと増え生後半年~1年頃にかけて症状があらわれることがあります。
股関節形成不全の場合、腰を左右に振るような歩き方(モンローウォーク)をしたり、歩いている最中に座り込んだり、後ろ足をヒョコヒョコと持ち上げるような歩き方をしたりします。
横座りしていても必ずしも股関節のトラブルが原因ではなく、たまたまそのような座り方になっている場合もあります。
横座りしていることに気が付いたら、毎回そのような座り方になるか、ほかにも症状が出ているかなどを確認するようにしましょう。
最初は真っすぐ座れても、すぐに足が流れてしまったり座る姿勢が崩れてしまったりする場合は、股関節に負担がかかっている可能性が考えられます。
気になる場合には、動物病院で検査してもらうようにしましょう。
2.脱臼や骨折している
足が横に流れるような座り方や、あぐらのように両膝を大きく開くような座り方をしている時には、股関節以外の関節にトラブルが起きていることもあります。
関節疾患として多いのが、トイプードルやポメラニアンなど小型犬が発症しやすい膝蓋骨脱臼(パテラ)です。
ひざのお皿の骨がずれてしまうもので、頻繁に脱臼をくり返します。
軽度の場合は、一瞬外れても自然に骨の位置が戻るため生活に支障はありませんが、グレードが重くなると常に脱臼状態になってしまい、動くことで強い痛みを感じるようになったり、うまく歩けなくなったりしてしまいます。
こちらも股関節形成不全と同様、遺伝性が強く生まれつき疾患を持っている場合もありますが、事故や怪我による後天的な要因で起こる場合もあります。
滑りやすいフローリングの上でジャンプをしていたり、ぶつかったりして怪我をしてから脱臼しやすくなってしまうこともあるので注意が必要です。
また、足の骨の細い小型犬の場合は、気が付かないうちに骨折してしまっていることもあります。
座り方がおかしいと感じた時は、足腰の関節を中心に全身をチェックして、触られることを嫌がる場所はないか、腫れている場所はないかなどを確認してあげましょう。
3.お尻に痛みや違和感がある
座る時にじわじわゆっくりと腰を下ろすような仕草をしたり、座った瞬間すぐに立ち上がったり、何度も座り直したりする様子が見られたら、お尻の周辺にトラブルが起きている可能性があります。
具体的には肛門に傷がついていたり、イボができていたり、肛門嚢に分泌液が溜まって炎症を起こしてしまったりするとこうした様子を見せることがあるので確認しましょう。
「肛門腺絞り」は月に一回程度定期的に行うことで、膿が溜まることによるトラブルを防げます。
そのほかにも、尻尾をあげると痛みや違和感を感じ嫌がるようになるコールドテール症候群や、尻尾の骨折など尻尾のトラブルが起きていることもあります。
座ることで痛みを感じるので、座りたがらなくなったり、座る時におかしな様子を見せたりするようになるのです。
まとめ
犬が座っている様子は日常的に目にするものなので、あまり意識して見ていないことも多いと思います。
しかし、座る様子ひとつでも、何らかのトラブルが起きている時の重要なサインとして役立ちます。トラブルが起きた時にすぐわかるように、平常時の座り方を確認しておくといいでしょう。
また、なかには飼い主さんの気を引くために「仮病」でおかしな座り方をする犬もいます。
過去に足腰やお尻などにトラブルが起きた時に、飼い主さんが優しく接してくれた経験がある犬などに稀に見られるものですが、体に異常がないと確認出来たら、必要以上にかまいすぎないようにするといいでしょう。