犬に噛まれやすい人がしているNG行為
1.いきなり撫でようとする
犬に会ってすぐに撫でようと手を伸ばす人は噛まれやすいと言えます。とにかく誰でもいいから構ってもらうのが大好きで、初めて会う人に対しても何も警戒しないタイプの犬もいますが、そうではない犬にしてみれば、何の前触れもなく素性の知らない人が接近してきて自分の体に触ることは、犬にとっては不快感や不安、恐怖心を抱くことです。避ける間もなくいきなり撫でられた時に噛むのは、犬としては自然な行動の一つです。そもそも撫でられるのが好きではない犬や仲間と思っていない人に構われるのが不快な犬もいますので、まずは飼い主さんに撫でていいかを聞きましょう。
犬の方から寄って来てくれることがありますが、「この人は誰だろうか?」と確認しにやって来ただけです。撫でていいよと言っているわけではありません。周りをウロウロ歩き回ったり、においを嗅いだりしてあなたについての情報を集めているところです。
安全な人で警戒する必要はないとわかれば、満足してその場を離れていくこともありますしあなたのそばに安心して居続けてくれることもあるでしょう。
この場合でも、撫でる前には飼い主に許可を得ることはもちろんですが、犬にも直接「撫でてもいい?」などと声をかけてあげてください。声をかけることによって犬があなたに注目し、犬が見える位置で手を近づければ、犬も「この手が自分に近づいてくる。撫でられる。」と分かります。この時点で犬が顔や体をよけたりその場を離れたりして撫でられるのを拒否する場合、それ以上犬を撫でようとしないでください。犬は今、あなたに撫でられたくないのです。
2.大きな声を出す
大きな声を出しながら犬に近づく人も噛まれやすいかもしれません。
たいていの犬は、大きな声には驚きます。見知らぬ人や親しくない相手であれば「何が起こっているのか?」とより警戒しますし、声だけではなく何かがぶつかったり落ちたりして大きな音がした場合、驚いてパニックになり、暴れたりする犬もいます。
犬好きな人が犬に出会うと、「かわいいー!」などとつい声が大きくなってしまいがちですが、大きな声を出しながら見知らぬ犬に近づくことは、その犬に不安や恐怖を感じさせるだけです。犬のそんな様子に気づくこともなくどんどん犬に近づいて撫でようとすると噛まれることもあるでしょう。犬に近づく時は、穏やかな気持ちで静かに近づき、まず飼い主さんに話しかけ、次に犬にも優しく声をかけてあげてください。
幼い子供は大きな声を出しますし、しかも突然だったりとても甲高い声だったりします。そのような声は、たいがいの犬は嫌がります。予測のできない突拍子のない行動も、犬が子供を嫌がる理由の一つです。犬の大きさや普段の様子にかかわらず、赤ちゃんを含めて小さな子供が犬と一緒にいる場合は、必ず何かあった時に対応できる大人が一緒にいてください。
また、犬が子供を嫌がらない場合でも、犬が嬉しくて子供に飛びかかったり吠えたりして、子供の方がよろけたり突然のことにびっくりして思わぬ行動をとってしまうことがあり、事故にもつながりかねません。子供と一緒に犬に近づく場合、親御さんは必ず子供と手を繋いだり抱っこをしたりして、子供の安全を確保しながら犬に近づいてください。
幼い子供が苦手な犬の場合、近づくことを飼い主から断わられることがありますが、お互いの安全を守るための判断ですので悪く思わないでほしいです。むしろ、自分の犬とあなた方の両方を守るための正しい行動ができる飼い主さんだと思ってください。
3.立ったまま犬と触れ合おうとする
立ったまま犬と触れ合おうとする人も噛まれやすいでしょう。
犬に近づいた時や撫でようとした時に人が立ったままだと、犬にとっては巨大な物体が上から覆いかぶさるような感覚になって怖くなったり、上から近づいてきた手が見えずに突然触られたことになってびっくりして噛みついてしまうことがあるうのです。
犬を撫でようとする時は、しゃがんで体勢を低くした状態で犬の目を見ずに声をかけてみてください。犬の方から近づいて来てくれるまで待てれば、より良いでしょう。
また、女性は平気だけど男性を怖がる犬というのもよく聞きます。
男性の方が一般的に体が大きくてたくましいですし、声も低くて威圧感があるでしょう。必ずしも性別だけが理由になるわけではありませんが、女性よりも男性の方が犬に恐怖感を与えやすいことは考えられます。犬を撫でようとして近づく時も、犬にできるだけ警戒心を持たせないようにしましょう。
4.犬のボディランゲージに気づけない
ここまでの3つNG行為は、撫でようとして犬をびっくりさせたり怖がらせたりする行為です。犬に噛まれやすい人がしている4つ目のNG行為は、犬が「いやだ」と言っている時にそれに気づかないということです。
突然撫でられた犬がびっくりすると同時に噛む場合以外では、犬は噛む前に必ず「いやだ」「それ以上近づかないで欲しい」「あっちへ行ってくれ」という意思表示をしています。犬は言葉をしゃべりませんので、ボディランゲージで自分の意思を表しています。目をそらす、耳を後ろに倒す、反対方向を向くなどがあります。もっと強い「いやだ」という意思表示で攻撃の前段階となるボディランゲージには、鼻にしわを寄せる、頭を低くして腰が少し高くなった状態で相手を見たり、うなる、などがあります。噛む前にこのようなボディランゲージを見せる時間は犬の性格やその時の状況によって様々ですが、犬は必ず何か意思表示をしています。犬のボディランゲージに気づけずに、つまり犬が嫌がっていることに気づけずに嫌なことを犬にし続けることで、犬に噛まれるという結果になります。特に散歩中の犬でしたらリードに繋がれていて逃げられませんので、攻撃する=噛むという選択肢しかなくなるまで追い詰められる、ということになるのです。
一般的にカーミングシグナルと呼ばれる犬のボディランゲージがあります。緊張している時や心理的な葛藤を抱えた時に、自分を落ち着かせようとして眠くもないのにあくびをしたり、頻繁に鼻や口周りをなめたり、痒くもないのに体を掻いたりするものです。
カーミングシグナルを出している犬は、緊張していたり不安を感じています。「いやだ」とはっきり意思表示する前の、このようなカーミングシグナルを見せている段階で、犬が嫌がることをやめてあげられるのが理想です。飼い主であれば、愛犬のこの段階を見落とさず、近づいてきた人にそれ以上犬と触れ合おうとするのをお断りできると良いでしょう。
5.無理強いする
前述の犬のボディランゲージが分かっていて、犬が嫌がっていることが分かっていても、「怖くないよ~」「大丈夫だよ~」などと言いながら、なおも犬を撫でようとする人もいます。
性質やそれまでの経験などから、他人に触られることが嫌な犬もいます。飼い主さんとですら、あまりベタベタとスキンシップをとることを好まない犬もいます。犬は他人に撫でられるのが好きではなくても良いので、嫌がる犬を無理に撫でようとしていい理由はありません。
犬が嫌がっていたら、犬の意思を尊重してそれ以上の触れ合いを求めるのはやめましょう。嫌がっているのに撫でさせるのを無理強いしたら、噛まれるのは当然のことと言えるでしょう。
飼い主さんが撫でようとして犬が嫌がる場合には、ちょっと話が違います。昔ながらの性質の日本犬のように、飼い主さんとでさえ適度な距離を保ちたいと思っている自立心旺盛なタイプの犬でしたら、愛情表現の一つとして撫でるのは、犬が嫌がらずに許容する範囲にとどめましょう。もし飼い主さんがぬいぐるみのようにかわいがりたくても、犬がそれを好まなければ無理強いしないということです。これは飼い主さん以外の人の場合と同じなのですが、飼い主さんであれば必要な時(体調をチェックする、爪切りやブラッシングなどのお手入れをする、病院で診察を受けるなど)にはどこでも体を触らせてくれるようにしつけておく必要があります。
番外編.犬が楽しく遊べる人
これは番外編なのですが、犬が楽しく遊べる相手となっている人も犬に噛まれやすいという特徴があります。
噛むと言ってもこの場合は、甘噛み、遊び噛みです。楽しく遊んでいるうちに興奮が高まり、遊びが激しくなってしまうのです。
ただし、遊びのうちだからと許していてはいけません。遊んでいるうちに興奮が強くなり過ぎた場合には、犬を一旦落ち着かる必要がありますし、遊びの中で歯を使ってはいけないことを教える必要もあります。犬が噛んできた時点で遊びを中断します。叱る必要はありませんが、犬が遊びをせがんできても応えません。飼い主さんも別のことをしながら冷静に過ごしましょう。犬が落ち着いたら、また遊びを再開することができます。
まとめ
犬に噛まれやすい人がしているNG行為を5つ解説しました。
- いきなり撫でようとする
- 大きな声を出す
- 立ったまま犬と触れ合おうとする
- 犬のボディランゲージに気づけない
- 犬が楽しく遊べる人
犬にも性格があります。警戒心が少なく初対面の人にも犬にもフレンドリーな犬から、臆病でビビリで警戒心の強い犬まで色々です。
誰にでもフレンドリーで撫でさせる犬が良い犬ということではありませんし、知らない人を警戒し撫でられることを望まない犬はその性質を変えるべき、ということもありません。
犬を撫でたい場合には、ここでご紹介したことに注意しながら犬に近づき、喜んで撫でられてくれる犬だけを撫でるようにしてあげてください。