1.動物医療の進歩
犬の平均寿命が延びた大きな要因として、動物医療や獣医学の発達が挙げられます。
一昔前では、治療できなかった病気が薬物療法で対処できるようになったり、防ぐことのできなかった感染症が簡単に予防できるようになったりと、犬が命を落としてしまう可能性のある病気が少しずつ減ってきているのです。
また、人間と同じようにCTやMRIなどの高度な医療機器が取り入れられるようになり、医療技術そのものも非常にレベルが上がっているとされています。
さらに、犬を取り巻く環境も大きく変化していて、飼い主さんの愛犬の健康に対する意識が変わってきていることも影響していると考えられます。
年に一度、血液検査などによる全身の健康診断を行ったりして、言葉を話せない犬の体をしっかりとチェックする人も増えてきています。
また、ペットホテルやトリミングサロン、しつけ教室などが併設された動物病院が増え、病気や怪我をした時だけでなく、気軽に立ち寄りやすい場所になってきたことも病気の早期発見が叶う要素のひとつでしょう。
2.食生活の変化
動物医療の発達とともに大きな進歩が見られるのが、犬の食生活です。
番犬として外飼いされるのが当たり前だった時代では、人間の食事の残り物をそのまま犬に与えているということもめずらしいことではありませんでした。
しかし、人間の食事には、犬が食べると危険な食材が入っていることもありますし、塩分や糖分が多く健康を害してしまう恐れもあります。
そうした知識が少しずつ広まってきて、犬が食べるものに対する意識が徐々に変わってきて、犬にとって安全な食事が提供されるようになってきました。
さらに、平成21年6月にペットフード安全法が施行され、ペットの健康に悪影響を及ぼすペットフードの製造、輸入又は販売が禁止されました。そのため、ペットフードの品質そのものも上がってきています。
合成着色料や香料、保存料など体に悪影響を及ぼす恐れのある添加物を使用しないものや、人間と同じグレードの肉や魚、野菜が使われているものなども多いため、犬の食の安全も守られるようになっているのです。
愛犬の体質やライフステージに合わせて食事を選ぶことで、健康を守ることができます。
また、肥満は万病のもとなので適切な量の食事を与えることもとても大切です。
3.室内飼いの増加
一昔前に比べると、家庭犬の多くが室内で暮らすようになってきています。
外で暮らしていると、一年を通して寒暖差があるため体に負担がかかりやすくなりますし、害虫や寄生虫感染することも少なくありません。
そのため、免疫力が低下したり病気にかかりやすくなったりすることから、平均寿命にも影響を与えていたと考えられます。
また、番犬として家の外で役割を果たしていた時とは違い、家族の一員として家の中で長い時間一緒に過ごすことで、飼い主さんが犬の体調の変化に気が付きやすいという側面もあります。
表情や態度などちょっとした変化から、体の不調に気がついて早期発見・早期治療につながることもあります。
人間と同様、病気は早い段階で対処することで命を守ることができるので、日頃からたっぷりスキンシップを取り、こまめに健康チェックをしてあげてください。
まとめ
犬の平均寿命は、動物医療の進歩や食の変化によって徐々に延びてきています。その上で、家庭犬が家族として迎え入れられているという意識の違いも、寿命の延びに大きな影響を与えています。
愛犬にとって適切な食事を与えて適度な運動をさせ、スキンシップや遊びによってストレスケアを行うことは、健康を守るためにとても大切なことです。
また、愛犬の様子を日々しっかりと観察して、ちょっとした変化に気が付いたり、定期的な健康診断を行ったりすることで病気の早期発見をすることもできます。
大切な愛犬を守るために、日頃からたっぷりと関わる時間をとってあげてくださいね。