1.弱っている姿を見られたくない
犬が死に際に飼い主さんから離れて姿を隠す理由のひとつに、自分が弱っている姿を誰かに見られたくないという思いがあります。
これは野生動物が持つ本能の名残で、体力が落ちている時や動くのがつらいと感じている時、敵に見つからないように姿を隠すのです。
そのような状況で敵に見つかってしまうと、戦うどころか逃げることもできないので、誰にも見つからないように隠れようとします。
家庭犬でこのような行動が見られた場合、決して飼い主さんのことを敵だと感じているのではなく、本能的に姿を隠そうとしてしまっているのだと考えられます。
2.静かな場所で休みたい
死の間際ということは、多くの場合で犬自身体に痛みや苦痛を感じています。
そのため、死期を悟っているわけではなくても、誰もいない静かな場所で体を休ませたい、体力を回復したいと思うのは自然なことです。
これも動物としての本能であり、敵に見つからない場所に隠れて体力を回復させてから、仲間のもとに戻ろうとしているとも考えられます。
また、痛みや苦痛を感じている時に、飼い主さんがすぐそばで泣いていたり、大きな声で「頑張って!」「大丈夫?」などと励ましてくれたりしていると、静かにして欲しいと思うこともあるかもしれません。
また、同居している犬がいる場合も、できるだけ騒がしくない場所で静かに過ごしたいと思うのも当然でしょう。
3.飼い主さんを悲しませたくない
人間と長く一緒に生活している犬は、表情や声色、ボディランゲージなどから人の感情を読み取ることができると考えられています。
そのため、飼い主さんが悲しんでいる時などにそれを察知して、なぐさめるような行動を取る犬もいます。
また、人の感情に共感する能力を持つ犬もいるとされています。
特に、飼い主さんのことが大好きな犬の中には、飼い主さんが悲しんだり落ち込んだりしている様子を見ると自分も悲しくなってしまう犬もいるとされています。
このようなことから、自分が動けず死を迎える時に悲しませないようにしたり、飼い主さんが落ち込んだ様子を見ないようにしたりするために姿を隠すことがあるのです。
4.動くのがつらい、戻れない
死に際にあえて姿を隠すつもりではなくても、飼い主さんから離れてしまうということもあります。
特に老犬に多く見られるもので、認知症や身体能力の低下から、もとにいた場所に戻れなくなってしまうということが考えられます。
家の中にいれば飼い主さんの方が見つけ出してくれると思いますが、万が一庭や窓などから逃げ出して徘徊してしまうと、迷子になって自宅に帰れなくなってしまうのです。
まとめ
犬は野生動物が持つ本能の名残から、死に際や強い苦痛を感じている時に飼い主さんを含め、人に見つからないような場所に姿を隠すことがあります。
これは、体力が落ちた状態を敵に見られないようにするためや、静かな場所で体力を回復させようとしているためです。
もしもそのような状況になった時、誰もいない場所に行こうとしている様子が見られたら、愛犬の負担にならないように環境を静かに整えて、そっと見守ってあげてください。
また、万が一目を離したすきに愛犬が亡くなってしまったとしても、飼い主さんを悲しませないために行う愛犬なりの愛情表現であることも考えられるので、どうかご自分を責めないでくださいね。