犬が『ボケる』とは?
犬も歳をとると人間と同じく様々な老化現象が起こります。その中のひとつが認知機能不全症候群と呼ばれる俗にいう認知症になります。認知症を発症した犬は、飼い主さんの目から見ると『ボケてきたかな?』と思うような行動を多々とることがあります。
早期発見が治療のポイントにもなるため、今は若くて元気な愛犬であってもボケてきた時にしがちな行動を把握しておきましょう。
『ボケてきた犬』がしがちな行動5選!気を付けるべきポイントやNG行為を解説
1.頻繁にご飯食べたがる
高齢になった愛犬が急に食欲旺盛になったら、もしかすると認知症による食欲異常が起きているかもしれません。
人間の認知症にもよく見られる症状ですが記憶障害が起き、ご飯を食べたことをすぐに忘れてしまうのが原因です。何度もご飯を催促してくる、また中には食べることへの執着心が強くなってしまい、狂暴になってしまう犬もいるようです。
高齢になっているからには成犬だった時よりも運動量や代謝は落ちているはずです。催促されるままにご飯を与えるわけにはいかないので、一日に与える量は変えることなく小分けにし回数を増やすように調節してみて下さい。
2.呼びかけに反応しなくなる
高齢になると耳が遠くなって飼い主さんが呼びかける声に反応が鈍くなることもありますが、認知症の初期症状としてもこの症状は見られるようです。認知症により神経伝達の異常が起きてしまい、反応力が低下することが原因となります。
反応力の低下によるものなので決して無視をしているわけではありません。愛犬の視界に入るように前方からゆっくりと近づき、声をかけて優しく触れるなどして、愛犬が不安にならないよう対応してあげましょう。
3.トイレの失敗
トイレの失敗が続くのも認知症による行動の可能性があります。高齢になっていることでトイレまでたどり着く体力がなかったり、関節などの痛みから思うように動けないなどの可能性もありますが、認知症の場合トイレの場所を忘れていしまっていることもあるようです。
排泄の時間帯がある程度決まっているようであれば、その時間帯は愛犬から目を離さないようにしてトイレのサポートをする、またトイレが近くにある範囲で過ごしてもらう、トイレスペースを広げるなどすると失敗も軽減できるかもしれません。
あまりにも飼い主さんの負担になるようであれば頑張りすぎることなく、オムツを使用するのもお勧めです。
4.昼夜逆転の生活
昼夜逆転の生活になってしまうのも認知症の犬によく見られる行動。夜鳴きをする可能性もあり近所迷惑や飼い主さんの慢性的な寝不足にも繋がるので辛い行動かと思います。
認知症で昼夜逆転生活になってしまい深夜に吠えるのは要求のこともあれば、なんの目的もなく吠えることもあります。しかし、多くは「不安な気持ち」から吠えることが多いようです。
不安で吠えてしまう場合は一緒に寄り添って眠る、また抱っこをすることで鳴きやむこともありますが、毎晩のように一晩中一緒に過ごすのは難しいですよね。出来るだけ生活のリズムを整えてあげると、昼夜逆転の生活も少し改善するようです。
高齢なので昼間は寝ている時間も多いと思いますが、出来るだけお散歩に出かけてみる、またお庭やベランダでお日様を浴びるのもよいでしょう。日中に外の空気に触れることで脳が刺激され身体のリズムが整うこともあります。
5.グルグルと同じところを歩く
認知症を発生した犬は、同じ場所をグルグルと歩き回る旋回運動をとることもあります。旋回運動は自身の意思とは関係なく一方向に動いてしまうことです。もちろん愛犬に悪意はないので、決して叱ったりしないようにしましょう。
愛犬は無意識に旋回運動しているので、慣れている室内であっても家具などにぶつかってしまう恐れがあります。家具の角など危険な場所にはタオルなど柔らかい素材の物で覆い、万が一ぶつかってしまってもケガをしないようにしておきましょう。
また足元が滑ってしまうと足腰に負担がかかってしまいます。転倒はケガに繋がる恐れもありますので、フローリングなど滑りやすい床はカーペットやマットなどを敷き愛犬が滑らないような工夫をしておきましょう。
まとめ
犬の認知症は完治することはないようですが、症状を遅らせる治療は可能だと言います。愛犬が高齢になり、気になる行動が見られた時は動物病院を受診してみましょう。
認知症のはっきりした原因はわかっていませんが、最近の研究では脳の実質的な変化が起こっていることがわかっています。認知症は放置してしまうとどんどん進行してしまいますし、完治させることは今の医学では難しいです。しかし、脳に必要な成分が含まれているサプリメントなどを早めに投与することや普段の生活で発症を予防したり、症状の進行を遅らせることはある程度可能といわれています。
また、愛犬のボケてきた行動は飼い主さんにとって辛いものもあるかと思います。介護は一人で頑張りすぎることなくご家族の協力、また獣医師としっかり相談しながら、愛犬と過ごすよう心がけてみましょう。