1.名前を呼んで叱る
犬の間違った叱り方として、ついやってしまいがちなのが「名前で叱る」または「呼び寄せてから叱る」というものです。
いたずらをしている時や、騒がしく吠えている時など、その行動を制するためについ「ポチ!!!」などときつい言い方で名前を呼んでしまうことは、多くの飼い主さんが経験したことがあるのではないでしょうか。
しかし、名前で叱りつけられると名前そのものを嫌いになってしまい、呼ばれても反応しなくなるどころか逃げるようになってしまうこともあるので絶対にやめましょう。
行動制止のために声を上げるのであれば、名前ではなく「だめ!」「NO!」などわかりやすく短い言葉を使うようにしてください。
また、叱る時に「こっちにおいで」と呼び寄せてから「だめでしょ?」「何やっているの!」などと叱るのもNGです。
呼び戻しに応じたにも関わらず叱られてしまうと、それが別件で叱られているとはわからず「呼ばれて飼い主さんのところに行くと嫌な思いをする」と学習してしまうことになります。
これは、犬を混乱させてしまい、一度覚えた呼び戻しのしつけも忘れさせてしまうことになるので注意してください。
2.長々とお説教をする、優しく諭す
犬と生活をしていると、しつけで指示をする時だけでなく日頃から愛犬に話しかけることも多いと思います。
しかし、基本的に犬は人間の言語そのものの意味は知りません。
しつけの指示などはくり返し教えることで覚えられますし、声のトーンや飼い主さんの表情から感情を読み取れるようにもなります。
とはいえ、長い文章でお説教をされても犬には全く理解できないでしょう。くどくどと長い時間をかけてお説教しても、犬は意味がわかりませんし、飽きて集中できません。
また、「静かにしないとだめだよ」「どうしてそんなことするの」など、犬を抱っこしたり体に触れながら優しく諭す人もいますが、これは逆効果になりがちです。
決してなでているつもりはなくても、体に触れられることで自分の行動が認められている、と勘違いしてしまうので、好ましくない行動がより一層助長されてしまう可能性があります。
3.時間が経ってから叱る
犬を叱るのがむずかしいと言われる理由のひとつが、タイミングよく叱らなければ意味がないということです。
犬を叱るのは叱るべき行動から数秒以内、つまり「現行犯」でなければ叱られている理由を犬が理解できないのです。
犬は一時的な記憶である短期記憶を保持できる時間が非常に短いうえ、言葉での説明を理解できないので、行動の直後でなければ飼い主さんが何で怒っているのかわからないのです。
そのため、犬がひとりで留守番している時にいたずらや粗相をしていた場合、帰宅してから「ちょっとー!」「だめでしょ!」などと叱っても全くもって意味をなしません。
帰宅後に怒っている飼い主さんを見て「何だか機嫌が悪いな」「なんで自分が怒られているんだろう」としか思えません。
叱られた後に何となくしおらしくしているように見えても、それは機嫌の悪い飼い主さんに恐怖を感じているだけで、決して行動を反省しているわけではないのです。
まとめ
ここでは犬の間違った叱り方をご紹介しましたが、叩く蹴るといった体罰も当然のことながら「間違った叱り方」です。
犬や周囲の人の安全を守るための緊急措置や、正しい知識と技術を持って限定的に行われる場合を除いて、一般家庭での体罰は一切必要ありません。
適切でない体罰は、犬に痛みや苦しみを与えるだけでなく、心にも傷を作り飼い主さんとの関係性を悪化させてしまいます。
犬の行動を正したい場合は、犬にとって有益ではない状況を作り出して行動を抑制したり、正しい行動に誘導してほめたりといった接し方が効果的です。
一見遠回りのようにも見えますが、飼い主さんとの良好な関係を維持しながら、正しい行動を定着させるためには叱るよりもほめる方がずっと簡単なことなのです。