コロナ禍で飼い主が家にいることに慣れた犬たち
コロナ禍によって以前よりもグンと外出する機会が減ったり、在宅勤務が導入されたりして、家庭犬たちが飼い主と過ごす時間はパンデミック以前に比べて大幅に増えました。これは世界中で起きている現象です。
また家にいる時間が増えたからという理由で、新しく犬を迎えた人も急増し世界中でペットブームが起こりました。これらの犬たちはお留守番の経験がありません。
しかしワクチン接種も広まり、飼い主たちは会社に通い、外出することも増えてきました。犬たちにとって、それは孤独な留守番の日々が戻ってくることを意味します。
犬たちを不安にさせたり問題行動が起きたりしないよう、飼い主はどんなことに気をつければ良いのでしょうか。アメリカ獣医動物行動学委員会の研究者が飼い主へのアドバイスを報告しています。
いきなりの長時間留守番がもたらす影響の可能性
飼い主が長い時間家にいることは多くの犬にとって嬉しいことです。朝の散歩が以前よりも長くなったり、日中にも家の中で遊んだりすることができます。飼い主と触れ合う時間はグンと長くなっていました。
それがいきなり無くなってしまったら?パンデミックで外出を控えるようになってから1年半くらいと言っても、犬にとっての1年半は人間よりもずっと長い時間です。
考えられる可能性の高い行動は、欲求不満や分離不安から来る吠え行動や破壊行動です。コロナ禍が始まった後で迎えられた犬の場合、留守番をしたことがないため分離不安から来る行動の可能性はさらに高くなります。
飼い主との分離にトラウマを持っている保護犬も分離不安の高リスクグループです。飼い主が以前の生活に戻ることは絶対に必要で避けられませんが、犬への対応は慎重に行わなくてはなりません。
少しずつ変化に慣らしていく
飼い主が再び家を離れるためのリハビリは段階を追って少しずつ行います。
1. 犬にNOという機会を増やしていく
「おやつ!」「遊んで!」と犬が主張して来た時に、3回に1回、2回に1回と少しずつ「今はダメ」という機会を増やして行きます。こうして全ての要求が通るわけではないという状況に犬が慣れるようにします。もちろんYESの時には思い切り要求に応じてあげてください。
2. 家の中にいても離れる時間を作る
お留守番の時に犬が特定の場所にいることがわかっている場合、飼い主が家にいる時にもそこでリラックスさせるようにして、飼い主は別の部屋に行きます。犬が飼い主に四六時中くっついていなくても大丈夫だということに慣れていきます。
3. 犬と離れる時間を少しずつ増やし続ける
最初は家の環境はそのままにしておきます。テレビやラジオをつけたまま、電気もつけたままで飼い主が家を離れます。最初は5分くらいから、15分、30分と少しずつ時間を長くしていきます。家を出る時間はランダムに変化をつけ、決まったパターンを作らないようにします。
このように少しずつ準備をした上で、流しておくと犬が落ち着く音楽、飲み込む危険のないコングなどのトリーツを詰めたおもちゃなども用意しておきます。場合によってはコミュニケーション型のペット用カメラの導入なども良いかもしれません。
色々手を尽くしても、どうしても分離不安が解決できない場合には、動物行動治療の専門家に相談することも視野に入れておきましょう。
まとめ
コロナ禍が一段落して飼い主が家を離れる時間が長くなった時、愛犬への対応の準備についてご紹介しました。
外出もままならず、友人ともなかなか会えなかった時期に、多くの人にとって愛犬は心のサポートになってくれたことと思います。今度は私たち飼い主が、愛犬にとっての新しい日常へのスムーズな変化をサポートする番だと言えますね。
《参考URL》
https://www.scientificamerican.com/article/how-to-help-your-dog-adapt-to-a-postpandemic-world/