1.敵意を感じさせるため
犬の目を見てはいけないと言われる理由のひとつが、その目線が敵意として感じ取られてしまう可能性があるためです。
犬を含めた動物同士において、信頼関係が築かれていない状態で目を合わせ続けることは、にらみつけているのと同様の意味を持ちます。
人間同士でも同じことが言えると思いますが、見知らぬ相手の目をジッと見つめることは、あまりいい意味を持たず不信感や警戒心のあらわれであったり、敵意を示したりすることとされています。
道端で出会った人同士が「ガンをつけられた」などともめるトラブルがありますが、それは目線を合わせ続けることでお互いに敵意を感じたため起こると考えられています。
そのため、初めて会う犬やあまり親しく慣れていない犬と接する時は、目を見てはいけないとされているのです。
特に、犬の正面から目を見つめ続けることは、にらみつけて喧嘩を売っていると勘違いされてもおかしくない行動です。
犬の気質や状況次第では、攻撃対象になる可能性もあるので十分注意しましょう。
2.緊張させてしまうため
関係性が築かれていても、状況によっては犬を見つめるべきではないことがあります。それは、人が犬を見つけることで過度に緊張させてしまうからです。
特に、しつけ中など犬がする行動を注視している時の目線は、犬をとても緊張させます。
トイレトレーニングをしている時などに、「失敗しませんように!」とついつい凝視してしまいがちですが、その視線を感じた犬は緊張のあまり失敗してしまったり、排泄ができなくなってしまったりすることもあります。
心配なことや気になることがあると、飼い主さんはどうしても犬のことを見つめてしまいますが、必要以上に緊張させてしまわないようにあえて目線をそらしてあげることも大切です。
顔はそむけて見ていないふりをしつつ、目の端で犬の行動を捉えておくということが必要な場面もあります。
3.不安や警戒心が伝わるから
犬は相手に対して警戒心を抱いている時、相手から目をそらさないようにして行動を注視することがあります。
そのため、人が犬の目を見つめ続けると、その人が警戒心や不安を抱えているということが伝わってしまうことがあります。
特に、犬を怖いと感じている人は犬の動きから目をそらさないようにする傾向がありますが、目を合わせ続けることで「この人は自分を警戒している」「怖がっているんだ」と気づかれてしまうことになります。
不安や警戒心に気付かれることで、犬にも警戒心を抱かせてしまい親しくなれなかったり、犬を強気にさせて威嚇や攻撃を促してしまったりすることもあるので注意しなければなりません。
犬の目を見つめていいのはどんな時?
犬の目を見つめてはいけないと言われても、愛犬と仲良く暮らしている飼い主さんからするとあまりピンとこないこともあるかもしれません。
どんな犬でも目を合わせてはいけないというわけではなく、信頼関係が築かれた間柄であったり、犬も人間もお互いにリラックスした状況であれば、全く問題ありません。
むしろ、大好きな相手とアイコンタクトを取ることで、愛情表現をすることもできますし、「オキシトシン」という幸福感を感じるホルモンが分泌されることもわかっています。
また、視線を合わせることでしつけトレーニングやコミュニケーションを円滑に進めることもできます。
まとめ
信頼関係がしっかりと築かれている犬と目を合わせることは、愛情表現や意思疎通に役立つ大切なコミュニケーションのひとつです。
しかし、初対面の犬や緊張している犬に対して、じっと目を見つめることをすると、敵意をあらわしていると勘違いさせてしまったり、不安や緊張を与えてしまったりします。
その影響で必要以上に警戒させてしまい、関係性を悪くしたり噛みつきなどのトラブルを招いたりする恐れもあります。
犬の目を見つめる時は、犬との関係性やその場の状況をしっかりと考慮することが大切です。時には、あえて目をそらすという対応をしてあげると犬も安心しますよ。