小型犬がなりやすい病気5選!見極める方法や適切な対処法は?
犬は種類によってなりやすい病気の傾向を持っていることをご存知でしょうか。小型犬や大型犬など、体格差によってもなりやすい病気は異なります。今回は小型犬がなりやすい病気と、それぞれの病気を見極める方法をご紹介します。
1.僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型犬に多く見られる心臓病です。僧帽弁の形が変わったり、機能が衰えてしまうことで閉鎖不全が生じ、息がしにくくなるといった特徴が挙げられます。最悪の場合、死に至る危険性があるため、重症化する前に発見し治療することが重要です。
僧帽弁閉鎖不全症の初期症状は分かりにくく、心拍数が高くなり、少し動くだけで息が荒くなるといった小さな変化が起こります。老犬なので見逃しやすいですが、こうした変化を放置してしまうと肺水腫や呼吸困難を引き起こし、最悪の場合、死に至ります。
僧帽弁閉鎖不全症を完治する方法は今のところ発見されていませんが、進行を遅らせる治療は存在します。食事療法や体重管理、運動制限、投薬などを活用し、症状の緩和と進行を抑える効果を期待します。
2.てんかん
てんかんは脳の神経細胞に異常が生じることで、けいれん発作を引き起こす症状です。軽度なものではてんかんと見極めることが難しく、そのまま見逃してしまう飼い主さんも多いです。
てんかん自体はすぐに治まれば命に直接危険を与えるものではありませんが、重症化してしまうと発作が止まらなくなる重積という状態になり命にかかわります。また、軽度の発作であっても発作を起こしている間に怪我をしてしまったり、舌を噛んでしまうといった危険性があります。なるべく早く治療を開始し、発作を抑える必要があります。
てんかんは発作の数日前から落ち着きがなくなったり、ヨダレを頻繁に垂らすようになったりといった変化が見られることもあります。発作が起きると全身がブルブルと震え出したり、意識をなくして嘔吐や失禁といった現象を引き起こすこともあります。
さらに意識があっても突然走り出したり、攻撃的な態度をとったりといった行動に出ることもありますが、どのような発作行動であっても数秒〜数分で治まり、その後はケロっとした様子を見せることが多いです。
基本的にてんかんは抗てんかん薬を投与することで、てんかん発作を抑制する治療法をとります。完治が難しい病気なので発症したら薬を投薬しつつ、生涯付き合っていく必要があります。
3.水頭症
水頭症は脳に異常なほど脳脊髄液が溜まってしまうことで、脳室が拡大し脳を圧迫してしまう症状を指します。症状はしつけなどの理解が著しく悪かったり、ぼーっとしている時間が明らかに多いといった異変が見られます。
他にも突然泣き出したり、上手く歩いたり立ち上がったりできないといった症状も見られるため、こうした症状を発症して初めて「水頭症かも」と気づく飼い主さんが多いです。
水頭症は脳に溜まっている脳脊髄液を減らす内科的治療と、脳に溜まっている脳脊髄液をお腹へと流すバイパス手術を行う外科的治療が主な治療法となります。完治は難しい病気ですが、長期的な治療で症状を改善することは可能です。
4.気管虚脱
気管虚脱は少し運動しただけで呼吸が荒くなったり、ゼーゼーと明らかに異常と思われる息や咳をするといった症状が出ます。
肥満や老化に伴って現れることが多いとされていますが、若い犬でも起こることから遺伝的な要因も考えられています。本来は呼吸をしても変形しない気管が呼吸の度にへしゃげた様になり、空気の通り道が異常に狭くなってしまいます。その結果、様々な症状がおこります。
一般的にガチョウが鳴くような音といわれる「ガーガー」という明らかに異音と取れる呼吸音がします。呼吸がうまくできないので、舌の色が悪くなったり、酸欠を起こしてしまいます。こうした症状が現れたら、早めに症状を緩和させる治療を開始し、少しでも楽になるように善処しましょう。
5.膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が正常な位置から外れてしまう症状を「膝蓋骨脱臼」と言います。初期段階では通常通り歩くこともできるため、特に異常を感じず見逃されるケースが多いです。
しかし、治療をせずに放置してしまうと、徐々に症状が重症化し、骨が変形してしまう恐れがあります。上手く歩くことができなくなったり、歩けていても足を伸ばしたまま歩くといった明らかにおかしな歩行を見せるようになります。
先天的にこの病気を持っている犬もいますが、後天的なものは打撲や落下などが原因になるため、小型犬は特に高い位置からの落下に気をつけなければいけません。
膝蓋骨脱臼は早期発見、手術によって治療が可能です。ただし、骨がすでに変形してしまっている場合は手術が難しい可能性があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。小型犬は今回紹介したように脳の病気や呼吸に関する病気を引き起こしやすい傾向があります。また、足腰が弱いため、脱臼やヘルニアになりやすい傾向も見られるので、日頃から怪我をしないような環境づくりを意識してください。