キャバリアキングチャールズスパニエルの心臓病の遺伝子変異を発見【研究結果】

キャバリアキングチャールズスパニエルの心臓病の遺伝子変異を発見【研究結果】

キャバリアキングチャールズスパニエルは僧帽弁閉鎖不全症の好発犬種として知られていますが、その原因となる遺伝子変異が新しい研究によって特定されました。

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犬種形成の遺伝的影響を調査

3匹のキャバリア

約1万5千年前に犬の家畜化が始まって以来、人間は犬を選択的に繁殖して特定の仕事に適した気質や形態を作り出して来ました。特に過去約300年の間に犬の繁殖は厳密に管理されて品種改良が行われ、犬の形態と行動に並外れた多様性を生み出しました。

しかし、犬の形態や行動を固定させるために近親の交配が多く行われるようになり、遺伝病や犬種特有の病気を持つ犬が生まれる可能性が高くなってしまったのです。

スウェーデンのウプサラ大学の生命科学の研究者チームは、犬種形成がもたらした遺伝的影響を調査するため、8犬種各20頭ずつ計160頭の全ゲノムシーケンスデータを生成し、その結果キャバリアキングチャールズスパニエルに多い僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁粘液腫様変性)に関連する遺伝子変異を特定したと発表しました。

8犬種の全ゲノム情報を解析

診察を受けるキャバリア

研究チームが全ゲノムシーケンスデータを作成した8犬種はビーグル、ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリーバー 、ラブラドールレトリーバー、ロットワイラー、ウエストハイランドホワイトテリア、スタンダードプードル、キャバリアキングチャールズスパニエルでした。

特定の病気を引き起こす遺伝的変異に関して、ビーグル、Gシェパード、2種のレトリーバー、ロットワイラー、WHホワイトテリアの6犬種は、それぞれにいくつかの遺伝的変異は持っているものの、ほぼ同じレベルで大きな違いは見られませんでした。

スタンダードプードルは上記6犬種よりも多くの有害な遺伝的変異を持っていました。しかし最も多くの有害な遺伝的変異の蓄積を持っていたのはキャバリアキングチャールズスパニエルでした。

これはキャバリアの繁殖の歴史に起因していると思われます。キャバリアキングチャールズスパニエルの原型とも言える小型のスパニエルタイプの犬は少なくとも1000年前から存在しており、アジアとヨーロッパの王侯貴族の間で数百年に渡って人気がありました。その名の由来でもあるチャールズ1世と2世の時代も含まれます。

この長い期間の間に何度か個体数が減少し、その際に残った集団のある形質に関わる遺伝子が無作為に選択され、次世代に伝わる遺伝子の頻度が変動する現象が起きることが繰り返されるうちに、遺伝的多様性が低くなる『ボトルネック効果』が起こったと思われます。

キャバリアはこのボトルネック効果を多く経験しており、その際に有害な遺伝的変異の蓄積と突然変異の固定が起きたと考えられます。キャバリアキングチャールズスパニエルが犬種として認識されたのは1945年ですが、それ以前の長い歴史の中で有害な遺伝子が一般的になっていた可能性があります。

僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁粘液腫様変性)に関連する遺伝的変異

診察を受けるダックスフンド

キャバリアという犬種に多い病気と言えば心臓病、特に僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁粘液腫様変性)の好発犬種としてよく知られています。

研究チームは、僧帽弁閉鎖不全症があまり多くないダックスフンドをキャバリアと比較して、この病気を発症させる可能性のある遺伝的変異を特定することにしました。

心臓病の兆候があるダックスフンドと無いダックスフンド、そしてキャバリアを比較したところ、NEBLという名の心筋タンパク質をコードする遺伝子に影響すると思われる2つの遺伝的変異を特定しました。

これらの変異体のいくつかは心臓細胞型の遺伝子発現に影響を及ぼしている可能性があり、それが心臓の機能にも影響すると考えられます。

またこの研究で解析された他の犬種も含めて、有害な遺伝的変異の増加の初期の兆候を表していることから、最近の繁殖慣行が犬の遺伝的負荷の蓄積に関連していると言えます。

過去の長い歴史の中での極端な繁殖そして近年の繁殖慣行の両方が、病気で苦しむ犬を作り出して来たことがまた科学的に証明されました。研究者はさらに検証が必要だと述べていますが、心臓の遺伝病を持つ犬を減らしていく希望につながりそうですね。

まとめ

犬種の違う犬5頭

キャバリアキングチャールズスパニエルに多い僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁粘液腫様変性)に関連する遺伝的変異が特定されたという話題をご紹介しました。

今回の研究では調査対象が8犬種のみだったので、研究者は他にも有害な遺伝的変異を持っている犬種がいくつかある可能性に言及しています。新しい研究結果が追加されるのを楽しみに待ちたいと思います。

《参考URL》
https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1009726

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