1.雑種犬
「雑種は体が丈夫」「雑種は長生きする」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。
実際、野犬や野良犬のように自然な交配によって生まれた雑種は、生命力の強い個体の遺伝子が受け継がれていると考えられています。
いわゆる「弱肉強食」の世界で、遺伝的に強い個体のみが生き残っているのです。そのため、そうした犬が保護されて家庭犬として迎えられたり、その子供が生まれたりすると、健康長寿の犬になることが多いとされています。
雑種犬が長生きしやすいもうひとつの理由が、純血種に多い犬種特有の遺伝性疾患を持っていないということです。
純血種は、人間が決めた規定の体型や、見た目の良さ、作業能力の高さなどを求めて作為的に交配を行っています。そのため、限られた頭数の中で交配がくり返されることも多く、血統が近い交配が行われることも少なくありません。
その影響で、奇形の犬が生まれることもあり、特定の疾患が遺伝してしまうこともあるのです。
犬種特有の遺伝性疾患の中には、心臓疾患や脳疾患、神経系疾患など命を脅かす可能性のあるものも少なくありません。そうしたことから、病気で若年の内に亡くなってしまうこともあり、平均寿命が短くなってしまうことが考えられています。
ただし、最近人気の「ミックス犬」の場合はこの理論に当てはまりません。チワワとトイプードル、パピヨンとミニチュアダックスフンドなど2種類程度の犬種が交配された犬の場合は、それぞれの犬種の遺伝性疾患を引き継いでいる可能性があります。
2.小型犬
犬種別に平均寿命を比較すると、体のサイズが大きな犬種に比べて小さな犬種の方が長い傾向があります。
小型犬の平均寿命は14~15歳程度ですが、大型犬や超大型犬の平均寿命は9~10歳程度とされています。
大型犬は小型犬に比べて成長スピードが早く、老化も早く起こります。そのため、小型犬の場合は7~8歳でシニア期に入りますが、大型犬の場合は5歳頃からシニア期に入るとされています。
また、大型犬は体重が重く、足腰の関節に負担がかかりやすいことも健康や寿命に影響を与えると考えられます。
3.遺伝性疾患が少ない犬種
1でも説明したように、純血種の中には犬種それぞれで遺伝性疾患を抱えていることがあります。
その犬種だからと言って100%疾患が遺伝されているわけではありませんが、遺伝される可能性が高いことは明確にわかっていることです。
また、純血種でも遺伝性疾患がほとんどないとされている犬種もいますし、遺伝した疾患が命を脅かす重篤なものではない場合もあります。
そのため、遺伝性疾患の有無や種類によっても、犬種別の平均寿命が異なると考えられます。
愛犬に長生きしてもらうための秘訣
愛犬に長生きをしてもらうために大切なことは、まず、年齢やライフステージ、体質に合わせた適切な食事と適度な運動を提供するということです。これは最低限犬が健康に生きていくために必要なことで、絶対に欠かすことのできない要素です。
その上で意識したいのが、歯みがきやブラッシングなど家庭でできるボディケアを習慣にして、病気やトラブルを早期発見できるように健康管理をしっかりと行うことです。
近年では動物医療も進歩していて、多く病気の治療法が確立されてきています。そのため、早い段階で適切な治療を受けさせるということは、愛犬の健康と命を守るためにとても重要なことなのです。
さらに、スキンシップやコミュニケーションをしっかり取ってストレスケアをすることも必要です。信頼関係で結ばれた飼い主さんと犬が目を合わせることで、お互いに幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」というホルモンが分泌されることがわかっています。
このホルモンは、幸福感を感じさせるだけでなく、体の免疫力を高める効果もあるとされているため、健康維持に大きな役割を果たすでしょう。
まとめ
犬の寿命の長さには、犬種ごとの遺伝性疾患や体のサイズが大きく影響を与えるとされています。
そうしたものは、生まれてきた以上は変えることのできないものですが、飼い主として愛犬の命を守るためにできることはたくさんあります。
犬の健康と寿命を守るためには、食事や運動、コミュニケーション、健康管理といった日々の関わりがとても大切だとされています。
また、愛犬の様子をしっかりと観察をして、ちょっとした変化に気が付くということも重要なポイントです。
犬種やサイズごとに注意すべきことを把握しながら、愛犬にとって適切な飼育を行うことで寿命を全うさせてあげることができると思います。