外出が制限される状況での犬と人の心の健康
コロナ禍による都市閉鎖や緊急事態宣言で世界中の多くの人が外出が制限され、家の中で過ごす時間が増えています。そのような様々な種類のストレスが積み重なる状況で、人々の心の健康の問題がクローズアップされ、心と身体の健康を保つための研究も数多く行われています。
人間と暮らすペットの中でも犬は人間と出かける機会が多く、飼い主のストレスに影響を受けることも多いので、飼い主の心の健康は犬のためにも大切です。
オーストラリアのモナシュ大学の心理科学の研究者が、犬と人間が一緒に心の幸せ度を高めることができる方法についてリサーチを行いました。一般の参加者73名を募り6週間のプログラムを実施した結果、人と犬両方の幸せ度をアップさせた2つの方法が報告されました。
方法その1. 愛犬と一緒にマインドフルネス瞑想
研究において参加者が週に一回(またはそれ以上)7分間のセッションを6週間に渡って行なった結果、リラックス、落ち着き、愛犬とのつながり、集中力が高まったという報告が多かったのが『マインドフルネス瞑想』でした。
マインドフルネスとは簡単に言えば「今この瞬間、ここにあるもの、体験しているものに集中する」ということです。例えば食事をする時に、目の前の料理の見た目、香り、温度、味を感じることに意識を傾けて食べることもマインドフルネスです。
愛犬と一緒にマインドフルネス瞑想をする方法は次の通りです。
家の中でなるべく邪魔の入りにくい場所を選び、マットやクッションなど快適に座れるようにセットし、セッション中は電話の電源を切っておきます。犬を自分の隣または膝の上に来るよう促します。
犬を片手または両手で触れて背筋を伸ばします。最初は目を閉じて深呼吸することから始め、犬に触れている手や指先の感覚に意識を向けます。頭が他のことを考え始めたら犬のコートの感触に意識を戻します。これを1回7分以上続けます。
研究の参加者は、週に1度7分間のマインドフル瞑想を6週間続けることで、先に挙げたようなポジティブな効果を感じたとのことです。リラックス感や幸福感の効果はセッションを終えた後も持続していました。
今回の研究では犬への影響の具体的な測定は行われていませんが、飼い主の多くは犬もマインドフルネス瞑想の時間を楽しんでいたと報告しています。研究者は今後の調査では犬への具体的な効果を客観的に測定することに言及しています。
方法その2. 愛犬と一緒に室内遊び
研究において、同じく参加者が週に1回(またはそれ以上)7分間のセッションを6週間続けることで、ポジティブな効果が報告されたのは犬との室内遊びでした。7分間ジッとしているのが嫌な犬の場合はこちらがお勧めです。
室内遊びはかくれんぼでも綱引きでもなんでも構いません。ただしこの時もマインドフルネスを意識して遊びます。電話やテレビは切って目の前にいる犬だけに意識を集中させ、遊びを中断することなく最低7分間続けます。
マインドフルネスを意識して愛犬と遊んだ後は、犬への注意力やつながりが強くなったという報告が多くありました。愛犬との絆が強くなれば幸福感はもちろん高くなりますね。
研究ではこちらの方法も犬への影響は具体的に測定されていませんが、気持ちを集中させて遊ぶことが犬にとってもハッピーであるのは間違いないですね。
研究では瞑想と遊びが方法として取り上げられましたが、毎日ペットのブラッシングをする習慣のある人ならその時間をマインドフルネスの時間に充てたり、マインドフルネスを意識して愛犬に話しかけることでも孤独感の軽減やリラックスの効果があるとのことです。
まとめ
週に1回7分間、愛犬に意識を集中させて瞑想したり遊んだりすることが、人間と犬の双方の幸福感のアップにつながるという研究結果をご紹介しました。
マルチタスクが当たり前になり、何か1つのことに集中するという機会が少なくなっている現代では、可愛がっている愛犬に対しても意外と意識を集中していないかもしれません。しっかりと時間を設けて愛犬のためだけの時間を作ることが自分の幸福感にもつながるのですから試してみない手はないですね。
《参考URL》
https://www.mdpi.com/2076-2615/11/7/2104/htm