早食いだから
ごはんを慌てて早食いすると、人間でも喉に詰まってむせてしまうことがありますよね。わんこも同様で早食いをしているとむせてしまうことがあります。一時的にむせていても、しばらくしてケロッと治っているようであれば大きな心配はありません。
早食いの原因には下記のようなことが考えられます。
1.野生の本能
わんこが野生で生きていた頃は群れで狩りをして獲物を仕留めていたため、食事はいつでも確実にとれるものではありませんでした。また、食事中の無防備な状態は外敵に襲われやすかったり、獲物を横取りされるリスクが付きまといました。
そのため獲物を仕留めて食糧を手に入れたら、とにかくたくさんの量を一気に胃の中に押し込んで、さっさと食事を終わらせなければなりませんでした。この頃の習性が本能として残っているため、わんこは早食いになりやすい傾向があるのです。
2.ごはんが好きすぎる
加えて、ごはんがあまりにも大好きすぎて、ついついがっついてしまうという子もいます。これは特に食欲旺盛な育ち盛りの子犬などによく見られ、「おいしい!おいしい!」と夢中で食べているうちにむせてしまうのです。
何だか可愛いですね。ただし現代社会で人間と暮らすわんこにとって、早食いはあまり良いものとは言えません。あまりに早食いがひどい場合には、突起などでわざとごはんが食べにくいように設計されている早食い防止食器などを活用し、落ち着いて時間をかけて食べさせるようにしましょう。
3.同居犬に横取りされたくない
多頭飼いで他に同居犬がいるという場合にありがちなのが、のろのろ食べていると先に食べ終わった同居犬に食事を横取りされてしまうから、やむをえず慌てて食べているというケースです。
早食いでむせるリスクももちろんですが、精神的にもあまり良い状態とはいえません。横取りされない環境を整えるなどの工夫をし、横取りを心配しないでゆっくり食べられるようにしてあげましょう。
シニアになったから
食べものを飲み込む嚥下機能は加齢とともに衰えるため、シニア期のわんこは相対的にむせやすくなります。咀嚼が弱まるため、丸飲み傾向がより強まるのも要因の1つといえるでしょう。
シニアになった愛犬が食事中にむせることが多くなったら、フードをシニア用のものに切り替えたり、ドライフードであれば水やスープで少しふやかしてあげるなど、食べやすいように工夫をしてあげましょう。
ストレスがあるから
あまりピンと来ないかもしれませんが、ストレスがむせる要因となっている場合もあります。ストレスがかかっているということは、心の状態が不安定で常に不安を抱えているということ。不安を抱えていると、わんこはそわそわしてしまい「早く食事を終わらせて身を守らなきゃ」という気持ちに駆られます。
そのため早食いになってしまい、結果的にむせてしまうのです。ストレスの原因は最初にご紹介したような同居犬との食事の奪い合いや、食事の場所がうるさかったり人目が気になったりして落ち着かないといったことなど、さまざまです。
病気が隠れているから
むせる頻度があまりに高かったり、早食いや高齢といったリスクがないにもかかわらず度々むせている場合には、何らかの病気が影響していることが考えられます。想定される代表的な病気は下記です。おかしいなと思ったら、早めに動物病院を受診して指示をあおぎましょう。
1.誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は人間でも耳にすることの多い病気ではないでしょうか。本来は食道に送られるはずの食物が誤って気管に入ってしまい、炎症を起こしてしまうものです。重篤な場合やシニアの場合は命に関わることもあるので、早急な手当が必要です。
2.食道拡張症(アカラシア)
名前の通り、食道が大きく広がってしまう病気で、先天的なものと後天的なものがあります。食道は蠕動を繰り返すことで食物を胃へ運んでいますが、この病気を発症すると蠕動がうまくいかなくなってしまい、食道に食物が留まることでむせてしまいます。
3.短頭種気道症候群
パグやフレンチブルドッグなどの短頭種に好発する病気で、呼吸器の形態異常によって呼吸がしづらくなります。慢性的に進行していき、悪化すると喉頭虚脱を引き起こします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?最初にご紹介した通り、わんこは早食いになりがちな動物のため、ある程度むせてしまうのは仕方がないことです。
とはいえ『むせる』のは不快なことに間違いありません。また、高齢になるとむせる回数が増える傾向がありますが誤嚥してしまうと命にかかわることもあります。わんこがむせずに食事を楽しめるよう、飼い主さんができる配慮や対処はしっかりしてあげたいものですね。