『危険』でないアクビとは
そもそもわんこはどのようなときにアクビをするのでしょうか。まずはわんこの通常のアクビから確認していきましょう。
1.眠いとき
眠くなったときにアクビが出るのは、人間もわんこも同じです。お散歩から帰った後やごはんをお腹いっぱい食べた後、ひなたぼっこをしているときなどにうとうとしながらしているアクビは全く問題ありません。温かく見守ってあげましょう。
2.飼い主さんのアクビが『うつった』とき
飼い主さんがアクビをした後、わんこが同じようにアクビをすることがあります。これは人間同士でアクビが『うつる』のとまるで同じ現象で、いわゆる共感作用によるものです。
更に近年の研究では、親しみを感じている相手からのアクビほど『うつる』ことが多いということがわかってきました。愛犬にあなたのアクビがうつったら、心配するどころか喜ぶべきでしょう。
『危険なアクビ』の特徴とは
ここまでわんこがどんなときにアクビをするのかを見てきましたが、これらは言い換えれば『危険』でないアクビということです。『危険なアクビ』には、下記のような特徴があります。
1.生アクビ
眠くないときに出るアクビのことを俗に「生アクビ」と呼びます。人間の場合でも生アクビは吐き気がする場合など体調不良のサインと言われることがありますが、わんこも同様なのです。
2.回数が多い
「生アクビ」が出るということは眠くもないのにアクビが出るということ、すなわちアクビの回数が増えるということにもつながります。何分間に何回以上のアクビが危険と具体的には言えませんが、普段と比べてアクビが目立つ場合には注意が必要です。
3.顎がガクガクしている
アクビをしたときに顎がガクガクしていたり、スムーズに口や顎が動いていないような場合には、口腔や関節などに何らかの異常があることが疑われます。
4.口を大きく開けられない
アクビをする際にいつもより遠慮がちに口を開けていたり、口が一番大きく開く前にパッと閉じるようなようすが見られる場合には、口を開ける際に痛みを感じている可能性があります。
5.他の体調不良が伴っている
アクビが目立つことにあわせ、他の体調不良が伴っている場合も注意が必要です。下痢や嘔吐をしていたり、食欲や元気がなかったりといった場合には、動物病院の受診を検討しましょう。
『危険なアクビ』が現れる病気
これらの『危険なアクビ』の裏には、病気が隠れていることがあります。アクビが症状として現れやすい病気は下記のとおりです。
1.ストレス
わんこが不安やストレスを和らげようとするときにとる行動のことを『カーミングシグナル』といいますが、アクビはその典型例に当たります。
アクビがたくさん出るということは、それだけストレスを感じている可能性があるということ。そしてストレスが万病の元となるのは人間もわんこも同様です。
2.低血糖症
いわゆる血糖値が下がっている状態です。あくびが出る理由は実はよくわかっていませんが、あくびすることではっきりしない意識をはっきりさせる作用があるといわれています。脳のエネルギー源はブドウ糖のみですので、低血糖になると脳の働きが低下します。そのため脳の働きを覚醒させるためにあくびをするのかもしれません。
3.貧血
貧血になると血中酸素濃度が低下するため、脳に送られる酸素の量が少なくなります。すると脳はより多くの酸素を体内に取り込もうとするため、アクビの回数が増えるのです。
貧血の原因は中毒や感染症、内臓疾患などさまざまなので、原因を特定して対処することが必要です。
4.口腔の異常
アクビの回数ではなくアクビの仕方に異常が見られる場合には、口腔の異常が考えられます。口腔内にできものがあったり、骨に異常があったりするせいでアクビがしにくかったり、アクビをすると痛みが走ったりするのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?体調に何らかの異常がある場合、その症状がアクビだけに現れることはまれです。ほとんどの場合、何らかの体調不良が伴いますから、不審に思ったらすぐに動物病院を受診することをおすすめします。