避けられない愛犬との別れ
現在の犬の平均寿命は14歳です。平均寿命が3〜4歳だったという1980年(日本獣医師会 家庭動物の高齢化対策より)と比べれば、10年も長生きになっています。とはいえ、犬の一生が人間よりもずっと短いことに変わりはありません。愛犬との別れは、避けたくても避けられない現実なのです。
愛犬の死が迫っているときのサイン、つまり死の直前の末期症状に早めに気づくことができれば飼い主さんや家族はある程度、愛犬とのお別れの心の準備や覚悟ができるでしょう。そしてまだ愛犬の意識があるうちに、感謝の気持ちや愛情を伝えることもできます。
そこで今回は、犬が死んでしまう直前の『末期症状』を6つご紹介したいと思います。どうか参考になさってください。
犬が死んでしまう直前の『末期症状』は?
1.呼吸に変化が起こる
犬に死期が迫ってくると浅く早い呼吸をしたり、時折苦しそうな呼吸をしたりするなど、呼吸に変化が見られます。
間隔の長い浅い呼吸をすることもあり、1分間の呼吸数が通常の安静時の半分程度にまで落ちることもあります。そして息絶える直前には、深く息を吐くことが多いようです。
2.食欲がなくなる
元気だった頃は食いしん坊だった犬も、死を迎えるときには明らかに食欲がなくなります。水さえ口にしなくなることも少なくありません。
そのような状態になると脱水のせいで口の中が乾いたり、ネバついたりすることがあります。また食欲がなくなり胃が空っぽの状態が続くことで、黄色や緑色の胆汁を吐いてしまうことも。
3.意識が朦朧とすることが多くなる
死が近づくと、意識が朦朧とすることが多くなります。飼い主さんが名前を呼んだり、撫でたりしてもほとんど反応しなくなるでしょう。
ずっと目を閉じたままの状態であったり、目を開いていても焦点が合っていない感じで、ぼんやりしていたりします。
4.排泄のコントロールができなくなる
排尿や排便のコントロールができなくなって、おしっこやうんちを漏らしてしまうことも死の直前の末期症状として挙げられます。膀胱や肛門括約筋をコントロールすることができなくなるために、そのような状態になります。ちなみに、死の数日前から下痢をすることが多いです。
5.体温が低下する
犬の体温は人間よりも高く、健康な犬の平熱は大体38〜39℃くらいですが、死が近づくと代謝が下がって、体温を維持することが難しくなります。そのため体温が低下し、足先が冷たくなったりします。
体温が低下しているときは毛布で体をくるんだり、厚手のタオルなどを巻いた湯たんぽを置いたりして温めてあげるといいでしょう。湯たんぽを使用する際は、低温やけどに十分注意してください。
6.けいれんを起こす
死の直前にけいれんを起こすこともあります。愛犬がけいれんを起こしている様子を目にすると気が動転してしまい、大きな声を出したり、愛犬の体に触ったりしてしまいがちです。
しかし刺激を与えてしまうと症状を悪化させる恐れがあるので、けいれんがおさまるまで静かに見守るようにしましょう。頭を強く打ったりしないように周りにある危険なものを退けたり、バスタオルなどでくるんで静かに抱っこするなどしましょう。ほとんどの場合、数分でおさまります。
まとめ
今回は、犬が死んでしまう直前の『末期症状』を6つご紹介してきました。
病気の末期や老衰の状態にある愛犬にご紹介したような症状が見られたら、残念ながらお別れのときが近いと思われます。心の準備をして、愛犬の体をやさしく撫でながら「ありがとう」や「大好き」をたくさん伝えましょう。
愛する愛犬とのお別れは、本当につらく悲しいです。想像するだけで胸が苦しくなります。でも最期の瞬間までそばで寄り添ってあげることが飼い主の務めであり、愛犬への愛情でもあります。「つらいから」「悲しいから」と目を背けたりずに、感謝の気持を込めてしっかりと愛犬の旅立ちを見送りましょう。