認知症か否かの判別
愛犬の認知症に気づかずにいると、ケガをしたり事故に繋がったりする可能性が高くなります。また、早期に発見して対処を行うことで進行を遅らせることも可能なので、愛犬の認知症の可能性に早く気づくことが大切です。
そのためには、飼い主さんが愛犬の行動をしっかりと観察し、ちょっとした変化から認知症の可能性を察知する必要があります。
今回は、一般的に認知症のサインだといわれている犬の行動についてご紹介します。しかし、同じ行動が見られたからといってすぐに認知症だと決めつけて諦めてしまわないでください。
別の病気が原因である可能性もあります。また認知症の場合でも、進行を遅らせる手立てがあったり、介助に必要なアドバイスを受けられることもありますので、必ず一度は動物病院に相談するようにしましょう。
認知症のサイン
1.見当識の低下
自分が生活している状況、つまり時間とか空間や、その状況における自分の社会的な位置付けを認識する能力を「見当識」と言います。認知症になるとその能力が低下することが知られています。
愛犬に下記のような行動、様子が見られた場合は、認知症であるかもしれません。
- 家の中やいつもの散歩コースでもどこにいるのか分からなくなる
- 家族や日頃の生活パターンがわからなくなる
- 警戒心が低下し、機敏さが失われて無目的な動きが多くなる
- 壁や宙をじっと見つめたり、頭を壁などに押し付けて動かなくなる
- 部屋の中を意味もなく歩き回ったり、同じ場所をグルグルと回ったりする
2.相手に対する反応の変化
飼い主さんやご家族、一緒に暮らしている他の動物達に対する愛犬の反応に、下記のような変化が見られた場合も、認知症である可能性があります。
- 一緒に暮らしているご家族や周囲の出来事などに、関心を示さなくなる
- 飼い主さんが愛犬の名前を呼んでも反応しなくなる
- 飼い主さんがいつもの指示を出しても無視するようになる
3.活動時間の変化
愛犬に下記のような変化が見られた場合も、認知症のサインだと言われています。ただし、活動時間の変化は別の理由から生じる問題行動である場合もあるため、見極めが大切です。この後の章で詳しく説明します。
- 昼間は寝ていて、夜になると活動を始める
- 夜中になると吠えたり鳴いたりする(夜鳴き)
4.今までできていたことができなくなる
下記のような行動も、認知症のサインだと言われています。ただし、これらは認知症と言うよりも、加齢による身体機能の低下等が原因の場合も多いため、叱ったりせずに現実的な対策を講じて介助してあげる方向で考えてあげましょう。
- 大好きだった散歩に行くことをせがまなくなる(歩きたがらなくなる)
- 室内で粗相をすることが多くなる
5.その他
他にも、下記のような行動が認知症のサインだと言われています。
- 進んで狭い場所に入っては、後退りできずに出られなくなる
- 歩いている最中にいろいろなものにぶつかる
- 食欲旺盛で必要な栄養を摂取しており、下痢もしないのに痩せてくる
認知症だと思われていた夜鳴きが改善した例
認知症のサインでご紹介した「夜鳴き」は、体内リズムをリセットすることで改善することが多い事例の一つです。
認知症ではなくても、昼間はずっとお留守番で眠ってばかりいるような場合によく見られる問題行動の一種です。
昼間しっかりと眠って夜寝られなくなり、目が覚めます。小さな声で鳴いていたら飼い主さんが来てくれました。次に鳴いた時は来てくれなかったので、少し大きな声でアピールしたら、また来てくれました。こうして学習した結果、夜鳴きをするようになる場合も多いのです。
平日が難しいなら休日でも構いませんので、朝になったら愛犬を起こし、朝日をしっかりと浴びさせ、日中は休む暇のないほどしっかりと遊んでください。疲れて夜にぐっすりと眠ることで、愛犬の体内時間がリセットされます。
特に毎朝朝日を浴びると、昼夜逆転の予防になります。
まとめ
犬も歳を取れば身体能力が衰え、認知症にもなります。愛犬の行動の変化から認知症のサインを読みとり、愛犬の状態を把握しましょう。ただし、認知症だと諦めてしまうのは早計です。
動物病院と相談しながら、愛犬の状態をしっかりと見極めましょう。別の病気が隠れていることもあれば、改善の可能性が隠れている場合もあるからです。また早期に対処することで、認知症の進行を遅らせることも可能だからです。
愛犬の認知症のサインに対して改善や進行を遅らせる可能性を探ることで、愛犬との絆をできるだけ長く持続させましょう。また同様の理由で、老犬にも刺激的な毎日を提供できるように工夫してあげましょう。