愛犬の名前とニックネーム
愛犬の名前は飼い主さんと当の犬にとって、とても大切なものですね。犬にとっては一番大切な「音」とも言えます。
犬を家族に迎えた時につけた正式な名前とは別に、一緒に暮らすうちに呼び方が変化したりニックネームをつけたりするのも珍しいことではありません。
マロンちゃんがマーちゃんになったり、コタロウがコタになったり、ムギちゃんがムギボンになったりと変化もいろいろです。それは微笑ましいことですし、犬が混乱しない限りはそれで良いのですが、トレーニングの際には正式な名前を使うことが大切なのだそうです。
科学的な根拠もある「トレーニングには正式な名前を」の理由をご紹介します。
犬は騒音の中からでも自分の名前を聞き分ける
科学的な根拠とは、2019年にアメリカのメリーランド大学の研究者が発表した実験の結果です。
複数の家庭犬を対象にした実験で、スピーカーからザワザワした感じの人の話し声の騒音を流し、その合間に別のスピーカーから知らない人の声で犬の名前を流します。この時、犬たちはいつも名前が聞こえたスピーカーの方に顔を向けたというものです。
人間の場合には、カクテルパーティーなどのガヤガヤした場所でも自分の名前が聞こえると多くの人が反応するという現象があり『カクテルパーティー効果』と呼ばれ、犬の場合にも同じ効果が確認されたということです。
このように犬の名前は他の言葉よりもずっとその犬の注意を引きつけるため、トレーニングの際には名前を呼ぶことで注意を引きやすく良い結果が得られるということですね。
呼び慣れたニックネームでも良いのでは?
いつも呼ばれている名前ならニックネームでも良いのでは?と思われるかもしれません。しかし、トレーニングの際に大切なことの1つは「常に一貫していること」です。
トレーニングのキューと共に名前を呼ぶ際に、ある時は「マロンおいで」また別の時には「マーちゃんおいで」では犬が混乱しやすくなるため、一貫して同じ呼び方をするには正式な名前だと間違いがありません。
また犬がキューに応答して行動した時には報酬として小さいトリーツを与えますが、このことが正式な名前を呼ばれることをポジティブな経験として覚えていきます。
動物病院やトリミングサロンなどでは正式な名前で呼ばれるのが普通ですから、犬がそれをポジティブなこととして捉えることは重要です。
そしてトレーニングの際の名前とかわいいニックネームを分ける一番の理由は、飼い主さんが「私だけのニックネーム」を独占できることです。トレーニングや公の場所では正式な名前、愛犬とゴロゴロくつろいで撫でたりハグしたりする時にはニックネーム。なかなか素敵な使い分けではないでしょうか?
まとめ
犬のトレーニングの際に呼ぶ名前はニックネームではなく正式な名前が理想的だという提案をご紹介しました。
犬の認知については日々研究が進み、新しいことがどんどん明らかになって来ています。そして新しく分かったことの多くは、犬はかつて考えられていたよりもずっと高い認知能力や複雑な感情を持っていることを示しています。
犬の名前を呼ぶという日常のありふれた行動も「犬はいろんなことを考えて理解している」と飼い主が認識しているかどうかで結果が変わってくるかもしれませんね。
《参考URL》
https://dogtime.com/reference/dog-training/78907-dogs-name-training
https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-019-01255-4