カニクロスというドッグスポーツ
『カニクロス』というドッグスポーツを聞いたことがおありでしょうか?ラテン語の犬=Caniという言葉とクロスカントリーをくっつけた造語で、その名の通り1頭または2頭の犬と一緒にクロスカントリーランニングを行うスポーツです。
元々はヨーロッパで犬ぞりを引く犬のためのオフシーズントレーニングとして考案されたそうですが、現在では独立したスポーツとして大会なども開かれています。
イギリスで初めてのカニクロスのイベントが開催されたのは2000年のことだったのですが、昨年からイギリスを中心としたヨーロッパで人気が上昇しているそうです。なぜこのスポーツが人気を集めているのでしょうか。
パンデミックをきっかけに一石二鳥で人気上昇
カニクロスの人気が高まったきっかけは皮肉なことにCOVID-19のパンデミックでした。イギリスでは2020年3月に国全体を封鎖するロックダウンが行われ、屋外での運動は1日1回のみに限定されました。そのため多くの人が自分のジョギングか犬の散歩かの選択を迫られました。
その解決策として人々が注目したのが、犬には専用のハーネス、人間は専用のベルトを装着して伸縮する専用リードでハーネスとベルトをつないでハンズフリーで走るカニクロスでした。これなら犬も人間も一緒に運動ができて一石二鳥です。
運動をすることは犬と人間両方の身体的な健康はもちろん、ロックダウンによって塞ぎ込みがちになる心の健康にとっても非常に有効です。
ロックダウン中に犬を飼い始めた人が急増したものの、社会化の機会がないために分離不安や知らない人への攻撃などの行動上の問題が増えていることも問題視されています。カニクロスは対人間や対犬の社会化には向きませんが、外の世界に慣れるという点では新しく迎えられた犬にも大きな意味があります。
カニクロスを始めるための注意点は?
犬と一緒に自然の中を走るというのは魅力的ですが、始める前にいくつか知っておくべきことがあります。
1.適切な道具を揃えること
人間が犬に引っ張られる形になることも多いカニクロスでは、犬の身体に負担やダメージを与えないよう専用のハーネスとハンズフリーランニング用のベルトは絶対に必要で、犬と人間をつなぐのは伸縮するバンジーコードの専用リードを使います。
これは犬が引っ張ったときの衝撃を和らげて怪我を防ぐためです。国際犬ぞり連盟の基準を満たしているものなら安心です。
2.犬の身体が完全に成長していること
引っ張る負荷が掛かるので、犬の身体が完全に成長を終えていることが大切です。成長途上の身体に大きな負荷を与えると骨や関節を傷めるリスクが大きいという理由から、中型犬や大型犬なら12ヶ月齢、超大型犬ならもう数ヶ月プラスします。
3.人間の怪我防止にも十分な注意を
カニクロスは犬と一緒にジョギングをするよりも運動量が強めになりますので、走り始める前のストレッチや終わった後のクールダウンをしっかりと行いましょう。靴も足にフィットした走るのに適したものを用意しましょう。
4.犬と人間両方のために「やり過ぎない」
カニクロスは楽しむためのスポーツで、苦行や鍛錬のためのものではありません。犬が嫌がれば強要せずに止めましょう。犬も人も「楽しかったね」と終えられるくらいの短いセッションから始めることが大切です。
カニクロスは日本でも少しずつ浸透しつつあるようです。興味のある方は「カニクロス 地元の地域名」などで検索するとグループやイベントが見つかるかもしれません。
まとめ
コロナ禍によるロックダウンをきっかけにして、イギリスではドッグスポーツのカニクロスの人気が高まっているという話題をご紹介しました。
きっかけは悲しいことですが、犬と一緒にスポーツを楽しむ人が増えるのは嬉しいことです。リードでつながって走るので、普通のお散歩では味わえない強い絆を感じられそうですね。
《参考URL》
https://dogstodaymagazine.co.uk/2021/07/27/why-are-more-people-turning-to-canicross/