一緒に寝たがる犬は多い
「飼い主は群れの強いリーダーたるべし」と言われていた頃は、飼い主さんと飼い犬が同じベッドで寝ることは、しつけ上よろしくないとされていました。
しかし、科学的な動物行動学などの研究を通して、犬が必要としている飼い主像は、大分変わってきました。
飼い犬と飼い主さんの間には信頼関係の構築が重要であるという考え方が支持されるようになった現在では、飼い主さんと飼い犬とが一緒に寝ることで、しつけ上の問題が生じることはないと考えられています。
実際に、飼い主さんと一緒に寝たがる飼い犬は多いようです。飼い犬にとって飼い主さんは親のような存在ですから、親と一緒に寝ることで、飼い犬は大きな安心感を得られ、ぐっすりと眠ることができるからでしょう。
愛犬と一緒に寝る場合の注意点
飼い主さんと飼い犬が一緒に寝ることに、全く問題がないわけではありません。それは、人獣共通感染症と事故の問題です。
犬と人の間で感染する病気には、「狂犬病」をはじめとして「レプトスピラ症」、「パスツレラ症」などがあり、東京都動物愛護相談センターが公開している一覧表の中には17個の病名が掲載されています。
寝床を共にすることで感染リスクは高まりますので、寝具類の衛生管理には注意が必要です。
もう1つの問題が事故です。これは、体の大きな飼い主さんと体の小さな子犬や小型犬が一緒に寝ている時に、犬が押し潰されたりベッドから落ちたりすることで起こるものです。
この問題に関しては、飼い主さんが愛犬やご自身の状況をよく考慮して対策を施したり、場合によっては一緒に寝ることを諦めたりする必要があるでしょう。
愛犬が「一緒に寝たい」と誘う時の仕草や行動
愛犬が飼い主さんに「一緒に寝ようよ!」と誘っている時に見せる仕草や行動を4つご紹介します。
1.先回りしてベッドや布団に乗る
愛犬が自由に寝室に出入りできる場合で、飼い主さんがそろそろ寝ようかなという素振りを見せた時に、愛犬が寝室に先回りをしてベッドや布団に乗ったり潜り込んだりした場合、「早く一緒に寝ようよ!」というサインです。
これは最もわかりやすいサインですが、それでも飼い主さんがなかなか寝室に来ないと、飼い主さんと寝室の間を行き来するなど、更にアピールすることもあるでしょう。
2.飼い主と一緒に寝室についてくる
こちらは、愛犬が自由に寝室に出入りできない場合の行動です。飼い主さんが一人で寝室に入って自分が締め出されてしまわないように、飼い主さんが寝室に入る時にピッタリと寄り添って、一緒に寝室に入ります。
飼い主さんの就寝時間が近づいてくると、ソワソワしだすこともあるかもしれません。
とにかく、飼い主さんが立ち上がった瞬間に、「遅れまじ!」とばかりにピッタリと寄り添って行動を共にする場合が多いようです。
3.寝室の方を見たりドアに近づいたりしてソワソワする
いつもならば飼い主さんが就寝する時間なのに、今夜はなぜかなかなか寝る支度を始めないというような場合、飼い主さんと一緒に寝たいと思っている犬は、寝室の方や寝室のドアをチラチラと見ながら、ソワソワすることがあるはずです。
そんな時は、「ねぇ、まだ寝ないの?」「早く一緒に寝ようよ!」という気持ちが溢れ出している状態だと考えられます。
4.飼い主の顔をじっと見つめながら前脚で膝をつつく
今までは、飼い主さんが「さぁ、一緒に寝よう!」と言ってくれるのを待っている、どちらかというと受け身のサインでした。しかし待ちきれなくなり、愛犬が積極的に飼い主に対して要求しているのがこの行動です。
愛犬は、訴えるような瞳で飼い主さんのことをじっと見つめながら、前脚で飼い主さんの膝などをつんつんとつつくようにして、催促します。
前脚でつつくという行動は、なにか要求がある時に見せる行動です。その時々の状況により、何を要求しているのか愛犬の気持ちを汲み取ってあげてください。
まとめ
犬のしつけに関しては諸説あり、時代と共に研究も進み、考え方が変わってきています。「しつけ上の問題」を気にして愛犬と一緒に寝ることを我慢されていたのでれば、それだけの理由で我慢する必要はないと考えて良いでしょう。
ただし、一緒に寝ることのリスクをよく検討し、愛犬の状態、生活環境などと合わせて判断してください。
そして一度一緒に寝ることを経験した犬は、その後も一緒に寝ることを望むようになるでしょう。飼い主さんがなかなか寝ない場合、「早く一緒に寝ようよ!」というサインを送ってくることもあるはずです。
愛犬からのサインを上手にキャッチして、お互いに楽しく暮らしながら信頼の絆を深めていってください。