犬もオオカミも仲の良い2頭でいるとストレスが軽減するという研究結果

犬もオオカミも仲の良い2頭でいるとストレスが軽減するという研究結果

オオカミや犬のように群れで生きる動物には群れ内の関係性は重要な問題です。社会的ストレスと個体同士の関係性についての研究結果が発表されました。

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良好な関係性がストレスを軽減するのは犬も同じ?

くっつき合っている2頭のボーダーコリー

同じ種の動物同士の社会の中で生活する生き物にとって、群れ内の個体同士が良好な関係を持っていることは様々な面で重要です。人間の社会を考えるとこれは簡単に想像がつきます。人間関係が良好であれば、外からのストレスに対しても耐性が高くなりますね。

では社会的な動物として代表的な犬とオオカミでは、群れの中の個体同士の関係が外からのストレスを軽減するということはあるのでしょうか?

オーストリアのウイーン獣医科大学の動物行動学者が、群れで暮らす犬とオオカミを2頭1組で実験観察を行い、個体同士の関係性と社会的ストレスへの耐性の関連についての研究結果を発表しました。

実験に参加した犬とオオカミ、実験の内容

2頭のハイイロオオカミ

実験に参加したオオカミはオーストリアの研究施設ウルフサイエンスセンターで飼育されている11頭です。オーストリア、アメリカ、カナダの自然保護区で保護されて同センターで人間によって育てられ、オオカミ同士の群れで生活しています。
犬たちはハンガリーの保護施設出身の8頭とウルフサイエンスセンターで生まれ育った6頭の計14頭です。

オオカミは3頭で形成された2つの群れと5頭で形成された1つの群れにそれぞれ属しており、犬は3頭で形成された3つの群れと6頭で形成された1つの群れにそれぞれ属しています。

それぞれの群れは毎日のトレーニングやさまざまな行動実験に参加しており、この研究のための実験を行った時点で群れとして少なくとも1年以上安定した状態でした。

実験は群れ内の2頭1組で実施され、群れ内での組み合わせの全てのパターンで行われました。2頭1組でいる際の行動やボディランゲージは細かく観察分析されて、それぞれの組み合わせの関係性や群れ内での順位の高さが記録されました。

こうして2頭1組になったオオカミたちと犬たちは、実験エリア内で社会的なストレスを与えられました。

1つ目のストレスは見たことのない物体(子ども用のおもちゃのお城)がエリアの真ん中に置かれているというものです。物体にはロープが付けられていて、実験者が時折引っ張って軽く動かしました。

2つ目のストレスは、動物たちと柵で隔てられた場所から顔と全身を覆う衣装を着けた実験者が、奇妙な動きをして見せるというものです。

これら2つの社会的ストレスに晒されている時の動物たちのストレス行動の観察分析と、実験の前後で採取した唾液からストレスホルモンのコルチゾールの値が測定されました。

組になったパートナーとの関係性とストレス

並ぶ2頭の犬

実験に当たって、研究者は参加した動物のストレス行動や生理学的反応について予測を立てていました。

以前の研究では犬もオオカミもストレス下において群れの仲間と積極的にコミュニケーションを取ることがわかっていることや、オオカミは犬よりも群れの仲間への依存度が高いことが分かっており、以下のような予測が立てられました。

  • 犬もオオカミも群れの仲間といることがストレス軽減に役立つだろう
  • ストレス軽減効果は犬よりもオオカミの方が高いだろう
  • 2頭1組のうち群れ内の順位の低い方がより強いストレスを感じ助けを求めるだろう
  • 2頭1組の個体の順位が近いか遠いかはストレス軽減作用に影響するだろう

実験に参加した動物たちの行動分析と生理学的反応の分析の結果は予測の通りだったのでしょうか?

犬もオオカミも群れの仲間、特に親しい関係になる2頭が組になっている時にストレスがより軽減されていました。予測とは少し違って、このストレス軽減効果は犬もオオカミも違いがありませんでした。

群れ内での順位とストレスに関しては、犬とオオカミで違いが見られました。犬では、組になった2頭の順位が離れていた方が下位の犬のストレスが軽減されていました。また下位の犬は、恐怖や脅威を感じた時に上位の犬に寄り添うような身体的接触も多く観察されました。

オオカミでは群れ内の順位が近い個体同士の場合、唾液中のコルチゾール値がより高くなっていました。これは順位が近い者同士だとストレスを強く感じるということではないそうです。オオカミは群れで狩りをしますが、その際群れ内の順位が近い者同士が協力し合うことが多いと言われます。

この実験では脅威を感じた2頭のオオカミの順位が近かった場合、より強い戦闘モードになったためコルチゾール値が高くなったと考えられます。

犬とオオカミは仲間意識という点では似ているけれど、戦闘モードに関する点では大きく違っているというのが、犬は家畜化された生き物だということをはっきり示しているようです。

また群れ内の個体同士の関係性が良いといざという時のストレスが軽減されるというのも、家族としての犬と人間にも参考になります。

まとめ

犬を囲むファミリー

群れで暮らす犬とオオカミを2頭1組で軽度のストレスに晒した時、2頭の関係性が強く親しい方がストレスが軽減されたこと、群れ内の順位とストレスの関連については犬とオオカミでは違っていたという研究結果をご紹介しました。

群れで暮らす動物にとって、メンバー同士の関係性がいかに重要であるかがわかる結果と言えます。普通の家庭犬にとっては家族である飼い主が群れのメンバーにあたるので、お互いに尊重し協力し合う関係がいかに大切かがわかります。

《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0003347221001755#!

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