犬は病気だけでなく事故で命を落とすことも
犬が亡くなる原因は病気だけではありません。不慮の事故で命を落とすこともあります。ある日突然、事故で愛犬を失ってしまった飼い主さんのショックと悲しみは計り知れません。
愛する愛犬の命を事故から守るために、犬の死亡率が高い事故を知り、事故の予防に努めるのはとても大事なことです。そこで今回は、犬の死亡率が高い事故をその予防法にも触れながらご紹介していきます。
犬の死亡率が高い事故は?
1.交通事故
散歩中に首輪が外れる、リードが手元から離れるといったアクシデントが起きたり、犬が家から脱走したりした場合、交通事故に遭う危険があります。車やバイク、自転車との接触によって犬が脳や内臓に大きな損傷を受けると、死亡率が高くなります。場合によっては、即死してしまうことも。
交通事故に遭った場合には、早期治療が重要になります。見た目にはケガをしている様子がなくても、内臓を損傷していることがあるので、交通事故に遭ったら早急に動物病院で診察を受ける必要があります。
愛犬を交通事故から守るために、散歩へ行く前に首輪が緩んでいないか確認し、散歩中はリードを短くしっかりと持って、愛犬を飼い主さんのそばにつけて歩かせるようにしましょう。室内では、脱走の可能性がある場所にゲートを設置するなどの対策を。
また「マテ」と「オイデ」のトレーニングをしておくことも大切です。この2つをマスターしていれば、愛犬が車道に飛び出しそうなときに動きを制止したり、逃げ出したときに呼び戻しをしたりすることができます。
2.熱中症
犬も人間と同じように熱中症になることがあります。熱中症とは、高温多湿な環境下に長時間さらされて体温の調節機能が働かなくなった結果生じるさまざまな症状の総称です。
犬の熱中症は飼い主さんの不注意によって引き起こされることが多いため、病気というよりも事故と考えられることが少なくありません。
犬は全身で汗をかけないことや、全身が被毛に覆われていること、地面に近いところを歩くことなどから人よりも熱中症になりやすく、中でも
- 短頭種
- 北方が原産の犬
- 肥満の犬
- 子犬やシニア犬
- 循環器疾患や呼吸器疾患のある犬
などは特に熱中症になりやすいため要注意です。
犬が重度の熱中症になると、多臓器不全に陥り死亡率が高くなります。熱中症で受診した犬の死亡率は、およそ50%と言われています。熱中症は進行が早いため、一刻も早く治療を開始することが大切です。
愛犬が舌を出して荒い呼吸をしながら大量のよだれを垂らしていたり、体が熱かったりする場合は、熱中症が疑われます。
その場合はまず、犬の全身に常温の水道水をかける、水道水で濡らしたタオルで体を包むなど体を冷やす処置をします。そして水が飲めるようなら飲ませてから、保冷剤などで首、内股、脇など太い血管のあるところを冷やしながら動物病院へ向かいましょう。
熱中症は、屋外でも室内でも車内でも起こります。熱中症を予防するために
- 夏場はエアコンで室温26℃前後、湿度50%程度をキープする(犬だけでの留守番時も)
- 夏場の散歩は朝晩の涼しい時間帯に行く
- いつでも水を飲めるようにしておく
- 車内に犬だけを残さない
などの対策をしましょう。
3.誤飲
今は、犬も室内で人と一緒に暮らすことが主流になっています。そこで注意しなくてはならないのが誤飲事故です。誤飲は1歳未満の子犬に多いですが、成犬や老犬にも起こり得ます。
愛犬が誤飲しても「どうせ、うんちと一緒に出てくるだろう」と、のんびり構える飼い主さんもいるでしょう。確かに、そういうケースもあります。しかし誤飲したものの種類や量によっては、命に関わるので楽観視するのは危険です。
例えばひもや布、果実の種などは腸閉塞や窒息で死に至る危険があり、人間の薬やタバコ、ネギ類、チョコレート、毒性を持つ観葉植物などは中毒死の恐れがあります。
愛犬が誤飲した場合、飼い主さんの判断で吐かせようとするのは危険なので、誤飲に気づいた時点ですぐに動物病院へ連絡して獣医師の指示を仰ぎます。
連絡の際には、何をどのくらい食べた可能性があるのか、誤飲してからどれくらい時間が経っているか、現在の愛犬の様子などを分かる範囲で伝えましょう。
誤飲を予防するためには、飼い主さんが常に室内を整理整頓することが大切です。誤飲の危険があるものは、愛犬の届かない場所でしっかり管理を。ゴミ箱は、漁れないように蓋付きのものにするか、愛犬が立ち入れない場所に置くようにしましょう。
散歩中も拾い食いをしないように、愛犬から目を離さないことが大切です。
4.落下事故
犬の落下事故にも注意が必要です。ベランダやバルコニー、階段から犬が落下した場合、大ケガをしたり、死に至ったりする可能性があります。
また小型犬に多いのは、飼い主さんや家族が立って犬を抱っこしている状態から落としてしまったり、犬が飛び降りてしまったりするケースです。骨折や脳震盪を起こしたり、打ち所が悪いと命に関わります。
交通事故の場合と同様に、外傷がなく脚を引きずったりしていないとしても、内臓がダメージを受けていることがあるので、愛犬が高いところから落下した場合は、動物病院を受診しましょう。
落下事故の予防策は、ベランダやバルコニーには愛犬を出さないようにする、転落防止ネットを取り付ける、階段にはゲートを設置して入れないようにするなどです。また愛犬を抱っこするときは、胸とお尻をしっかり支え、できるだけ体を密着させるようにしましょう。
まとめ
家の外でも中でも、愛犬が事故に遭うリスクがあります。特にご紹介した4つの事故は、死亡率が高いので要注意です。
愛犬を事故から守ってあげられるのは飼い主さんしかいません。愛犬が命を落としてしまってから後悔することがないように、常日頃から事故の予防に努めましょう。