犬が飼い主の足音を聞き分ける方法
耳の筋肉を自由自在に操って聞き分ける
犬は耳介筋を自由自在に操ることで飼い主の足音を聞き分けることができます。「耳介筋(じかいきん)」とは耳を動かすために使われる筋肉のことです。
(犬の耳介筋の種類)
- 耳下腺耳介筋
- 後耳介筋
- 前耳介筋
- 深耳介筋
- 背耳介筋
犬の耳介筋にはそれぞれに役割があり、耳を前や後ろや横に倒したり、耳の根元をくるりと回したりすることができます。
右耳と左耳で違う動きをすることがありますが、複数の耳介筋で構成されているからこそできることです。
ちなみに、人間の耳介筋は外耳介筋と内耳介筋の2つの筋肉で構成されています。
犬が飼い主の足音を聞き分けることができるのは、自由自在に操ることができる耳介筋を使って音を収集しているからです。
足音が発する超音波をキャッチして聞き分ける
犬は超音波をキャッチすることで飼い主の足音を聞き分けることができます。
人間の耳で聞き取ることができる音の周波数の範囲は16ヘルツ~20000ヘルツですが、犬の耳で聞き取ることができる音の周波数の範囲は65ヘルツ~50000ヘルツとされています。
超音波をキャッチすることができる犬の聴力を活かして利用されるのが犬笛ですが、犬笛の音の周波数は30000ヘルツです。人間の耳では聞き取ることができません。
人間の足音の周波数は100ヘルツ~1000ヘルツで、犬の聴力では1km離れた場所で発せられる音を聞き取ることができるとされています。
飼い主の足音が発する超音波をキャッチすることができ、5分も10分も前から聞き分け、玄関先で出迎えるために待機するのです。
「カクテルパーティ効果」によって聞き分ける
犬は「カクテルパーティ効果」によって飼い主の足音を聞き分けることができます。
カクテルパーティ効果とは、雑音が多い中で特定の音だけを聞き取ることができる現象のことを言います。
- 飼い主の足音を聞き慣れていること
- 飼い主の足音に関心があること
- 飼い主の足音の周波数と他の音の周波数の違いを聞き分けられること
主にこの3つが理由で犬にもパーティー効果が得られるのではないかと思います。
犬の耳には音による情報が無数に届きますが、全ての音を情報として認識するとなると脳が処理しきれなくなります。
必要な情報と不要な情報を判断することで飼い主の足音だけを聞き分けることができるのです。
愛犬の耳が遠くなったと感じたら
犬の聴力は加齢と共に低下します。飼い主の足音を聞き分けることができなくなります。不安になり、鳴きながら探し回るかもしれません。飼い主の声に反応しなくなるなど耳が遠くなったと感じることがあります。名前を呼びながら近づいて体に触れた時、ビクッ!として驚くことがあります。呼ばれたことに気づかなかったのです。若年の犬である場合には耳の病気を疑うことができます。聴力の低下や異変に気づいたら病院を受診しましょう。
飼い主が気をつけたいこと
愛犬の耳が遠くなった時は、犬が目で見て確認できるように前から近づくようにします。横や後ろから近づくと驚かせてしまいやすいです。
愛犬に近づく時、少し足音を大きく出すように意識して歩いたり、床をトントンと優しく蹴ったりしてもよいです。振動によって気づくことができます。
脱走や迷子には十分に注意してください。聴力の低下で音を聞き分けることができない場合、発見されにくい場所に迷い込んで出られなくなってしまうことがあります。
自宅の庭で自由に遊ばせる時は絶対に目を離さないでください。
まとめ
犬が飼い主の足音だけを聞き分ける方法を解説しました。
- 耳の筋肉を自由自在に操って聞き分ける
- 足音が発する超音波をキャッチして聞き分ける
- カクテルパーティ効果によって聞き分ける
犬は飼い主が足をケガしてしまった時の足音の変化にも気づくことができるとされています。
微妙な足音の変化を聞き取り、異変を感じるのです。愛犬に気づかれないようにとわざと足音を変えるように歩いてみても犬には聞き分けられてしまうそうです。
他の人間の足音としてではなく、飼い主の足音の変化や異常として聞き取っているからなのではないでしょうか。