1.生後2~4か月頃の社会化期
犬の性格形成において、まず大切なポイントになる時期が生後4~13週頃までの「社会化期」です。
この時期の子犬にが好奇心が生まれ、外の世界で起きていることに興味や関心が非常に高まります。
そして、さまざまな刺激を受けて、それらに適応して社会性を身につけていく時期だとされています。
社会化というもの自体は、この時期を過ぎてもできることですが、この時期は好奇心が強く恐怖心や警戒心があまりないため、効率的に社会性を身につけることができるのです。
「怖い」という思いよりも、「おもしろそう」「何だろう?」という気持ちから、見聞きした新しい刺激に対して柔軟に対応することができます。
母親や兄弟をはじめとしたほかの犬との関わり方やボディランゲージを学んだり、人と友好的に接することを覚えたり、さまざまな音や光景を見たりすることが必要です。
この時期にそうしたものに触れることで、成長した後も同じ状況に置かれたとき、自信を持って落ち着いて対応することができるようになるのです。
反対に、社会化が十分にされていない犬は、さまざまな刺激に対して憶病になったり、緊張から攻撃的になったりといった様子が見られます。
そのため、成犬になってみられる問題行動は、社会化不足が根本的な原因になっていることが多いとされています。
2.生後8~12か月頃の反抗期
社会化期が過ぎて少しすると、「何だかいつもと様子が違うな」と感じることが増えてくるかもしれません。
これまでできていたしつけが急にできなくなったり、それまでは見られなかった攻撃性が出てきたり、散歩中によく吠えるようになったり…。そのような場合は、犬が「反抗期」に入ったのかもしれません。
子犬から成犬に移行する生後8~12か月頃には、人間が中学生や高校生の頃に迎える反抗期のような状態になることがあります。
好奇心旺盛だった社会化期を過ぎて、恐怖心や警戒心を持つようにもなります。その反面自分に自信が生まれてきて、飼い主さんや周囲にいる人や犬との力関係をくつがえそうとしたり、飼い主さんを試すような行動をしたりします。
犬の反抗的な態度を許してしまうと、間違った方向に自信をつけてしまい、飼い主さんの言うことをきかなくなったり、信頼関係が築けなくなったりするため注意が必要です。
3.家に迎え入れた直後
犬を家庭に迎え入れてすぐの時期は、犬とどのような関係性を築いていくかということを決めるために、とても重要なタイミングです。この時期に必要以上に厳しくすれば、「ここでは安心できない」と犬が感じて心を開いてくれなくなる場合もありますし、わがままを許して好き勝手にやらせてしまうとその後もずっとそのような関わり方になってしまう場合があります。
また、飼育開始直後だけでなく、日頃の継続的なしつけや接し方は犬の性格形成において、非常に重要な要素となります。
先天的な性格と後天的な性格がある
犬の性格には、先天的なものと後天的なものがあると考えられています。
先天的な性格というのは、生まれ持った気質のことで犬種や性別によってある程度の傾向がわかる場合もあります。
遺伝性の要素が強く、犬によってそれぞれその要素がどの程度色濃く発現するかが異なります。
また、後天的な性格は生まれ育った環境やライフスタイル、関わった人や犬の影響を受けて形成されます。
先天的な性格と後天的な性格が組み合わさることで、犬の性格が決まります。そのため、飼い主さんにとって「理想的な性格」に育てたい場合でも、100%思い通りに性格形成ができるとは限りません。
遺伝的に持つ気質をしっかりと理解した上で、望ましいと考える性格形成に向けて適切なしつけや関わり方を意識することが大切です。
まとめ
犬の性格は、遺伝要素が強い先天的なものと、環境によって決まる後天的なものがあると考えられています。
先天的なものを完全に変えることはむずかしいため、犬を飼い始めるときは犬種が持つ気質を確認することが大切です。
その上で、家庭に迎え入れた時点から、適切な接し方やしつけを行うことで、自分のライフスタイルや希望に合う性格へと導いていくことが必要なのです。