自分でケアするのが難しくなるから
「うちの子、シャンプーをほとんどさせてくれないのになぜかキレイなのよね」という疑問を感じたことのある飼い主さんもいるのではないでしょうか?
わんこはそもそも自分で自分の身体を清潔に保っています。その方法は主に「舐める」こと。身体に付いた汚れや身体から出た分泌物などは自ら舐めとることで清潔を保つので、ニオイはあまり発生しないのです。
ですが老犬になると話は変わっています。加齢とともに筋肉や関節が硬くなり、身体の可動域も狭くなるため、汚れや分泌物の全てを舐めとることができなくなってしまい、その結果、汚れや分泌物が溜まってニオイを発生してしまうのです。
ブラッシングやシャンプーで清潔維持を
わんこ自身でのケアが難しくなった分、飼い主さんがしっかりケアをしてあげることが大切になります。
まず基本的なことですが、お散歩から帰った後には足やマズルなどの汚れをしっかり拭き取ってあげましょう。またこまめなブラッシングは絶対に欠かせません。抜け毛を放置しておくと被毛の風通しが悪くなって蒸れ、悪臭や皮膚炎の原因になるからです。
目やにや涙の溜まる目の周り、よだれが付きやすい口周り、肛門腺などはウエットティッシュや濡れタオルで拭いてあげましょう。
また体力がそれほど低下していないのであれば、トリミングやシャンプーを定期的に行うこともニオイの予防には効果的です。老犬になると心疾患などの持病を抱えている場合もあり、ストレスがかかることで体調が急変してしまう場合があります。そのため、サロンによっては老犬NGの場合もあるので確認が必要です。
歯周病になるから
ニオイの元というと被毛や分泌物をイメージしてしまいがちですが、老犬の気になるニオイの発生元として実は多いのが口、つまりは口臭です。飼い主さんであれば必然的に愛犬と顔を近づけたり舐められたりすることが多くなりますから、そのときにニオイを感じやすいのです。
老犬の口臭の原因のほとんどは歯周病といわれています。わんこの歯周病は非常に多く、あるデータでは3歳以上のわんこの8割は歯周病もしくはその予備軍だといわれています。特にシニア期のわんこは口の中の殺菌作用が衰えるため歯周病になりやすく、悪臭を発生しやすいのです。
歯石とりや歯みがきグッズで対策を
もちろん一番良いのは子犬のころから歯みがきに慣れさせ、歯周病を防ぐことです。
ですが老犬になると歯みがきをしていても歯周病になってしまう場合もあります。可能であれば動物病院で歯石とりをしてもらうのが一番ですが、麻酔が必要なこともあり、老犬には負担が大きすぎる可能性も否めません。
口臭を少なくするフードやおやつ、歯をきれいにするおもちゃなどの歯みがきグッズがいろいろ市販されていますから、それらを活用しながらできるだけ歯をきれいに保ちましょう。
寝たきりになってしまったから
高齢になってくると、病気や老衰などの影響で寝たきりになって介護が必要になってしまうわんこも少なからずいます。医療や生活環境の向上でわんこの平均寿命が延びた近年では特に珍しくありません。
ですが寝たきりになってしまうと、排泄物の垂れ流しや床ずれなどで清潔を保つことが難しく、ニオイも発生しやすくなってしまいます。
ドライシャンプーですっきりと
寝たきりになってしまったわんこは、当然ながら元気な頃と同様のトリミングやシャンプーを行うことはできません。今は介護用の水を使わないドライシャンプーやシャンプーシートが市販されているので、それらを活用しながら清潔を保つようにしましょう。
また、最初にご紹介したようなブラッシングや分泌物の拭き取りは、よりこまめに念入りに行う必要があります。見た目が少しかわいそうになりますが、排泄物が付きやすい部分の被毛をバリカンで短くするのも清潔にふき取りやすく、ドライシャンプーもしやすいのでおすすめです。トリミングサロン併設の動物病院で相談してみてください。
床ずれは痛々しくて可哀想なだけでなく、ニオイの原因にもなりますから、床ずれ防止クッションを使用したり寝返りの介護をしたりするのも大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?「かわいい愛犬のニオイならどんなに臭くても気にならない!」という飼い主さんもいるかもしれません。
ですが他人の感じ方は違います。もしあなたの愛犬が「臭くて汚い老犬」と思われて避けられてしまったらどうでしょう?わんこが可哀想なのはもちろんですし、願わくば、愛犬には最期の瞬間までみんなから愛されていてほしいですよね。
こまめなケアでニオイを最小限にとどめ、愛犬を「愛される老犬」にしたいものです。