犬の『嗅覚』は人の1億倍!?だからこそできる7つの特技とは

犬の『嗅覚』は人の1億倍!?だからこそできる7つの特技とは

場合によっては人の1億倍ともいわれる優れた嗅覚を持つ犬だからこそできる特技についてまとめました。たとえば飼い主のニオイは、汗が発する酸臭を感知して嗅ぎ分けることで分かるのだそうです。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬の嗅覚を使った特技

地面のにおいを嗅ぐラブラドール、白い花

1.人の1億倍の嗅覚とは

犬の嗅覚は人の1億倍と言われることもありますが、それは人が感知することのできるニオイを一億倍まで薄めても感知することができるという意味です。もちろんその数字はニオイの種類によって変わり、最大で一億倍ということです。

人が感知できる一億倍もの薄い濃度で感知することができるニオイは「酸臭」だそうです。例えば、人の「汗臭い」という時のニオイが酸臭です。

汗をかくと皮膚に常在している菌が汗に含まれる成分を栄養源として増殖します。その時に菌が出す代謝物が酸性だと酸っぱい酸臭の原因となり、「汗臭い」となるのです。

犬が飼い主のニオイを嗅ぎ分ける時には、人によって違う酸臭を感知していると言われています。

2.ニオイの方向を定めることができる

犬の鼻はしっとりと濡れていますが、それが風向きを感知してニオイの方向を定めるのに役立っているのかもしれない、と言われています。犬の鼻が濡れているのは、ニオイの分子をとらえやすくなることにも役立っていると言われています。また、犬は鼻の穴を左右別々に動かすことができますが、それによって犬はニオイの方向を定めることができる、という説もあります。

3. 足跡追及で人を発見することができる

犬の嗅覚を使って人が歩いた跡を追わせ、行方不明者や犯人や遺留品を発見することを「足跡追及」と言います。犬は人が残した「足跡臭」を追跡しています。

この時に犬が感知しているのが、足の裏からなど人の汗に含まれている揮発性脂肪酸の一種である「吉草酸」のニオイだそうですが、人が感じられる濃度の170万倍もの薄い吉草酸のニオイを犬は感知することができると言われています。

4.犬の年齢や性別が分かる

人の足元でにおいを嗅ぐビーグル

犬がお互いのお尻のニオイを嗅いで挨拶をするのは、年齢や性別など、相手が何者だかを知るためです。

主に肛門腺から出る分泌物のニオイを嗅いでいます。犬それぞれでニオイが違うため、ニオイでその犬がどんな犬なのかを判断できるのだそうです。

これは犬の嗅覚が人の1億倍もの薄いニオイを感じることができるからではなく、犬にとって嗅覚からの情報は人間にとっての視覚情報のように多種多様で、また犬は嗅ぎとったニオイを区別して記憶する能力が高いからだと考えられます。また犬は、ニオイをイメージとして認識、記憶することができると言われているそうです。

5.犬の健康状態が分かる

犬が他の犬のお尻のニオイを嗅いで分かることには、相手の健康状態もあります。

肛門腺から出る分泌物のニオイによって、どこの誰かだけではなく、その犬の状態(健康で元気なのかや、発情中かどうかなど)を知ることができるそうです。

犬の嗅覚器には鋤鼻器(じょびき、)と呼ばれる副嗅覚器があります(ヤコブソン器官とも呼ばれます)。人の鋤鼻器は退化していると考えられています。

鋤鼻器は、人が感知できるニオイではなくフェロモンを感知する器官だとされており、犬が他の犬についてニオイで知ろうとする時、嗅いでいるのはいわゆるニオイだけではなくフェロモンも嗅いでいると考えられています。

6.特定のニオイだけを嗅ぎ取ることができる

空気中には様々なニオイが漂っています。犬の嗅覚は、複数のニオイが混ざった中から特定のニオイだけを嗅ぎ取ることができるようです。

この能力を使って活躍しているのが警察犬や災害救助犬です。そばにあるニオイだけではなく、風に運ばれてきたニオイを嗅ぎとり、そのニオイを発する場所まで追跡することができます。

ただし、ニオイが途中で途切れてしまうとたどり着けないことがあります。

7.3m先のニオイを嗅ぎ取ることができる

一般的に犬は、3m先のニオイまで嗅ぎ取ることができると言われています。

もちろん離れた所のニオイを嗅ぎとるためには、そのニオイの分子が拡散したり風によって運ばれたりして、犬の鼻に十分な量のニオイ分子が到達しなければなりません。

ニオイの強さが強ければ人だって3m離れた場所にある物のニオイを感じることができますし、犬にとってもニオイの種類と強さによってどの位離れた所にあるニオイを感じられるかは変わります。

ただ、一般的に、嗅覚を使った仕事をして人間の役にたっている犬は、自分の周り3mまでのニオイを嗅いでいると考えて良いそうです。

まとめ

嗅覚による訓練中のホワイトシェパード

人よりはるかに優れた嗅覚を持つ犬だからこそできる特技を7つ解説しました。

  • ニオイの種類によっては人が感じられるニオイの1億倍まで薄いニオイも感知することができる
  • ニオイの方向を定めることができる
  • 足跡追及で人を発見することができる
  • 犬の年齢や性別が分かる
  • 犬の健康状態が分かる
  • 特定のニオイだけを嗅ぎ取ることができる
  • 3m先のニオイを嗅ぎ取ることができる

特技を活かして人のために働く犬もいますし、人のニオイを嗅ぐだけでガンを発見できる犬もいるようですね。海外では、新型コロナウイルスに感染した人を嗅ぎ分ける犬が活躍しているというニュースもあります。

人には決して真似することができない能力ですね。

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