️犬の視力低下、兆候は?
健康な犬であっても、犬の目は静止している物体をはっきりと見る能力は人間より低く、見ている物の輪郭は少しぼやけています。
その代わり、犬は動体視力に優れているので、「動きのある物体」を捉える力が発達しています。
また、「犬は鼻がいいので嗅覚に頼って生活していて、視力にはあまり頼っていない。」と言う人もいますが、犬は人間の表情や手の動きを認識することもできる程の視力があり、視力によっても多くの情報を得ています。
では、そんな犬の視力が低下すると、どんな変化があらわれるのでしょうか。心当たりがあるものはありませんか?
- 段差につまずく、踏み外す
- 音に敏感になる
- ニオイチェックが念入りになる
- 飼い主のそばにいたがる
- 活発ではなくなった
️視力低下をもたらす病気の例
老化以外の要因として、視力低下には目の病気が挙げられます。
いずれも進行するにつれて、視力の低下・喪失が起こります。各病気の初期症状について、飼い主さんが確認できるものを把握しておきましょう。
- 白内障:水晶体が白く濁る(黒目が白っぽくなる)
- ブドウ膜炎:白目が充血し、目やにが増える、目を痛がる
- 進行性網膜萎縮(PRA):夜間に目が見えにくくなる
白内障は老犬ではよく見られますが、遺伝的要素が関連する若年性白内障もあります。
ブドウ膜炎は、目の中にある虹彩・毛様体・脈絡膜という部分に炎症が起きる病気で、感染症や腫瘍などによって引き起こされます。非常に強い痛みを起こします。
進行性網膜委縮(PRA)は遺伝性疾患であり、犬種によって様々なタイプがあります。原因遺伝子が分かっているものについては、遺伝子検査が利用できます。
これらの病気は、重度になると他の病気を併発することもありますし、早期に発見して治療を開始すれば、少しでも症状の進行を遅らせたり治りを早くしたりすることができます。
と同時に、目の治療を途中でやめると、症状悪化や再発に繋がりやすくなります。治療は、飼い主の自己判断で中断せずに、必ず獣医師の指示に従ってください。
️飼い主ができる生活の工夫は?
1.家具の配置を変えない
高齢や病気で目が見えなくなっても、犬は自分の生活空間について多くのことを覚えています。
急に家具の配置が変わると、戸惑いからパニックを起こしたり行きたい場所に行けなくなったりします。床材の見直しは必要ですが、必要ではない部屋の模様替えはあまりおすすめできません。
通り道の床に障害物がある場合は、ぶつからないように避けるか、片付けておきましょう。
2.明るい時間に散歩する
視力が低下すると、明るい方が少しでも良く見えるかもしれません。暗闇ではより見えなくなっている可能性があり、暗い時間の散歩を怖がるようになることもあります。
犬が少しでも安心して散歩できるように、明るいうちに散歩に行くと良いかもしれません。
3.ひげをカットしない
犬のひげは、接触を感知する感覚器官です。
トリミングサロンに行くと美容目的で短くカットされたりしますが、普段は大きな問題はないと言われています。
しかし、視力が低下したりなくなったりすると、ひげが周囲の情報を得るのに役立つようになるという意見もあります。ひげを切るのは、犬の見た目に対する人間の好みの問題だけですので、普段からカットしないようトリマーさんに伝えたり、視力が低下してきたらカットするのをやめてもらったりしても良いでしょう。
️犬を怪我から守るグッズ
コーナークッション
家具の角をガードする安全グッズです。シリコンやNBR(ニトリルゴム)で作られたクッション材を、家具の角に取り付けます。ぶつかっても柔らかく衝撃を吸収してくれるため、痛みを軽減したりけがを防いでくれます。
衝突防止リング
人間の杖に代わる犬用の介護用品です。ハーネスに大きなリングがついていて、ハーネスを体に装着すると、頭上にリングが位置して犬の鼻先より前にリングの先端がきます。
障害物に接近したとき、犬の鼻よりリングが先に障害物にぶつかるので、顔や体への衝突を防いでくれます。
️まとめ
時間の経過と共に、犬の老化は進行していきます。
加齢によって体の機能に変化が生じるのは、自然な過程です。老化自体は病気ではありませんが、体力や免疫力が低下するのは確かなので、その分病気にかかりやすくなります。また、若くても視力が失われる病気もあります。
飼い主からすると、愛犬の視力が失われてしまうのは悲しいことです。けれども、犬には素晴らしい聴覚や嗅覚が備わっているため、慣れてくると視力がなくても穏やかな日常生活を過ごせるようになります。
犬が不安にならずにすむように、体の変化を受け止めて、暮らしをサポートしてあげましょう。