犬の悪性リンパ腫の治療薬、アメリカで初の承認

犬の悪性リンパ腫の治療薬、アメリカで初の承認

米国食品医薬品局が犬の悪性リンパ腫の治療薬を承認したと発表しました。その内容をご紹介します。

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犬の悪性リンパ腫とは

犬の前足を握る飼い主

犬の悪性リンパ腫、聞いたことがある、または経験があるという方も多いかと思います。リンパ腫とは血液のガンのひとつで、血液中のリンパ球がガン化した状態です。全てのリンパ腫は悪性で良性のものはなく、リンパ腫の原因は不明です。

リンパ腫は犬のすべてのガンの最大24%を占め、アメリカでは年間約7万頭の犬がリンパ腫と診断されています。

リンパ腫の治療は抗ガン剤の化学療法がメインですが、この度アメリカでリンパ腫に特化した新薬が米国食品医薬品局によって承認されたという発表がありました。

リンパ腫治療薬として初の完全承認

点滴を受けている犬のクローズアップ

今回この新薬を承認した米国食品医薬品局とはアメリカの保健福祉省の機関のひとつで、医療品の規制や食品の安全を管理しています。ペットフード や動物用医薬品もこの機関の管轄です。

承認された新薬の名は『タノベア』といい、有効成分は急速に成長するガン細胞に作用するラバクフォサジンです。タノベアは2016年に限定された使用目的での条件付承認を得ていました。製薬会社が追加の研究データを収集し、この度リンパ腫の治療薬として初の完全承認を得ることができたそうです。

犬のリンパ腫治療で知っておきたいこと

飼い主に寄り添ってくつろぐビーグル

追加研究では120頭のリンパ腫の犬にタノベアが投与され、生存期間の中央値が61日延長、薬剤への反応が最良であった犬の場合は無増悪生存期間(ガンが進行せず安定した状態である期間)の中央値が168日に延長されたことが報告されました。

タノベアも化学療法のひとつですが、ガン治療の化学療法には強い副作用がついて回ります。人間のリンパ腫の治療では、寛解に向けた治療を目指して不快な副作用に耐えることが一般的ですが、ペットの場合は人間とは少し違います。

ペットの化学療法の主な目的は、ペットの生活の質と快適さに重点を置いて生存期間を延長することです。ですから上記で無増悪生存期間が168日に延長されたという結果が、薬の有効性を示すというわけです。

犬のリンパ腫の化学療法は人間医学の治療とは目的が少し違うというのは飼い主が知っておきたい重要な点です。

とは言え、タノベアにも一般的な副作用として食欲減退、嘔吐、下痢などが含まれています。また強い副作用の可能性もあるため、投与の決定には獣医師と飼い主の十分な話し合いと情報の共有が必要です。

まとめ

桟橋で寄り添って座る女性と犬

アメリカにおいて、犬の悪性リンパ腫のための新薬が食品医薬品局によって承認されたという話題をご紹介しました。

私事ながら、筆者も愛犬を悪性リンパ腫で見送った経験があります。愛犬が致命的な病気の診断を受けるのは本当に辛いことですが、残された時間の生活の質を高める選択肢が増えるというのはありがたいことだと思います。

アメリカでの承認が下りたばかりですので、日本でこの薬が承認されるのか、承認されるとすればいつ頃なのかなどは未だわかりません。しかし獣医療における難しい病気の治療も日々進んでいるのだという希望が持てることを嬉しく感じます。

《参考URL》
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-grants-first-full-approval-treatment-lymphoma-dogs

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