保護施設の犬は家庭犬よりもトレーニングへの反応が良い?【研究結果】

保護施設の犬は家庭犬よりもトレーニングへの反応が良い?【研究結果】

保護施設にいる保護犬と家庭犬、犬の出自とトレーニングへの反応に関連はあるのだろうか?という研究の結果が発表されました。犬との付き合い方について考えさせられる結果をご紹介します。

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犬の出自とトレーニングへの反応の関連を調査

犬舎の中で立ち上がっている2匹の犬

犬が過去にどのような環境で生活していたかを知ることは、犬の行動や認知を調査する上で大切な要素です。

ブラジルのミナスジェライス州立カトリック大学の生物科学の研究者が、動物保護施設で暮らす保護犬と家庭で飼われている犬に同じトレーニングを行なった場合、犬の反応に違いがあるか、あるとすればどのような違いがあるのか、トレーナーの行動と犬の反応に関連はあるのかといった調査を実施しました。

犬の出自はトレーニングへの反応にどのような関連があったのでしょうか。

シェルターの保護犬と家庭犬に同じトレーニングをしたら

トレーニング中の保護犬

トレーニング実験に参加したのは保護施設で暮らしている犬15頭と、一般から募集された家庭犬15頭でした。どちらも年齢や犬種は様々です。

トレーナーは複数人いて、トレーニングは「おすわり」と「お手」の2種類のキューを教えるというもので、クリッカーとトリーツを使った報酬ベースで条件付けを行う方法が採られました。

保護犬は施設内の静かな場所で、家庭犬は自宅で、同じトレーナーチームが訪れて5分間のトレーニングセッションを最高8回行なって、トレーニング中の行動が録画分析されました。

トレーニング中の行動を保護犬と家庭犬で比較すると興味深い違いがありました。家庭犬と比較して、保護犬たちはトレーナーが出すキューに数多く反応し、反応までの時間が短く、トレーナーがキューを繰り返す必要が少なかったのです。

またトレーニングへの反応とは別に、保護犬たちはセッション中に尻尾をブンブン振る行動が数多く見られました。

保護施設で暮らす犬は、人間との関わりの少ない退屈な毎日を送っています。そのためにトレーニングという新しい経験への関心が高まり、優れたパフォーマンスと興奮した行動につながったと考えられます。

家庭犬は自宅という慣れた場所でのセッションですが、飼い主はトレーニングに立ち会いませんでした。このことがパフォーマンスに影響した可能性も研究者は指摘しています。

犬のトレーニングで大切なこと

笑顔の男性とお手をする犬

セッションの中で、犬の福祉の改善に役立つと思われる要素も見つかりました。

トレーニングはトレーナー全員が同じ方法を用いるのですが、人によっては叱責するような声のトーンでキューを出す場合があり、反対に常に穏やかな声や笑い声で犬に接するトレーナーもいました。

またトレーナから犬へのアイコンタクトの回数も人によって差がありました。これらは皆、犬の行動に大きく影響していたといいます。

叱責するような声でキューを出した場合、犬が反応するまでキューを繰り返す回数が増えました。また犬が床面の匂いを嗅いだり、部屋の探索を始めるなどストレスを表す行動が観察され、トレーナーの側に近寄ったり尻尾を振る行動の減少も観察されました。

穏やかな声や笑い声で接するトレーナーとのセッションでは犬のパフォーマンスは向上し、尻尾を振る行動は増えていました。

アイコンタクトを多用するトレーナーの場合、犬の方も積極的にアイコンタクトを取る様子が観察され、この場合も犬のパフォーマンスは向上していました。

全体的に家庭犬よりも保護犬の方がトレーニングに対するパフォーマンスが優れていたことから、保護施設に住んでいるという環境が犬の学習能力を低下させるような影響はないと結論づけられました。

また友好的に犬に接することが犬のパフォーマンスを向上させたことは、犬の福祉を考える上で重要な手がかりになりました。研究者は犬の保護施設で友好的なトレーニングを行うことを推奨しています。

まとめ

保護施設の職員と犬たち

動物保護施設にいる保護犬と家庭犬に同じトレーニングを実施したところ、保護犬の方が優れたパフォーマンスを示し、尻尾を振って喜ぶ様子が観察されたこと、トレーナーの態度が友好的だった場合に犬のパフォーマンスはさらに向上したという報告をご紹介しました。

この研究の目的は犬の出自とトレーニングへの反応を知るということでしたが、友好的なトレーニング方法が学習効果を高めたことは家庭犬との接し方においても重要なポイントです。

また「保護犬に関心があるけれど訓練などが難しいのではないか?」と考える人にとっても参考になる研究結果だと思います。

《参考URL》
https://www.mdpi.com/2076-2615/11/5/1360/htm

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